Dear sweet…




今年も甘ったるい香りの漂うあの日がやってきた。

そう、今日はヴァレンタインデー。

何でか知らないけど、この日には甘いものって事になってるらしい。

ま、俺は他のモテナイ男たちとは違って、たくさんくれる女の子たちがいるから嫌な日でもないけど...

あ...でも、嫌な日かもな。


「ディアー!!」

俺の腐れ縁のが手を振りながら走ってきた。

「よお、

「おは!...今日も麗しいね、イザークさん」

俺のすぐ先を歩いているイザークの後ろ姿をウットリと眺めながらがこっそり声を掛けてきた。

「ぁあ?麗しいって誰のことだ?!」

「あんたバカ?今、あたしは『イザークさん』って言ったでしょ?!ったく。あ、そーうだ」

そう言ってが鞄の中を探る。

そして出てきたものは、綺麗にラッピングされた何かだった。

この何かってのは今日が何の日か分かってれば容易に想像できる。


が!こいつのくれる物といったら...

去年は、タバスコ入りのトリュフ。

一昨年は、ウィスキーボンボン。ただし、ウィスキーの代わりに『酢』が入ってたから正しくは『ビネガーボンボン』だろうけどな。

その前は...思い出すだけでおぞましい。

本当、マトモに食べれた物がない。いや、全部最後まで食べてるけど...


「今年こそは、マトモな物なんだろうな?」

「ふふ〜ん。ま、食べてみてよ」

自身有り気に言うから今年こそ、マトモな、食える物を作ってきたのかと期待しつつ鞄に入れた。

「あれ?今食べないんだ?」

「まあな。下手な物だったらそのまま家に帰らないといけなくなるしなー」

そう言っておいた。

「何となく、今急いで食べるのが勿体ない気がしただけ」なんて口が裂けても言えない。



授業が終わって、イザークと一緒に帰ろうとしたら

「これはキサマにやる!!」

って自分の貰ったプレゼントを全部俺に寄越して走っていった。

親友の背中を見送りながら俺はちょっと複雑な気分だ。

、泣くかな...

の泣いた顔なんてそれこそ10年以上見てない。

まあ、俺はとは別の幼年学校に通ってたからアイツとの間には空白の時期があって、その時期にイザークとダチになってそのままこっちとも腐れ縁。

はイザークを始めて見たときから、ずーっとあの調子で。

そうして、俺は時々とイザークの接点を作ってやってたりした。

でも、そんなことをしても、イザークには好きな女が居て、そいつのことを本当に想ってる。

それは一番近くに居る俺がよく知ってることで、それを感じる度にが悲しむ顔を思い浮かべて胸が痛む。



「やほ!ディア、一緒に帰ろう?...あれ?イザークさんは??」

そんな今日に限ってが態々一緒に帰ろうなんて言ってきた。

「あー、イザークは用事があって...」

俺の言葉も歯切れが悪くなる。

「ふーん、そっか。...大漁だね。今年は、またいつもよりも多いねぇ」

俺の持っているプレゼントをまじまじと眺めながらは感想を述べる。

「あ、でも、イザークさんはディアの倍以上は貰ってるね!って、これより多いの??家の中、大変そうだね」

「...イザークの家は俺らの家よりもずっとデカイし、困らねぇよ」

「そっか。そうだよね、ジュール家のご子息だもんね。ウンウン、納得」

段々腹が立ってきた。

イザークのことを知らずに無邪気に、嬉しそうにイザークの話をするが..ムカつく。

「お前、イザークと付き合えねぇぞ」

「は?何言ってるの??」

「イザークは好きな女が居るんだよ。さっき、そいつを追いかけて行ったんだ。元々、イザークの中にはお前の入り込む隙間なんてなかったんだよ」

さっきは、それを知ったときのを心配してたのに、今の俺はそんな現実を自らコイツに付き突けて...

我ながらこの矛盾には呆れる。

少し、の反応が気になって窺ってみると

「は?知ってるよ。てか、何?あたしの入り込む隙間って??」

「は?!だって、お前イザークが好きなんだろ?」

「うわ、カンチガイ。なワケないでしょ!」

「だって、お前。いつもイザーク、イザーク言ってただろ?!」

「『憧れ』と『恋』は別物よ!で、イザークさんは憧れ。目の保養よ」

『目の保養』と言われて俺は呆然となった。

今まで散々コイツのことを心配したと言うのに、何なんだ?

「じゃあ、お前は誰が好きなんだよ!」

殆ど逆切れで聞いてみると途端にの目が泳ぎ始めた。

「だ、誰だっていいじゃん」

「良くねぇよ。俺の知ってるヤツなのか?!」

何だか意地になってしまう。俺の意地が伝染してしまったのか、はたまた持って生まれた性格か。もムキになってきた。

「知ってるよ。そりゃもう、ふかぁーい仲だよ!!」

俺と深い仲?誰だよ。腐れ縁は目の前に居ると今は目の前に居ないけどイザーク。他に思いつく奴なんて居ない。

「まだ分かんない?あたしが好きなのは、ディア、..ディアッカ・エルスマン。あんたよ!!」

ビシッと指差されて思わずたじろぐ。

お、俺?何で??毎年の嫌がらせのような作品は??

それについて聞いてみると

「だって、ディアもたくさんチョコを貰うでしょ?だったら他の人のに埋もれてあたしの、忘れられちゃうじゃない。だから、絶対に忘れられない物をって思って...」

確かに、から貰ったアレらは忘れられないものだよ。

でも、

「俺が、お前から貰ったものを他のヤツのと一緒にすると思うか?お前のはどんなものだってトクベツなんだよ」

俺の言った言葉の意味が分からない、そんな表情で首を傾げているに口付けた。

「俺も、が好きだ。お前はトクベツなんだ」

今までで一番甘いヴァレンタインとなった。




「で、今年の『アンチ没個性』の作品はどんなだよ?」

「ディアって、『ニホン文化』に興味あるじゃん?日舞やってるんだし。てなワケで、今年は『和』がテーマです」

「...具体的には?」

「梅干をチョコレートでコーティング!」

「一緒に食べようなー、?」

の肩をしっかり抱いて逃げられないようにして、また口付ける。

とりあえず、自分の作った作品の責任は取ってもらおう。

勿論、折角作ってもらった物だし俺も今年の忘れられない作品を口にするつもりだけど。




初のディアッカ夢です!!
イザーク&ディアッカ好きですvv
あのさらりとしたマブダチ関係。いいっスよね〜♪


桜風
05.2.13
05.3.13再掲


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