| 休みの日には必ず図書館へ行くようにしている。 これから先、数ヵ月後には簡単に通えなくなるから。 図書館へ行くのは好きだ。 静かだし、何より、私の好きなものがある。 本。勿論それは大好きだ。幼い頃から色んな本を読んできている。 しかし、最近はそれだけではない。 今までは図書館に着いたら本棚にまっしぐらだった私が、今では、 「いない..か」 ある人物を探すことからはじめている。 名前は知らない。何処の人かも分からない。 ただ、私が知っているのは彼の纏う空気が凛としていることと、読む本がちょっと変わってること。 見た目、物理とか機械工学とかそういうのを読みそうだけど、でも実際図書館に来て向かう先は民俗学の本棚。 初め、彼がその本棚に向かっていったときは気まぐれだろうと思った。 でも、次のときも、その次も。 彼は図書館に来るなり民俗学の本棚へ向かって行った。 寄り道かなと思って、こっそり影から覗いたことがある。すると、彼は迷うことなく民俗学の本棚の前で止まり、そして、楽しそうに手を伸ばす。 その姿から全然想像がつかなかったけど、でも、あの嬉しそうな顔を見たらそんな似合うとか似合わないとか関係ないって思った。 私はいつもの席に着く。 窓際でお日様がキラキラしているこの席。 本を読むには向いてないけど、でも、此処が好き。そして、本を読むのに向かないから、結構空いてることが多い。 さっき本棚に寄って物色してきた本を机の上に置き、 「さて、と」 ページを捲る。 知らないうちに時間が過ぎてしまったようだ。 本を読み終わって顔を上げるとそこには、 「あ...」 いつも民俗学の本を読む彼が目の前に座っている。 「声を掛けたが、反応が無かったので座らせてもらったぞ。いつも、機械工学を読んでるな」 初めて聞いた彼の声は思ったよりも優しくて、心地良い。 「ええ、あなたも、民俗学ね」 「知ってたのか?」 私の言葉に少し目を見開いて驚いたみたい。 「俺は、イザーク・ジュール」 彼が自己紹介をして私に促す。 「私は、・。よろしく」 図書館の閉館時間になったのでそれぞれ読み切れなかった本を借りて帰った。 帰り道。 「ジュールさんは、いつも図書館にいらっしゃるんですか?」 「いや。そうでもない。それなりに忙しいからな。あと、ジュールさんってのはやめてくれ」 「あ、はい。じゃあ、..イザークさん?」 「そっちの方がいい。は、いつも図書館に?」 「いえ。そうでもないですね。休みの日だけですかね」 イザークさんと話をしたのはこれだけだった。 その日以降も私は図書館に行くことはあったけど、会えなくて終わった。 1回、興味を持って民俗学の本を手にとって見たけど、さっぱり分からなかった。 その後、私はアカデミーを卒業して、軍に入った。 私の所属はMSの整備班。 「おい。赤の奴らが此処に見に来るらしいぞ」 「将来有望な坊ちゃんたちだからな!、気合入れろよ!!」 そんな好き勝手なことを言われる。 そして、私たちの作業中に彼らはやって来た。 「おーい、。挨拶しとけ。お前が整備する機体に乗るパイロットだぞ」 そう言って声を掛けられたから手を止めてチーフのいるところに向かうと、 「?!」 「イザーク..さん?!」 そこに居たのは赤いザフトの制服に身を包んでいたあのイザーク・ジュールさんだった。 「何でお前が此処に?!」 「それは私も聞きたいですよ。イザークさんが何で赤の...て、パイロット?!」 「なんだ、お前たち知り合いか?ま、仲良くやれよ。メカニックとパイロットは信頼で結ばれてないとお互いが十分に仕事できないからな」 そう言ってチーフは私の背中をバシンッ!!と叩いてガハガハ笑ながら去って行った。 お互い何て言っていいか分からずに沈黙していたけど、 「まあ、が俺のメカニックなら大丈夫だな。あれだけ勉強してたんだ。機械工学が好きなようだし、な?」 そう言ってイザークさんが優しく微笑む。 「勿論!任せてください。イザークさんの機体は、最高の整備で出撃させてみせますよ!!」 |