| あたしが通っている学校は私立星月学園。 星にまつわるスペシャリストを育てることを目的として建てられたこの学校は、星詠み科、西洋占星術科、天文科、星座科、神話科、宇宙科の6学科に分れている。 元々男子校だったが、近年女子の受け入れも始めたので晴れて共学、となるところだったのだが、立地条件とあまりにも専門的なカリキュラムが組まれているので女子の入学は中々叶わず、共学の看板を掲げた男子校だった。 あたしが初めての女子の生徒で、お陰で全寮制のクセに女子寮がないからと言う理由で教員が生活しているの職員寮に入ることになった。 まあ、話を聞くと、職員寮のほうが間取りも広いし、キッチンも結構しっかりしたものだからお陰さまで快適生活を送らせてもらっている。 寮の門限は20時。課題とかで届出があればそれよりも遅くなっても大丈夫だけど、食堂の時間とか諸々を考えたらあまり遅くなるのはまず難しい。 ここから街まではバスで約30分。 そこまで出れば結構賑わっている。 けど、あたしは休日もあまり外に出る気がしない。 寮に戻って自分の部屋のドアを開けた。 ズキンとまた頭が痛くなる。 やっぱり風邪の症状は考えられないし... 今日はずっと頭痛に悩まされたから記録しておくことにした。 日記と言うと大げさな感じになるから、記録。 気付いたことを何となく、箇条書きでも良いから書いてみることにした。 だから、さっき、購買に寄ってノートを買ってきた。 最初の1ページを開いて今日の出来事を綴る。 夜になるとドアがノックされた。 出てみると月子ちゃん。 「いらっしゃい」 「お言葉に甘えて、来ちゃいました」 そう言って彼女は部屋に入ってきて、テーブル上に何か小さな袋を置く。 「何?」 「錫也が作ってくれたクッキーです。差し入れに貰ったので」 「良いの?」 「はい」 「じゃ、これからティーパーティーしようね」 そう言って紅茶を淹れる。 「リーフもあるんですね」 「手軽なのはパックだけどね」 「颯斗君が紅茶を淹れるのがとても上手なんですよ」 月子ちゃんが嬉しそうに話をする。 「あー...青空くんって執事とか凄く向いてそう」 あたしの言葉を月子ちゃんは少し考えてプッと噴出す。 「確かに、颯斗君は向いてるかもしれないけど、結構厳しいですよ」 想像してみた。 あたしも思わずプッと噴出す。 何度か見た。不知火が青空に叱られているところを。 「そうね、厳しそうだわ」 紅茶を月子ちゃんの前においてあたしも座る。 「東月くんのクッキーを口に出来る日が来るなんて..!いただきます」 そう言って1枚貰った。 「なるほど、カリスマシェフはカリスマパティシエでもあったのね」 感心してもう1枚。 月子ちゃんはあたしの用意したフィナンシェを食べている。 「錫也の作ったお菓子が褒められると、私も嬉しいです」 ふわっと微笑む月子ちゃんは本当に女の子だな、と思う。 「そういえば、先輩のご両親は海外にいらっしゃるんですよね?」 ズキン、とまた頭痛。 「ん?うん。そうだね」 「寂しいですね」 「んー、けど。ほら。寮生活で人の気配が結構近くにあるからね。そこまで思わないわ」 「今年のお正月も帰省されなかったんですよね」 「うん」 「じゃあ、今年の夏休みは?」 「帰国予定がないらしいし。追いかけていくのも面倒だから寮に居るよ」 ムリに家族団らんを求める気にはならない。 「そうなんですか?何だか、ちょっと寂しいです」 「月子ちゃんが寂しがってどうするのよ。けど、ありがとね」 月子ちゃんの寂しいは、あたしのことを想っての「寂しい」だから「ありがとう」だ。 それから暫く月子ちゃんと女の子同士、楽しく話をした。 あたしの買っている雑誌を見ながら月子ちゃんは春の新しい服がほしいと呟き、じゃあ、この雑誌に載ってる服だったらどんなのが好き?とか。 実にならない話題って結構盛り上がるし楽しいものだ。 気がついたら22時過ぎ。 「月子ちゃん、課題とか大丈夫?」 「あ!」 「何か手伝える?」 「だ..大丈夫です!ごめんなさい、私部屋に戻ります!」 そう言って月子ちゃんは慌てて部屋を出て行った。 あたしも課題やろっと... |
桜風
12.5.25
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