| 星月先生の部屋を訪ねた翌日、2時間目が終わってからあたしは保健室に向かった。 「何処行くんだ?」 「保健室」 「ついて行くか?」 心配そうに不知火に言われた。 「いいよ」 「けど...」 「月に一度の女の子の日で、腹痛が酷いだけ。次の時間は休むからよろしく」 そう言ってしまえば無理について来ない。 「失礼します」 保健室のドアをノックして入ると珍しく星月先生が起きていた。 「何を驚いているんだ?」 「まず、此処に来たら星月先生を起こすところから始めなきゃいけないだろうと思っていましたので」 あたしの言葉に「それは、期待に沿えることが出来なくてすまなかったな」と言われた。 「いえいえ」 「で?体調不良なのか?」 「月に一度の女の子の日の腹痛って事になってます」 「...そりゃ、追求しづらいな」 男子校同然のこの学校だ。反応に困る人しかいないといっても過言ではない。 「それで、相談って何だ?」 あたしはこれまでの自分の出来事と推測を話した。 星月先生は心底呆れた表情をしていた。 「あのな、。お前、疲れているんだな」 「まあ、疲れてなくはないですけど」 「寝ておけ。1時間くらいサボらせてやる」 「じゃあ、去年の修学旅行の写真と、昨年一昨年のクラスの集合写真を見てみてください。あたしは、いないはずです」 そう。あたしはいない。 あたしがこの学園に通い始めたのはおそらく、今年の3月から。 何が原因で、どうしてこうなったかは全く分らないけど、スタートはそこだと思う。 星月先生は少し悩んだようだったが、「ちょっと職員室に行ってくる」と言って出て行った。 ウトウトとしていると「」と声をかけられて顔を上げる。 「お前の、推測どおりだった」 驚きが隠せない声で星月先生が言う。 「どういうことだ?」 「そこまでは推理できていません。たぶん、それは答えが出ないと思います」 「...そうか。これからどうするんだ?」 「2年星詠み科の神楽坂くんってご存知ですか?」 星月先生は少し悩み、「たしか、特待生の」と言う。 「彼曰く、あたしは『流れ星』だそうです。自分たちが流れ星を見ることが出来るのは一瞬だと言っていました」 暫く星月先生は考え、「つまり、お前はここからいなくなると言うのか?」と確認してくる。 「はい。こっちのあたしの記憶..というか設定ですよね。それと同じだけあたし自身の記憶が戻っています。両親は日本にいます。母は専業主婦で、父は地元企業に就職してコツコツと仕事をしている人です。海外をウロウロなんてしていません」 「...そうか」 「先生、あたしの学費ってどうなっています?あ、特待生って設定だから関係ないのかな...」 「入金されていない生徒は今のところいない。特待生ってのもあるだろうが、どういうカラクリかは分らないな...」 そうか... 「はどうしたいんだ?」 「はい?」 「期間限定であっても、お前は此処の生徒だ。俺に何とかできることがあれば、手を貸してやる」 「星月先生?!」 星月先生ってこんな人だったっけ? けど、今の心境では『助かる』ってのが一番の感想だ。 「あたしは、卒業だけはしたいです」 「受験はどうするんだ?」 「棒に振る可能性がありますから、受験はしません。ひとまず、卒業後の進路は両親と共に世界を旅するにします」 「一種の留学という扱いだな」 「はい」 「...何か困ったことがあったら相談しなさい。正直、どれだけ力になれるか分らないが」 「協力してくれる人がいるってだけで随分と心強いものです」 そう返すと「正直、の話は全く信じれないんだけどな」と苦笑交じりに言われた。 「それが普通です」 返したあたしに「すまない」と謝る星月先生。 凄く、先生に迷惑をかけることになるけど、厚意に甘えさせてもらうことにした。 |
桜風
12.7.27
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