星逢い 14





星月学園の文化祭では『スターロード』というのがお目見えする。

この下を好きな人と歩いたら2人は結ばれると言う曰く付の代物だ。

スターロードって言っても確かに綺麗だし、ロマンチックではなると思う。

けど、生徒会が準備したそれでそんな曰くが付くことに誰も疑問がないのか...?


一人でプラプラと校内を歩く。

月子ちゃんに誘われているから彼女のクラスは行こうと思っているけど、さっき覗いてみたら結構賑わっていて長蛇の列が出来ていたから後で行こうと思う。

屋上庭園に出る。

今の時期の風はさらっとしていて気持ちが良い。

ただ、少しだけ寒いかな?

ベンチに座って空を見上げる。

秋晴れとはこのことね、と納得することが出来るくらいの真っ青な空。

足音が聞こえて顔を向けると神楽坂くんがいた。

「あら、久しぶりね」

「時間は、あまりない」

そう告げられた。

何の時間か、はあたしも何となく分っている。

「やっぱり?」

聞き返すとコクリと彼が頷いた。あたしの隣に座る。

「後どれくらいかなぁ...」

「半年、くらいかも」

「そんだけ?!」

「俺達が流れ星を見ることが出来るのは、一瞬」

「そか...」

けど、そうかなとも思っていた。

「ねえ、このことは、神楽坂くんは分るのに、不知火はわかんないの?」

あたしの質問に彼は首を横に振った。

「オヤジは分っているのか、分ってないの俺にはかわからない。分ってて、ああなのかもしれない」

何度か聞いてみたいと思ったけど、聞けなかった。

「そっか。寂しい、なー」

「皆そう思うはず」

「あたしのこと、みんなの中でどうなっちゃうのかな?」

「...わからない」

一生懸命、此処での生活に齟齬が生じるたびに繕って蓋をしていた。

けど、それも限界を迎えたらしくあたしは段々自分の境遇が分ってきた。

そうなると、たぶんここに留まることは出来ないだろう。

「あたし、いつからここにいたんだろう」

神楽坂くんを見ると彼は眠っているのか目を瞑って静かに呼吸をしている。

「ありがとう」

教えてくれてありがとう。


何度も感じた皆とのズレ。

修学旅行の記憶もある。けど、それはホンモノではない気がした。

話をしていてもどこか遠い話で、あたしの口から出る言葉も勝手に出てくるような感じだった。

天文台?本当は知らない。

バスの中での出来事やホテルで出された食事が美味しかったことも記憶にあるけど、体験していない。

あたしは、一体...




不意に携帯が鳴る。

隣に座っていた神楽坂くんもその音で目が覚めたらしく「オヤジから」と言ってふらりといなくなった。

携帯を見ると本当に不知火からで、驚いた。

「もしもし」

『今何処にいる?月子がお前が来ないって寂しがってるらしいぞ』

あ、そうだ。忘れてた。

「今から行く」

『俺も今から行くから一緒に行こうぜ。お前、今何処だ?』

「屋上庭園。不知火は生徒会室?迎えに行くよ」

『そうしてくれ』

不知火の電話が切れた。

抜けるような秋の空を見て、少しだけ泣きそうになった。









桜風
12.7.20


ブラウザバックでお戻りください