星逢い 13





夏休みはずっと寮で生活していたけど、月子ちゃんが部活で随分と遅くまで寮生活をしていたし、たまに弓道部の応援に行ってたりして結局暇を持て余すことはなかった。


新学期に黒くなってる同級生を見ると色々と心配になる。

あたしたち、受験生だよ、と。


2学期は教育実習生がやってくる。

この学校は色々と特殊だから教育実習も長めの3ヶ月。

大抵2年のクラスが受け持つらしい。

「不知火の知り合いがいるんじゃない?」

「知ってる人はいたな」

星月学園での生活の4年目を迎えている不知火は、今年教育実習に来た先生たちで此処のOBだったら名前くらいは知っているのようだ。


9月のある日。

文化祭を間近に控えているところで不知火に誘われて生徒会室に向かった。

金久保がお茶を点ててくれると言うのだ。

「部活が無くなったらやっぱり寂しいでしょう?」

「うん、けど。僕にはやらなきゃいけないことが沢山あるからね」

そう言いながらお茶を点ててあたしの前に器を置いた。

前に教えてもらった作法どおりお茶をいただく。

「結構なお手前でした」

そんなお茶の時間を楽しんでいると生徒会室が賑やかになる。

あれよあれよと言ううちに、お茶会、野点をすることになった。

「あたしも?!」

何だか、大勢が参加するようだ。

「ああ、も参加決定だ」

「決定なの?!」

「ふふふ。一樹がこう言ったらもう逃げられないよ」

楽しげに笑って金久保が言う。

「じゃあ、参加します」

「よし!んじゃ、皆で野点を成功させようぜ!」


野点当日、着物も用意されていて本格的だ。

は自分で着れる?」

「無理..と思う」

「じゃあ、できるところまでやってみる?ダメだったら僕が着付けてあげるし」

金久保に言われてその言葉に甘えることにした。

...同級生の異性に着付けてもらうとか有りなのだろうか?

何とか見よう見まねで着てみて金久保先生に採点してもらったら、

「うーん、やり直し」

と厳しい判定。

「これじゃあ、動いているうちに着崩れるよ。それは、だって嫌でしょう?」

「...はい。お手を煩わせます、金久保先生」

ガクリと肩を落として言うと金久保はクスクスと笑って「ちゃんと可愛く着付けてあげるからね」と言った。


宣言どおり金久保は可愛く着付けてくれた。

姿見で確認させてもらったけど、何だか自分じゃないみたいで驚いた。

「凄いね、金久保」

「そう?いつでも教えてあげるからね」

でも、金久保の指導は厳しそうなので遠慮したい。


野点は成功といえば成功かもしれないけど、不知火が非常に酷い目に遭い、学園の一部が破損してみたり、学園中走り回ったりで大変だった。

天羽くんの発明は遠目で見たり、不知火や月子ちゃんから話を聞いていたから知らなくもなかったけど、この目で見て感心した。

凄いことは凄い。

ただ、結末がやはり聞いていたとおりに爆発となるようで、できればお近づきになりたくない。

賑やかな野点は、最終的には星見茶となった。星見酒ならぬ、星見茶だ。見上げた星空はすっかり秋で、日中はまだ暑いけど、間違いなく季節は秋になっているんだな、って思った。









桜風
12.7.20


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