| 今年も甘ったるい香りの漂う日がやってきた。 正直、イザークはこんな慣習を作った人間に文句が言いたくなる。 何だって、荷物を増やされ、お返しを期待されてそれに応えないといけないというのか。 一緒に登校して来たディアッカは後方で幼馴染と一緒に歩いている。 邪魔をするのも野暮と言うものだろうと考えたイザークは少し歩くスピードを上げて校舎に向かった。 「おはよう、イザーク」 「ああ、おはよう」 クラスメイトと挨拶を交わす。 教室に行くまで何の素振りも見せないにイザークはひっそりとがっかりした。 授業が終わって帰り支度をしていると 「あの、イザーク」 が声を掛けてきた。 「どうした?」 「えっと、これ..」 そう言いながらは手にしている箱を差し出した。 「くれるのか?」 「うん、どうぞ」 の返事を聞いてイザークがそれを受け取ろうと手を伸ばしたとき、突然間に余所のクラスの女子が入ってきて、それが床に落ちた。 「イザークぅ。これ、受け取って?」 はっきり言ってイザークの好きなタイプではない。寧ろ、全くこの先の人生に於いても接点を持ちたくないようなタイプの人間だった。 そして、彼女はこともあろうか、がイザークに差し出したプレゼントを踏みつけていた。 それを目にしたが思わず教室を飛び出した。 「!!」 すぐに後を追いかけようとしたが、目の前の女子にとうせんぼをされてしまい、仕方がなくプレゼントを受け取り、のプレゼントを拾い上げた。 「これはキサマにやる!!」 自分が貰った大量のプレゼントに今押し付けられる形で貰ったのを加えてをディアッカに押し付け、イザークはの後を追った。 イザークの足は決して遅くない。 しかし、イザーク並に足の速いに中々追いつけず、必死に探す。 が何処に行ったか見当も付かないが階段を上り、屋上に出た。 ドアを開けるとフェンスに肘をついて外を眺めているの後ろ姿が目に入った。 「...探したぞ」 イザークの声にビクリとの肩が震える。 ゆっくり振り返ったが 「何で、ここに居るの?」 と声を掛けると、イザークは 「それはこっちのセリフだ。まったく、相変わらず足が速いな」 溜息を吐きながら言葉を返す。 「確か、俺が貰っても良かったんだよな?」 そう言いながら手にしていた箱の包みを開ける。 「ちょっと!それは...」 が止める間もなく、イザークは箱の中で踏み潰されて粉々になったチョコの欠片を口にした。 「甘いな」と呟き、顔を上げての目を見る。 「これは、お前の好意と受け取っていいんだよな?」 射抜くような目でそう声を掛けられる。 その目から逃れられるはずもなく、は頷いた。 「好きだよ、イザーク」 イザークはを抱きしめながら、 「俺も好きだ、」 と囁き、唇を重ねた。 |