| 昨晩は頭痛に悩まされることなく、ぐっすりと眠れた。 疲れだったのだろうか... 「おはよー」 くひひ、と笑いながら声を掛けられた。 「おはよう、白銀」 「一樹から聞いたんだけど、昨日調子よくなかったんだって?」 少し心配そうな声音で言われた。 「ああ、うん。けど、しっかり睡眠もとったし治ったよ」 「なら、良いんだけど」 そんな会話をしながら階段を昇り、それぞれの教室に向かった。 白銀と金久保は同じクラスで西洋占星術科だ。 教室に入ると既に不知火の姿があった。 「おはよ」と声を掛けると「おう、調子はどうだ?」と聞かれた。 「ああ、うん。しっかり眠れたし。大丈夫だと思う」 そう答えると 「ムリすんなよ」 と不知火が心配そうに言う。 いやぁ、幸せ者だ... 「ああ、そうだ。昨日誉と話したんだが」 「金久保?うん」 「今日の昼休憩に茶を点ててくれるんだと。お前も来るだろう?」 生徒会室にはなぜか茶室スペースがある。 塀にこそ囲まれていないが、畳があって、茶釜とか屏風とかお茶のもてなしができるようになっているのだ。 ただ、もてなすことが出来るのは生徒会執行部の誰かではなく、金久保だけ。 彼に頼んで不知火がよく茶を点ててもらっているのを耳にする。 あたしも、たまにお相伴に預かっている。 「行く」 「そういうと思った。誉には、もうそう言ってるからな」 満足げに笑って不知火はそう言った。 昼休憩になって購買でパンを買って生徒会室を目指す。 生徒会室前には既に金久保が居た。 「遅いよ、一樹」 「悪い。が中々昼飯を決めないから」 「あたし?!」 どうやらあたしのせいらしい。 「じゃあ、しょうがないね」 「金久保、優しい...!」 そう言うと「でしょ?」と金久保にしれっと返された。 金久保って結構こういうところがある。一見気が弱く見えるけど、実は押しが強かったりする。 まあ、だから体育会系の部活の主将が務まっているんだろうけど。 手早く昼食を済ませてお茶のおもてなしを受ける。 「えっと...あれ?」 何度もおもてなしを受けているのに、作法が思い出せない。ズキズキとまた頭痛がする。 「おいおい、どうしたんだよ」 不思議そうに不知火が声をかけてくる。 「ごめん、金久保。ど忘れ」 「うん、良いよ」 そう言って丁寧に作法を教えてくれる。 言われるとおりにお茶をいただいた。 「お前、やっぱり調子悪いんじゃないのか?」 不知火がそう言ってきた。 「うーん、どうなんだろう」 「此処最近、気温差が大きいから体がついていってないのかもしれないね。無理せずゆっくり休んだ方が良いよ」 金久保がそう言う。 「うん、そうだよね。今日は早く寝るよ」 「課題、出てたろ」 不知火に言われて「あ、」と呟く。 「そか、マズイ」 「今日、一緒にやろうぜ。んで、ちゃっちゃと終わらせて即行休め」 「助かる」 そんな会話をしていると「ふふふ」と金久保が笑う。 「なに?」 「ホント、2人とも仲が良いよね」 「そうかぁ?」「そう?」 そんな風に思っていないけど、こんな感じに声が重なると微妙に否定もしづらい。 顔を見合わせて苦笑する。 「あーあ。当てられちゃう」 そんなことを言いながら金久保は立ち上がり、靴を履く。 「何だよ、誉」 そう言って立ち上がろうとした不知火は足が痺れているようで動けない。 あたしはそんな不知火をその場に残して「そうだよ」と言いながら立ち上がり、靴を履いてソファに座る。 「ちょっと待て。お前ら。いや、。何でお前は痺れていないんだ...」 「不知火、自分の体重を支えらんなくなったんじゃないの?」 しれっと返すと「バカ言うな!」とムキになった言葉が返って来た。 「の言う通りかもね」 金久保も話に乗る。 「くっそー...」 何とか足を崩した不知火がこちらを睨んでいる。 そんな不知火が可笑しくて思わず噴出し、同じく金久保も噴出してやがてお互い遠慮なく笑う。 「くっそー!」 心底悔しそうに不知火が吼えた。 |
桜風
12.6.1
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