月光 49





12月に入ると生徒会は非常に忙しい。

来年度予算もこの時期に計上することになるし、12月には生徒会主催のイベントが2つもある。

来年度予算、ということで会計が非常に忙しく、颯斗と月子はそれを手伝い、と譲はまずは最初のイベントである大掃除の準備に取り掛かった。

区域は一樹がこのイベントを作ったときに決めたものを踏襲すれば良いという話になり、今必要なのは掃除用具だ。

洗剤と箒。

「雑巾はどうするんですか?」

「各自持参ってしてるけど、一応、ある程度発注掛けておこうか」

「毎年どれくらい雑巾が足りないんですか?」

そんな話をしながら倉庫に辿り着いた。

大掃除に使う洗剤は1年に1回しか使わないので、倉庫に保管させてもらっている。

洗剤の量が半端でひとつに出来るものはひとつにまとめて、在庫数と例年の必要数を比較する。


発注数を考えて生徒会室に戻った。

窓の外を見ると雪が降っている。

「あ、雪だね」

「寒いわけですよ」

吐く息も白い。

去年のドタバタ大掃除の話をしながら生徒会室に入ると、これまた大騒ぎ。

翼がなにやら騒いでいるのだ。

「どうしたの、つっこちゃん」

首を傾げてが問うと

!雪合戦しよう!!」

「去年もそんな事言ったよね。残念なことに、今年の会長はまずは仕事を済ませてから、って言うんじゃないの?」

「その通りですよ、翼君」

ふふふと笑う颯斗の目が笑っていない。

「ぬ、ぬぬぬ...融、雪合戦したいよな?」

後輩に同意を求めた...

「え、あ...いや」

どう答えていいのか悩んでいる融に「答えなくていいですよ」と颯斗がフォローに入る。

「ぬぬぬ...そらそら、冷たいのだ!そんなんじゃに振られるぞ!」

まさかの流れ弾。

は少し驚いた表情を浮かべる。

颯斗が振り返った。

は苦笑して首を小さく振る。

颯斗は安心したように息を吐く。

「颯斗会長、あんな子供みたいな脅し文句、本気にしたんですか?」

こそっと譲が声を掛けてきた。

「うーん、どうだろう」

苦笑しては首を傾げる。翼の言葉に颯斗が乗っかってからかったというのが考えとして一番有りだと思う。しかし、颯斗にとって、どうやらと別れるとかそういう単語はタブーのところもあるようで、少し困ったところがある。

「翼くん、まだ雪が積もってないから雪合戦はムリでしょ?明日なら雪が積もってるかもしれないから、今日中に仕事済ませちゃおうよ」

がそう声を掛けると

「明日積もってたら、雪合戦してもいいのか?」

颯斗に向かって翼が問う。

「今日の仕事の片付き具合によりますね」

その返事を聞いた翼は俄然やる気を出す。

「よし!片付けるぞ!!も手伝ってくれるのか?!」

「こっちが終わったらね」

そう言って先ほど倉庫で確認してきた掃除用具の発注票を挟んでいるバインダーを軽く振った。

「じゃあ、僕が手伝います」

そう言って譲が皆で作業している机に向かい、代わりに颯斗がやってきた。

「これ、今年の在庫と発注数。決裁頂戴」

がバインダーを颯斗に渡す。

中身を確認して颯斗ははんこを押してくれた。

次は職員室の生徒会顧問の押印を貰って、発注という流れになる。

颯斗が窓の外を眺めた。釣られても眺める。

「雪、積もると良いですね」

颯斗の言葉には首を傾げる。

「颯斗くんも雪合戦したいの?」

「去年はさんが怪我をされていましたし」

そうか、と思い出す。

「じゃあ、今年は全力で遊ばなきゃ」

「僕達、受験生ですよ」

釘を刺されてぐっと詰まる。

そんなを見て颯斗はクスリと笑う。

「颯斗くんのいじわる...」

ポツリと呟き、は生徒会室を後にした。









桜風
13.2.8


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