| 暫くしてドアが開いた。 B6とは同時に振り返る。 「あ、あの...」 「ふむ、お前も新任か?」 顎に手を当てて翼が言う。 と、言うことは同期か... がじっと観察していると「北森真奈美です」と彼女が自己紹介をする。 「です。同期、同期」 少し浮かれた口調でが言うと「3つもオバサンだがな」と翼の余計な一言が飛んできた。 くるりと振り返ったはニコリと微笑み 「何か言ったぁ〜?」 と聞き返す。 「寒い...」 ポツリと瑞希が呟き、「カベ!とっとと謝れ!!」と清春が声をかける。 こういう『女の怒り』というものに直面したことが度々ある清春は反応が早い。 「じ..冗談だ。そう、jokeだ」 さすがの翼も殺気を感じ、慌ててとりなした。 「ま、昔なじみの誼で此処は引くけど、次は」と言って数秒沈黙した後「ヤる!」と不敵に笑ったに対して翼は「永田ぁ!」とどこか怯えた口調で永田に助けを求めた。 「翼様、先ほどの翼様がお悪うございます。女性に年齢のことを言うのはマナー違反です。たとえ、事実でも」 「永田ぁ...あなたも相変わらずでほんっと安心したわ」 笑顔でが言うと 「私も、様のご息女が相変わらず、お淑やかさをどこかに置き忘れていらっしゃるお転婆で安心いたしました」 と笑顔で返す。 「ね、ねえ、ツバサ。ちゃんと永田さんって仲悪いの?」 「さ..さあ?だが、偶にこうして周囲が寒くなることはある」 こそこそと悟郎と翼が会話をする。 とクラスメイトだった頃は彼女が元気なかったのと、学校に通っている時間が短かったことから、翼を除くB5がこんな殺伐とした会話を目の当たりにすることはなかったのだ。 「おい、北森先生がおいてけぼりを食らってるぞ」 不意に瞬に声を掛けられては振り返り、笑顔を向ける。 先ほどの、永田に向けていたそれではなく、本当に友好の気持ちを表すそれだ。 「ごめんなさい、北森先生。これから、同期。一緒に教師になりましょう!」 が言うと真奈美は一瞬面食らったようだが「ええ!一緒に頑張りましょう」との手をとって力強く頷いた。 これから始業式で講堂に向かっていると「ねえ、ところで」と真奈美がに声を掛ける。 学年が上がって最初の始業式。担任の発表などもこの始業式で行われる。 そして、今年の新任教師である真奈美との紹介もこの始業式で行われるのだ。 「何かしら?」 「私、早々に3年生の担任って言われてるんだけど...先生は?」 「ああ、でいいわよ。せっかくの唯一の同期じゃない。って、3年の担任?!副担任ではなくて??!!!」 思わず声を上げる。 周囲の生徒が眉をひそめて振り返った。 慌てては取り澄ましたように周囲に笑顔を向けて「何で?」と小声で真奈美に声を掛ける。 「さあ?この間、理事長室に呼び出されてそう言われたの。先生は、何か聞いてない?あ、私も『真奈美』で良いわ」 「あたしは3年の副担任で、生徒会顧問だって」 「生徒会顧問?!それもまた、大変そうね...」 「担任よりはマシかと思うけど...」 それにしたって無謀な人事だ... 真奈美を見るととても不安そうな表情をしていた。 の視線に気が吐いたのか、彼女は明るい表情を作る。 「あ、でもね。講師の先輩方がサポートしてくださるから大丈夫なの!」 「講師の先輩方..って真壁とか?!」 頓狂な声を上げてが問い返すと真奈美は力強く頷く。 いやいやいやいや... 在学中の彼らを知っているは途端に一抹の不安を抱えた。 だって..ねえ?B6のBは『BAKA』の『B』だったんだから... しかし、5年前。3年の3学期の彼らを思い出せば何となく、何とかなりそうな気もしないでもない... 「ま、何とかするでしょう」 真壁が、という言葉は飲んでそう呟いた。 結局、彼の行動力はとしては評価に値するものであり、その隣に立つ優秀な秘書はやっぱり『優秀』なのだ。 |
桜風
11.11.20
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