苺ショート





誕生日といえば、生クリームたっぷりのケーキ。勿論その上には苺。

学園一料理が上手い東月に教示を願い、美味しいと言ってもらえるハズのケーキをは全力で作ってみた。

本日めでたく誕生日を迎える彼は、クリームが大好きだ。

だから、ケーキに生クリームは必須で、しかも、その彼はクリームへの想いがかなり深い。

語り始めると中々止まらない。

だから、半端なクリームのケーキを作ることなんてできない。

「うーん、それくらいで良いと思うけど」

「そうかな?もっと美味しくできないかな?」

「それ以上は硬くなるぞ。宮地君はクリームに煩いからなー、それくらいが丁度良いよ、きっと」

カリスマ主婦..ではないものの、彼が作る料理は誰もが絶賛し、も勿論大絶賛する。だから、彼に教示を請い、そのアドバイスは聞いたほうが良いことは重々承知だ。

「で?そろそろ仕上げにかからないと時間が無いんじゃないかな?」

促されては慌てる。


デコレーションをしてケーキを箱に入れたに片付けは自分がしておくからと声を掛けた。

「ありがとう!」と言って駆け出したに声を掛けようとしたが、ダッシュして去って行く彼女に届かないと察した東月は「せっかくのデコレーションが...」と苦笑した。



「ああ、遅れた...!」

腕時計を見ては小さく呟く。

時間が無いのは分かっていた。だが、ケーキ好きの宮地に渡すケーキなのだ。心を込めてできるだけ丁寧に作ってプレゼントしたかった。

「宮地くん!」

そわそわしている宮地がその声に振り返る。

「ごめんなさい、遅くなって」

そういうに「い、いや...」と落ち着き無く答える。

「ケーキを作ってきたの。食堂に行かない?」とが言い、「そ..そうだな」と宮地も頷く。

紅茶を淹れて、箱を開く。

「...あ」

目の前でずぅんと沈むに宮地は慌てる。

綺麗にデコレーションをしたケーキが箱の中でシェイクしてしまったのか形が崩れてしまっている。

「いや、お前が一生懸命作ってくれたのは分かってるから」

と宮地がフォローをしたがあまり効果がない。

何を言っても仕方ないかもしれない。

そう思った宮地は「いただきます」と言ってぐちゃっとなったケーキにフォークを伸ばして口に運ぶ。

「うまい!」

「無理しなくて良いよ」

「いいや、無理じゃない。俺はスイーツに関して嘘は言わない!」

高らかに宣言をする宮地にはぽかんとした。

「うまいぞ」

重ねて宮地が言う。

「ホントに?」

覗うようにが見上げる。

くらりと眩暈を起こしたがそこは日ごろの鍛錬のお陰で何とか耐えた。

「ああ、うまい。ありがとうな」

微笑む宮地には俯く。

お互い顔が真っ赤だ。


「...なあ、あれちょっと乱入してきて良いかな?」

食堂で遠巻きに2人を見ていた独りが呟いた。温かく見守るつもりだったが、何となくムカついてきた。

「あ、賛成」

一緒にいた友人が同意する。

「や、やめましょうよー。絶対に怒られますよ」

後輩が止めるが既に邪魔する気満々の彼らの先輩は止まりそうにない。

「...はぁ」

一緒に怒られてしまうんだろうな...

数秒後の自分の運命を察して彼は深く溜息を吐いた。





2010年の宮地の誕生日にSSで書いたのを夢に書き直してみました。
まあ、ヒロインの名前が出来たくらいで内容は大して変わっていないはず...デス。




桜風
10.11.3執筆


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