School Life 10





ゴールデンウィークがあけてからは体育祭に向けての準備が始まる。

生徒会は。

「こういった準備は余裕を持って行うべきだ」

そう宣言した生徒会長様を慕う生徒会役員達はせっせと準備を行っていた。

「ねね、体育祭って何か面白いイベントしないの?」

わくわくとが問うが、「秩序と規律を守る生徒会が取り仕切る体育祭で、なぜそんなものが必要ですか」と真顔で返された。

...つまんない。


体育祭の経験はなくもない。

3回はきちんと経験している。

それでも、何か目新しいことがあって然るべきだと思う。

だって、時代は流れているのだ。学校だって改築されているし。

ならば、秩序と規律よりもインパクトのある思い出で一生忘れられない体育祭を企画実行するのが生徒会執行部の務めであろう。

うんうん、と頷きながらは職員室に戻った。

「こんだけ無駄に人材が揃ってるのに」

職員室のドアを開けるとB6がトランプをしていた。ババ抜きらしい。

「あ、ちゃん。ちゃんもする?」

悟郎に声を掛けられ「教師は忙しいのです、講師と違って」と言って自分の席に着いた。

「えー、ダイジョウブだよ。ちょっとくらい遊んでもゴロちゃんがポペラっと手伝ってあげる」

「ノーセンキュー」

そう言ってパソコンを立ち上げて次の授業で使うプリントを作り始めた。


「そういえばさー、生徒会ってもう体育祭の準備始めたんだって?」

不意にそういったのは一で「ぬぁ!ババ引いたー!」とその直後に嘆いている。

「What?!今、一がJorkerを持っているのか?!shit!!」

「あー、真壁絶対引くよね。間違いなく引くよね」

からかうようにが言うと本当に引いた。

..貴様ぁ...!!」

「あたしのせいじゃないでしょー。まったく、期待を裏切らないわね、真壁って」

ケラケラと笑いつつも手は止まらない。

「ね、ちゃん。生徒会はどんな楽しい体育祭にするの?」

悟郎が心持ち期待した声を出してそう言う。

「そうよね!そうなのよ!!フツーの体育祭の何がいいの!!秩序と規律?んなもんは、普段の学校生活でかろうじて維持して、『祭』がつく日くらいは羽目を外したって良いわよね?!」

先ほどまで皆と話をしていても、止めなかった手を止めてが同意した。

「けど、フツーの体育祭みたい」

肩を落としてが言う。

「ンじゃ、この俺ッ様がインパクトのある体育際にしてヤろーか?」

キシシシと笑いながら清春が言うが

「ノーセンキュー」

は先ほど悟郎に言ったのと同じ言葉を口にした。


「おや、賑やかですね」

そう言って職員室に入ってきたのは、なぜかジャケットプレイをする宗教学担当の天童だった。

「あ、すみません。騒がしくて。講師たちが」

「俺たちかよ!」

清春が盛大に突っ込む。

それに対しては無反応でプリント作成の続きを始めた。

天童が職員室に入ってきて間もなく清春が「おさきー」と言って職員室を後にした。

それに続いて悟郎や瑞希も出て行く。

「おや、講師の先生方の憩いの時間を邪魔してしまいましたか」

次々と職員室を後にしていく彼らを見て天童がそう呟いた。

「いや、そもそも職員室で騒ぐところに問題があったのではないでしょうか」

が言うと「それもそうですね」と頷いて彼も職員室を後にした。

「でさー。何で2人きりのババ抜きでかれこれ10分以上も決着がつかないの?」

心底呆れたようにが声を掛ける。

「うるさい!さあ、一。そろそろ決着をつけるぞ」

「望むところだ!」

そう言って翼の手から1枚トランプを抜いた一は「ババだー!」と頭を抱え、目の前の翼はにやりと笑う。

動物的勘で一が上がりそうな気がしていたが、その動物的勘がババを捕らえてそのまま勘に従ってカードを引いているのだろう。

すぐ近くでの間抜けなやり取りにはそっと溜息を吐いた。

そういえば、今日の放課後はまだ真奈美が職員室に来ていない。

「また脱走者を捕まえにいってるのかなぁ...」

4月よりはマシになった、と彼女は言っていた。

そして、体力も着いた、と。

そりゃ、着くだろう。

体力の有り余っている男子高校生と毎日鬼ごっこ。これで体力がつかなかったらこの鍛錬は何になる。

「ねえ、真壁」

「何だ、邪魔するな!...shit!」

またババを引いたらしい。

「成宮捕獲くらいは手伝ってあげたら?」

が言うと

「何故この俺があの新任のために成宮の小僧を捕まえてやらなくてはならないんだ!」

「あ、自信ないんだ。あ、そうかそうか。ごめん、無理言っちゃったね」

が言うとずっと自分の手持ちのカードを見ていた翼は顔を上げて彼女を見た。

「何だと?」

「え?だって自信がないからそんなに全力で拒否るんでしょう?」

ニヤニヤと笑ってが言う。

「この俺にかかれば成宮の小僧の一匹や二匹、いくらでも捕まえてやる!」

二匹も要らない...

そう思って「へー、ホントかなぁ??」とが言うと目の前の一のカードを一枚引き、それをテーブルにたたきつけた。

「永田!永田!!成宮の小僧の捕獲に行くぞ!!」

「え、永田持参?」

の言葉に反応を返すことなく翼は職員室を後にした。

「あーあ、俺ビリだー。てか、えーと...」



「ああ、そうそう。も上手いな。翼ノリノリだったじゃないか」

「付き合いの長さよ」

笑って返すに「そっか」と一は返して「んじゃ、俺は帰ろうかな」と言って職員室を後にした。









桜風
12.1.15


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