| 『教師生活』の初日の放課後、は生徒会室へと向かった。 元々3年のクラスAの副担任であるは今日のHRでこの学校の生徒会会長と生徒会副会長の顔を見ることは出来た。 「双子って初めましてだわ...」 今までの人生で双子と言うものを見たことが無い。 だから、初体験と言うやつだ。 「やっぱりハモるのかな?」 「何が?」 思わず漏れていた言葉に突然反応されては驚いて振り返る。そこには本日クラスAで見た方丈那智がいた。 「あー、えと。方丈くん。副会長の方の」 「那智って呼んでくれて良いよ。『方丈くん』って言われてもとっさに兄さんと区別が付かないし」 言われて少し戸惑ったが「わかった」とは頷く。 「で?これからせんせいはどこに行くの?」 「生徒会室。何か、顧問にされちゃって...」 「新人の先生が?」と那智が驚いた声を上げる。 「ええ、まあ...」 「まあ、どうでも良いけど。兄さんの邪魔だけはしないでね」 軽くそういわれては首を傾げる。 「...那智くんは、たぶん仙道タイプね」 「仙道?ああ、あの講師の。NBAのスーパープレイヤーなんだったっけ?わあー、光栄だなー」 最後は棒読み。 何だかこちらの闘志が湧く子だ。 「ま、いいわ。そこらへんは追々。で、生徒会室に行くんだけど。那智くんは?」 「おれもこれから行きますよ」 人懐っこい笑顔でそういわれて「じゃあ、ついてく」と宣言をしてそのまま付いていくことにした。 「てやんでぇ!てやんでぇ!!」 遠くから駆けて来る生徒がいる。 制服の改造ってどのレベルまで良かったんだっけ? そう思いながらも短パンに改造した制服を着て駆けて来る男子生徒に絶妙なタイミングで足を伸ばした。 ズサァ!とこけることを期待していたが、彼は何とか踏ん張って顔からこけるのを避けることができた。さすがの運動神経。 「ったく!誰だ!このオレ様の邪魔をしたヤツは!!」 「廊下は走らないって小学校で習わなかった?成宮天十郎くん?」 顔を覗きこむようにしてが言うと「げっ!」と彼が呟く。 「成宮も相変わらずねー。いやぁ若い、若い。お子様だ」 「うるせぇ!てか、何でがここにいるんだよ」 「今朝の始業式、起きてた?」 が言うと「あー、まあ。寝てた」と正直に答えられた。 「今年、聖帝学園高等部に外国語教師として採用となりましたです。以後、よろしく」 の言葉に「げぇ!」と天十郎が声を上げた。 「何でまでいるんだよ。それでなくとも、真壁もいるってのに」 「知らないよ。あっちは講師でこっちは教師。寧ろ、成宮がここにいるのが不思議なのに...」 「先生!その子!!成宮君を捕まえて!!」 遠くから声が聞こえては言われたままに彼の首根っこを掴む。 息を切らしながらやってきているのは真奈美で、彼の担任のはずだ。 「何担任から逃げてんのよ」 「うっせぇ!お前にはわからねぇよ。これは海よりもふかぁーく、山よりもたかぁーい理由があるんでぃ!」 「それをあえて一言で言うと?」 「補習がイヤで逃げてきた」 正直に答えた天十郎の頭を軽くぱこーんとはたく。 「雨が上がって数時間経った水溜りよりも浅くて、子供が作った砂場の山よりも低い理由じゃないのよ」 の指摘に「んだと!」と反応をした天十郎だったが、それを黙殺してはやっと傍までやってきた真奈美に彼の身柄の引渡しを行った。 「初日から大変ね」 が言うと 「ええ。けど、ひとりじゃないから」 と真奈美が微笑んで天十郎を連行した。 ただし、数十メートル先で再び逃走されてしまい、またしても彼を追いかけるために全力疾走をする羽目に陥っていた。 「せんせいって成っちょと知り合いなんだ?」 逃走した天十郎を追いかけていった真奈美を「あーあー」と呆れながら見守っていたに那智が問う。 「ん?まあ、昔からのね。真壁、成宮、で実家がそれなりに..ね?」 少し歯切れ悪く言うに「ふーん」と那智は興味なさそうに相槌を打った。 |
桜風
11.12.4
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