| 冬休みは取れた。 さすがに、実家に帰って親孝行をしなくてはならない。 親の顔を立てるために、色んな会合に顔を出した。 お陰で、正月早々に真壁の顔を見る羽目になったし、生徒も見かけた。 ちっとも休めなかったので、来年は冬休みも実家に帰らないようにしようかとちょっと悩んだものだ。 冬休みが明ければセンター試験が待っている。 3年の副担任であるもそれなりに忙しい毎日を送り、センター試験の日は、朝試験会場で生徒達を激励した。 真奈美は担任だから、センター試験の当日は職員室の中をクマみたいにウロウロしていた。 もその気持ちが分らなくもない。そして、真奈美同様に職員室の中をクマみたいにウロウロしている人物は他にも居た。 「真壁も落ち着いたら?」 「What?この俺が落ち着いていないだと?!」 「真奈美先生は小さくて可愛いけど、あんたデカイんだからウロウロしたら邪魔!」 「新任は良くて俺はダメなのか?えこ贔屓だ!!」 「あんた、本業しときなさいよ。忙しいんでしょう?真壁財閥の次期総帥がうんたらかんたらっていつも偉そうに言ってるのに」 の言葉に翼はグッと詰まった。 「そーだよ。ちゃんの言うとおり。ツバサ、落ち着きなよ」 先ほどからスケッチを一心不乱にしている悟郎も落ち着かないのだろう。 そんな彼らを見て逆に真奈美が落ち着き始めた。 「担任も、こんな気持ちだったのかもしれないな...」 ポツリと翼が呟くと気を紛らわせるためにそれぞれ作業をしていたB6たちは手を止めて、数年前を回想している。 「先生の苦労は、今以上じゃないの?」とが茶々を入れると「、ちょっと黙ってろ」とか「......うるさい」とか非難を受けた。 肩を竦めたは廊下に出た。 校内をゆっくりと歩く。 何となく、見納めのような気がしている。 自分が賞味約3年間過ごした学園の姿はもうない。私立ゆえの寂しい現実でもある。 静かな校内を歩く。 ふと、向かいの校舎に誰かが居るのを見つけた。 今日は生徒会すら活動を禁止されている。しかし、彼女は理事長室から出てきた。 直感で何に係わることかわかった気がした。 「那智くーん...」 あの子が外で色々しているのは何となく知っている。知っているが、特に問題ないと思っていたが、これは問題に挙げられる可能性が出てきたということだろうか... アレだけ、自分の倍近く生きてるオッサンには警戒するように言ったのに。それでなくとも、あの理事長の最近の姿勢は生徒会を切り捨てるか、見せしめかにしようとしている節もある。聖帝舞踏祭がその良い例だ。 彼女はの姿を目にしてビクリと震える。 さっと表情が消えて駆け出した。 「ま、あなたもあたしの生徒だからね。フォローはするよ」 そう呟いて困ったように笑う。 翌日、は理事長室に呼び出された。 ドアを開けてその中にいる人物を目にしては目を閉じた。 彼は気まずげにを一瞥してそして、俯いた。 「お話とは何でしょうか、理事長」 に促されて理事長は鷹揚に頷き、話し始める。 彼の口にした言葉には目を眇めた。 |
桜風
12.6.3
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