| ベツレヘム星祭は厳かに行われた。 昨年の一樹のような派手さはないが、颯斗らしい、幻想的な星祭となった。 「やっぱり性格って出るんだね」 片づけをしながらが呟く。 今日はもう夜が遅いので、本格的な片付けは明日行われるが、粗方出来るところまでは今日片付けておくと言うのがこれまでの生徒会で、効率が良いと思っているので颯斗もそれを採用している。 しかし、そうは言っても、夜も遅い。 「適当なところで切り上げてくださいね」 そう声を掛けている。 「これ、生徒会室に持って行っておくね」 ダンボールをひとつ抱えてが言う。 「僕が持ちます」 そう言って颯斗が手を伸ばしてからそれを取り上げた。 「あ、大丈夫だよ」 「ダメです。僕に格好をつけさせてください」 颯斗がそういった。 「...わかりました」 観念したは颯斗ともに生徒会室に向かう。 生徒会室にダンボールを置いた。 ふぅ、と息を吐く颯斗に「ありがとう、颯斗くん」とが声をかける。 「いいえ」 と颯斗は微笑んだ。 窓際に足を運んで外を見ると雪が降ってきていることに気がつく。 「惜しい」 が呟いた。 「どうかしましたか..あ、雪ですね」 「うん。さっき、パーティの間に降っててくれたらもっと幻想的で素敵だったかもしれなかったのに」 「そうですね」と隣に立つ颯斗が同意した。 ふと、窓に映る颯斗が自分を見つめていることに気付いた。 「なに?」 見上げると唇を重ねられる。 軽いリップ音とともにそれは離れた。 「せっかくのクリスマスに、さんが隣にいるので。キスがしたいなって思ってたんです」 また、した後に言う... そう思ったが、は颯斗の腕を引いた。 の方に体が傾いた颯斗の頬に暖かな感触がある。 「メリークリスマス、颯斗くん」 「びっくり..しました」 の唇が触れた頬に触れて颯斗が呟く。 「ね、颯斗くん」 「はい」と言う代わりに落としたキス。 今度は中々離れず、徐々に深くなっていく。 暫く重なっていた唇が名残惜しそうに離れ、2人はコツリと額を合わせた。 「なんですか?」 「颯斗くん、クリスマスは嫌いだって言ってたよね」 昨年のことだ。 颯斗は頷く。 「今日も嫌だった?」 覗うようにいうに軽くキスをして颯斗は困ったように笑った。 「いいえ。今でも、クリスマスは大人が取り繕う日だという思いは、消えていません。ですが、今年のクリスマスは、さんと恋人として過ごすことができています。嫌なんて思うはずがありません」 「よかった」とが呟き、その直後またしても颯斗にキスされる。 「颯斗くん」 「はい」 が言いたいことは分かっているが、颯斗はニコニコと微笑んでとぼけている。 「もう!」 とが少しだけ拗ねたように呟くと颯斗は嬉しそうに微笑んで再びキスをする。 「帰ろ、颯斗くん」 「もうですか?」 「遅い時間だよ。明日も片づけがあるし、そんなに寝坊出来ないでしょう?」 の言葉に颯斗は不承不承で頷いた。 寮までの帰り道、手を繋いでゆっくりと歩く。 「そういえば、颯斗くん。年末年始はご実家に帰るの?」 「ええ、一応。お正月はさんのご実家にご挨拶に行きますね」 「...そうなの?!」 頓狂な声を上げてが言う。 「はい。夏凛さんとお話させていただいていますよ」 「...颯斗くんは、お姉ちゃんと仲が良いよね」 少し拗ねた声でが呟く。 それを耳にした颯斗は、頬が緩んだ。 「やきもちですか?」 からかう颯斗に「...そうだよ」とが呟き、思いのほか素直な言葉に颯斗は目を細めた。 颯斗のそんな雰囲気が伝わったは「今年もあとちょっとだね」と慌てて話題を変える。 「そうですね。僕たちの高校生活も、あと3ヶ月切りましたね」 言われてはしんみりした。 高校生活が終われば、離れ離れになってしまう。 颯斗は留学をする。これは、決定的なもので、そのための準備をいろいろとしている。 そして、自分も受験を経て大学進学を考えている。 間違いなく、颯斗と歩む道は違ってくる。 ぎゅっと手を握られて颯斗は驚いてを見下ろした。 言葉をかけようとして、それはやめた。その代わり、の手をきゅっと握り返す。 は颯斗を見上げて、そしてふにゃっと少し泣きそうな表情で笑った。 その笑顔を見て、颯斗は胸が痛くなる。 「さん」 名を呼んでキスをする。触れた唇は冷たかった。 |
桜風
13.2.22
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