| 目を覚ますと隣にいるはずのがおらず、颯斗は慌てて起き上がった。 そして、ふと。枕元であるものを見つけた。 ゆっくりと手を伸ばしてそれを手にする。 初めてだった。 クリスマスの朝に枕元にプレゼントが置いてあるなんて、これまでの人生で一度たりともなかった。 これは先に開けるものなのだろうか。それとも... 迷った末に、ひとまずプレゼントは開けずにリビングに向かった。 今朝、は早起きをした。 起きているときに渡すべきか悩んだ末の枕元だ。 颯斗はクリスマスの思い出がないと言っていた。だったら、朝起きてみるとサンタクロースからプレゼントがあると言う状況を味わったことがないはずだ。 今更サンタクロースの存在を信じているはずはないが、そのシチュエーションには、多少憧れているのではないだろうか。 そう思ってはそっと枕元にプレゼントを置いてベッドを抜け出し、朝食の準備をすることにした。 子供じゃないと怒られたら素直に謝ってしまおう。 「おはようございます」 リビングに出てきた颯斗が声をかけてきた。 「おはよう、颯斗くん」 颯斗が大切そうに持っているものを見ては嬉しそうに目を細めた。 「朝起きてみると、枕元に...」 「クリスマスプレゼントよ。開けてみて」 颯斗は頷き、大切そうにそれをあけた。 「時計...こんな高価なもの」 慌てた颯斗には首を横に振る。 「身に付けてもらえるものがいいって思ったの。それで、思いついたのが時計くらいしかなかったから。腕時計だとピアノの邪魔になるかなって」 だから、懐中時計。 「それを見たとき、ピンと来たから。これは、颯斗くんのものになる子だって」 颯斗はそれを大切そうに胸の前で両手で抱きしめた。 「ありがとうございます。大切にします」 その気持ちをじっくり感じているかのように暫く目を瞑っていた颯斗がハタと気付いたように顔を上げた。 「僕も、さんにプレゼントがあるんです」 「ホント?」と嬉しそうにの声が弾む。 「少し待っててくださいね」 そう言って颯斗が持ってきたのは、ひとつは少し大きめの包みで、もうひとつはさほど大きくないものだ。 何故2つあるのだろうか... 颯斗は両方に渡した。 「2つも?」 「はい」と颯斗が頷く。 とりあえず、大きい方をあけた。 「わ。これって、ショール?」 「ええ。女性は体が冷えやすいですから。温かく過ごしてください」 は「ありがとう」と嬉しそうに微笑んだ。 「これも、くれるの?」 もうひとつを確認すると「はい」と颯斗が頷く。 「じゃあ、開けるね」 そう言ってはそれを開けて「え?」と呟く。 入っていたのはCDだった。 だが、製品ではないようだ。 「これって...」 「僕が演奏した曲が入っています。以前、師匠がスタジオを貸してくださったので」 と言う。 「じゃあ、いつでも颯斗くんのピアノが聴けるの?」 弾んだ声でが言う。 「ええ。本当は、まだ残せるような音ではないのですが。さんが喜んでくださるかな、と思って」 「凄く嬉しい」 「良かった...」 颯斗がホッと息を吐く。 「ありがとう、颯斗くん」 「いいえ。こちらこそ」 そう応えた颯斗がふと気が付いた。 「さん」 「なに?」 颯斗を見上げるとキスされる。 「おはようのキスがまだでした」 真顔で言われてはきょとんとし、「そういえば、そうだったね」と苦笑した。 2人で朝食を摂る。 昨晩はあれから雪が降ったようで、カーテンを開けると外がキラキラしていた。 「今日はどうしましょうか」 朝食の片づけをしながら話をする。 「考えてなかったなー。颯斗くん、どこか行きたい?」 が洗い物をして、颯斗が拭く係だ。 「家の中がいいです」 「そう?」 颯斗の言葉にが首を傾げる。 昨日は家でデートだったから今日は外に出てもいいのに、と思った。 「だって、さんは外ではキスをさせてくれないじゃないですか」 「え、」と固まったの唇が奪われた。 「僕は、ずっとあなたに触れていたいので家の中でゆっくりとしましょう」 「わかった、そうしようか」 は頷き、背伸びをして颯斗の頬にキスをした。 |
桜風
13.5.3
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