| 文化祭に向けて生徒会の準備を随分と手伝った。 慧が言うには「邪魔」らしいのだが、追い出そうとはされなかった。 その分、那智が笑顔で色々と酷いことを言っていた。 普通のか弱い神経の年頃の娘さんなら傷ついて学校にこなくなるのではないかと言うものであったが、残念ながらの場合高校3年生を3回経験することを選んだ猛者である。 少なくとも、ちょっと酷いことを言われたくらいで学校に行きたくないと思うような可愛げはなかった。 「クラスAは演劇よね?」 「ああ。僕が脚本書いている」 「よく時間があるねー。見せて」 そんなことを言うのために慧は文化祭の準備の手を止めて鞄から書きかけの台本を見せてくれた。 こういった日常の行動で慧がに心を開いていることが少しずつ分ってきた周囲は、何とも腑に落ちないと言うか、を疎ましく思う原因のひとつである。 「なに、これ。何のパロディ?...けど、面白いじゃない」 の素直な感想に慧は機嫌を良くした。 「当たり前だ。この僕が書いているんだぞ?」 「そういや、成宮が演劇したいって騒いでたわ。合同でやってみたら?クラス同士生徒達自体が全然性格が違うから面白いものになるかもよ」 「...クラスZが?あそこは確か、コスプレ喫茶だろう?」 文化祭でのクラスの出し物は生徒会に届出るようになっている。そのため、どのクラスが何をするか生徒会は把握している。特に飲食系は役所への届出などが必要となるので生徒会への届出の締切りが早い。 「あのクラスは不破くんがいるからね。顔が派手なのが多いし、接客は向いてるかもね。あ、顔は派手でも性格は別か...」 「ふわっちょ?」 那智が話に入る。 「うん、不破くんって料理の腕が中々素晴らしいらしいよ。あのアホサイユ、だっけ?あそこでおやつをせっせと作ってるんだって。あたしもプリン食べさせてもらったことある。お店のよか美味しかったよ」 が言うと慧が不愉快そうに顔をゆがめた。 「あんなアホみたいな建物をこの神聖な学校に建てるなど...」 「けど、あたしが高校生のときもあったよ。似たようなの」 「何だと?!」 「バカがいたから」 真顔でが言う。 ズバッと単語を口にしたにちょっとだけ驚きつつも、「いつの時代も...」と慧が呟いた。 そういえば、あの建物は何故なくなったのだろうか。 学校を卒業するから撤去すると言う考えは浮かばないはずだ。 そのまま「この俺様がこの学校に在籍していたと言う素晴らしい証だ」とか意味の判らないことを言って残していったに違いないとは踏んでいる。 「ねえ、前の建物が無くなった経緯知ってる?」 ためしに聞いてみると 「動物のたまり場になってしまったらしく、衛生上や防犯上にあまり良くないから取り壊したと聞いたが...」 あ、そっち...いたな、動物好きで動物を引き寄せる体質の人。 何となく納得した。中身がなくとも、その残り香か何かが残っていて動物を引き寄せたのだろうか。 ん?匂いで呼び寄せているのか?? ふと、生徒会室の壁にかけてある時計を見た。 「うわ、やばい。職員会議!」 そう言っては慌てて生徒会室を後にした。 「教師のクセに廊下を走るな!」 扉から顔を出して慧が注意すると 「あとで気をつけまーす!」 と返しながらは走っていった。 |
桜風
12.5.6
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