School Life 14





夏休みは、本当に毎日登校する羽目に陥った。

教師には夏休みがあると思ったのに...


そして、夏休みと変わらず学校に登校し、新学期を迎えた。

「あたしは反対です」

手を上げてが言う。

先生。私はあなたの意見など聞いていません」

そう言い放ったのは理事長だった。

理事長に真っ向から意見をぶつけるに周囲の教師は皆驚く。

「だって、おかしいじゃないですか」

「ですから、先生。私はあなたの意見など聞いていないと言っています」

「生徒会顧問として、断固反対です。何楽しようとしてんですか」

の言葉に理事長がピクリと眉を動かした。

「楽、ですと?」

「生徒に生徒を指導する権限を付与するって、自分が..教師が楽をしようと面倒ごとを押し付けているだけじゃないですか。高々18のガキんちょが自分と歳の変わらないガキんちょを指導?はっ!それが本当に出来るって思われているのでしたら、あまりにも楽観過ぎて呆れます」

先生」とたしなめたのは天童だった。しかし、彼も少なからずと似たようなことを思っていた。

同席している桐丘、加賀美の両名も同じような表情をしている。

「これは、決定事項です」

そう言って彼はたちに退席するように言った。

先生」と天童に促されては渋々理事長室を後にする。

ドアを閉める際、思い切り睨んでやった。


「少々、面倒だな」

バタン、と乱暴に閉じられたドアを眺めて理事長が呟いた。

その傍に控える養護教員が頷く。

「ええ、あんな強情な方だとは思っていませんでした」

「少し、監視を厳しく。B6とも旧知の仲のようだからな」

「影虎様の仰せのままに」

彼は恭しく頷いた。



「オイオイ、あんま理事長に逆らうなよ」

職員室に戻る際に加賀美にそういわれた。

「正しいと思えないことに唯々諾々と従うつもりはありません。勿論、あたしはこの学園の教師なので、理事長の指示に従わなくてはならないのは理解していますけど。それでも、正しくないと思ったことは声に出さなきゃ分らないじゃないですか。
それとも、加賀美先生はあの理事長の考えに賛成ですか?」

「そ..それは...」

たじろぐ加賀美が天童を見た。

「私も少々疑問はありますが、理事長も何かお考えがあってのことなのでしょう」

彼らはどうにもあの理事長に傾倒している節がある。

何であんな、夏でも真っ黒、熱中症ウェルカムな服装の怪しげな男を慕っているのかにはさっぱり分らない。


そして、その翌日。

理事長によって、生徒会長に強権が渡された。

放課後、生徒会室に向かうと、彼は『どや顔』でを迎え入れた。

「僕は理事長に認められている。あなたは理事長にこのことを反対したそうですね」

そこまで話したのか、と溜息をつきたくなるのをグッと堪えて「そうよ」と頷いた。

「あなたには無理かもしれないが、僕には出来る。理事長がそう判断なさったのだ」

「押し付けられた、と理解すべきね。失敗に終わっても「まあ、生徒会長といえども普通の子供ですから」って言い訳が利くし。うまく行けば「生徒の自主性を育てるために」って自分の手柄になる。どっちに転んでもまったく痛くないのよ、理事長は」

肩を竦めてが言うと慧は2、3歩彼女に詰め寄った。

「僕が失敗するだと?そんなことがあるはずがない!」

胸を張って言う。

「ま、失敗なさい。ちゃんとフォローしてあげるし」

の言葉に彼は顔を真っ赤にした。

「あなた如きにフォローされなくてはならない僕じゃない!」

「あたし如きでもフォローできるのよ。大人だからね。思うようにしなさい。ただ、短絡的に考えるんじゃないの。下手をすればあなたの判断が、他人の未来を潰すことだってあるの。それが例え間違っていてもね」

そう言っては生徒会室を後にした。


「ね、せーんせい」

振り返ったが見たのは目が全く笑っていない那智の姿だった。

「良いの?慧くんの傍に居なくても。ちょっと危ういところに立っちゃったじゃない?」

「慧を侮辱するなんて良い度胸だね」

の言葉を無視して那智はそう言い、彼女を睨みつける。

「あの子が利用されている。それは、那智君は理解しているんでしょう?」

「僕が兄さんを誘導して、それすら利用するよ。兄さんは..凄い人なんだから」

「あのオジサンの半分程度しか生きていない那智君がどれだけ牙を剥けるかしら。まあ、腹芸なら、慧君よりも間違いなく那智君の方が得意でしょうけどね」

がにこりと微笑んだ。

その笑顔に那智はゴクリと唾を飲む。

「教師になってまだ半年。でも、あなたたちよりも随分と経験は積んでいるのよ。あなたたちが今立っている場所は、とうの昔にあたしは通った道よ。粋がるのはガキんちょの特権だけど、怪我をすることも頭に入れておきなさい」

そう言っては那智に背を向けて歩き出す。

「くそッ!」

抜けている、役に立たない女教師だと侮っていたのに、何だこの屈辱。

那智は遠ざかるの背をキッと睨みつけて回れ右をし、生徒会室へと戻っていった。









桜風
12.3.18


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