| 「ねえ、ちゃん知ってた?」 文化祭数日前に悟郎から声をかけられた。 首を傾げるに悟郎が教えてくれたものとは、クラスAとクラスZが合同で演劇を行うとのこと。 「本気で?!」 「うん。センセちゃんが言ってたよ」 此処最近お互いの業務が忙しくてゆっくりと話をする時間がなかった。何より、真奈美はクラスを持っているからそっちが忙しいのだ。 「へー、意外」 が呟くと「当日は一緒に見ようね」と悟郎に言われて約束した。 「凄いねー」 体育館から出てが隣に立つ悟郎に声を掛けた。 「うん、ゴロちゃんもあのストーリーは秀逸だと思うよ」 文化祭当日に上演された3年クラスAとクラスZの合同劇を見終わったところで、ある意味感動した。 「クオリティが高いのに、全部笑いに持っていかれてるって中々ないよね」 の言葉に「うん、ゴロちゃんもそこに感心したよ」と悟郎は頷く。 大道具とか小道具とかしっかりしているし、ストーリー性もあるのだが、何だろう。『笑える』という意味の面白いになっていたのだ。 「ね、ちゃん。この後何処回る?一緒しない??」 悟郎に誘われては頷く。 「とりあえず、もうちょっとしてクラスZに行きたいな。不破くんの手料理が食べたい」 の言葉に悟郎は頷いた。 その後暫くは悟郎とは文化祭を堪能した。 やがて、クラスZのコスプレ喫茶の噂を聞いて足を向けてみた。 「わぁ...」とが声を漏らし、「ポペラ大盛況だね」と悟郎もちょっと驚いたようだ。 「ゴロちゃんたちも手伝ったの?」 「ううん、手助けはナシ。センセちゃんと生徒だけだよ」 たしか、悟郎達はクラスXの時代の文化祭は喫茶店をしたと聞いた。だから、そのときのノウハウ..なんてものがあるのか多少の疑問はあるが、それを伝授したと思っていた。 「やっぱりさ、自分達で作ったほうがポペラいい思い出になるよ。昔の人が口を出すものじゃないって」 悟郎がそう言った。 「真壁は偉そうに指揮取りたがらなかった?」 が問うと「そう。それが一番大変だったんだよー」と彼が肩を竦める。 並んでやっと順番が回ってきた。 「あれ?エンジェルちゃん」 にこりと微笑んだのは嶺だった。 「...誰?」 がぽかんと「エンジェルちゃん」という単語の対象を探す。 「もう!ちゃんったら!!ゴロちゃんのことに決まってるじゃない」 「...はい?」 目が点になる、とはこのことだ。 「そ、そうなんだ」とは相槌を打って案内される席に着いた。 「何だよ、まで来たのかよ」 テーブルにやってきたのは天十郎だった。 「忙しそうね」 「おうよ!で、注文は?」 悟郎と額を寄せ合ってメニューを眺めてそれぞれが注文する。 「ああ、そうだ。さっきの演劇。面白かったよ」 「そりゃ、俺様がその気になったんだから当然だろう。けど、珍しいこともあるんだ。アレ言い出したのって方丈兄だったんだぜ」 そう言って天十郎は席を離れた。 「ちゃん、嬉しいんだ?」 確認するように目の前の悟郎が言う。 「え?別に...」 「そ?」 天十郎の言葉、合同演劇は方丈が言い出したというのを聞いては目を細めた。少し、くすぐったそうに。 だから、きっと彼女が嬉しいと思ったのだろうと悟郎は思ったのだ。 あながち間違っていないはずだ。 「ちゃんは、先生に向いてるのかもしれないね」 悟郎の言葉に「ありがとう」と彼女は素直に礼を口にした。 |
桜風
12.5.13
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