星逢い 9





体育祭を数日後に控えている今の時期は運動部の様子がいつもより気合が入ったように見える。

体育祭は、やっぱり運動部の見せ場なのだろう。

弓道場の近くを通ったら弓道部が二人三脚の練習をしていた。

!」

手を振られて振り返す。

このままスルッと帰ってもいいのか悩んだ挙句、手を振ってきた金久保の元へと向かった。

「今は休憩?」

「体育祭の二人三脚の練習」

「二人三脚?」

そんなのあったっけ...?

「ほら、運動部対抗の」

「ああ」と頷きつつも思い出せない。あったっけな...

?」

頭を押さえていると金久保が目の前にかがんで見上げてくる。

「どうしたの?」

「あ、ちょっと頭痛。此処最近偏頭痛があるのかな?」

「一度病院で診てもらえば?それ、春先から続いてるよね?」

「うーん...」

女性の偏頭痛は多いって言うしな...

「まずは星月先生に相談してみる」

あたしが言うと「それがいいかもね」と金久保が頷いた。

「で、二人三脚だっけ?優勝できそうなの?」

そういえばグラウンドでもこんな練習してる部を見たな...

金久保に言うと

「生徒会からのご褒美があるからね」

と頷く。

だから、運動部は皆必死なのだ。

「そっか。何か欲しいものあるの?」

聞いてみたら金久保はクスリと笑って人差し指を唇に当てて「ナイショ」と言う。

「えー、そう言われたら気になるじゃん」

「体育祭当日に分るよ」

つまり、それは優勝すると言うこと。

「金久保部長、カッコイイ!」

揶揄すると「からかわないで」と言われた。

「あら?あの子...」

見たことあるぞ?

「ああ、木ノ瀬君?今月から入部してくれたんだ。陽日先生がかなり無茶を言ったみたい」

だろうなぁ...あの先生ちょっと暑苦しいから適当にあしらうってことが中々出来ないんだよね。

目があった彼はぺこりと頭を下げる。

「あ、もしかしてあの子って宇宙科?」

「うん。知ってるの?」

「ほら、不知火と一緒にいたら会計の天羽くんが声を掛けてくることがあるのよ。教室移動とかだったらあの子が天羽くんと一緒にいたりするの」

そうそう、だから見たことがあるんだ。

「なるほどね。向こうも同じように思ってるかもね」

「可能性は高いね」

「ぶちょー!」

クスクスと笑って話をしていると弓道部員、あれは青空くんのクラスメイトだったと思う。名前は聞いたことないけど、青空くんと結構一緒に行動している子だ。

その子が金久保を呼んだ。

「あ、休憩お終いだ。じゃあね」

金久保が部員達の傍に戻っていく。

「月子ちゃん、頑張ってね!宮地くんも!!」

知ってる2人には声をかけ、2人とも「はい!」と良い返事が返って来た。


体育祭当日。

確かに弓道部は優勝し、そして、生徒会にリクエストしたご褒美は女子更衣室だった。

おそらく、これは前から入念に下準備をしているのだろう。

簡単にほいほい作れるものじゃない。

学校の設備になるのだから、学校側との協議が必要だし。

けれど、こうやって少しずつ女子の生活しやすい環境が整うのはいいことだと思う。

今までは体育館の女子更衣室で着替えて部活をしていたらしいから月子ちゃんもこれから少しは楽になるのかな?

女子更衣室は明日明後日に出来るものじゃないけど、こうやって受け入れられていくもは良いことだ。









桜風
12.6.29


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