| プラントで婚姻統制が厳しく言われる昨今、ディアッカは結婚した。 彼女の遺伝子については調べていない。だって、遺伝子で結婚する気はさらさらなかったし。 父親が遺伝子研究の権威であってもそんなことは知ったことではない。 そんなディアッカだったので、結婚するまでにはかなりの血を見た。 と、いっても血を流している夫と息子を見ながらエルスマン夫人はぼんやりとコーヒータイムを満喫していたりするツワモノで、結局「まあ、いいじゃないの。かわいいし」という彼女の一言でディアッカの父親であるタッド・エルスマンは崩れるようにうな垂れて、頷いた。 プラント内での婚姻統制は、要は子供が生まれやすい、その可能性が高いからという理由での制度であるため、子供が生まれればそんな制度意味がないと鼻で笑えるとディアッカは思っていた。 しかし、自分たちコーディネーターは確かに子供が生まれにくい状況に陥っており、それも一応理解している。 まあ、子供が出来るかってのは結局のところ『運』だろうと思っている。 子供が欲しくて結婚するなら、たしかに自分だってプラントの制度に従った。その方が確率が上がるし、効率的だ。周囲も頷かざるを得ないから今回みたいに血を見ることはなかっただろう。 しかし、自分は彼女、・を愛して結婚したいと考えたから彼女と共に歩む人生を選んだし、彼女も選んでくれた。 婚姻統制に従い、婚約をしている友人たちも居る。彼らは自分の選択を苦笑しながら肯定した。「お前らしいよ」と。 さすがに、プラントの制度に反する結婚であるため、結婚式などは小ぢんまりとしかできなかった。 彼女に対して申し訳ないと思うただひとつの点だった。 「ただいま」と帰るとパタパタと足音がして「おかえりなさい」とが駆けてきた。 ディアッカは腕を広げて彼女を受け止めてキスをする。 「今日はどうだった?」 が聞くと 「いつもどおり。まあまあ」 とディアッカは返す。 「ああ、おかえり」廊下ですれ違った母に声をかけられ、「ただいま」と返す。 両親と同居というのは本当は嫌だった。 なんというか、色々と口出しされそうだからだ。 自由にのびのびととイチャイチャしたいと思っていたのだが、母が同居と言い出し、何より、彼女と結婚できたのはその母のお陰でもあるから頭が上がらず仕方なくそれを受け入れている。 まあ、一応嫁姑関係はかなり良好なようだからこれでもよかったと納得はしていのだが... 「ねえ、ディアッカ。あとでお話聞いてね?」 かわいらしくそういうに「もちろん」と返してディアッカは首を傾げる。 「今じゃダメなのか?」 「食事のときが、いいな...」 少し俯いて申し訳なさそうにが言う。 「食事?」 「うん。お義母様が、その方が面白いだろうって」 「...『面白い』?」 オウム返しに彼女の言葉を繰り返す。 はやはり申し訳なさそうに頷いた。 まあ、あの母親に逆らう必要がないことについては逆らわない方がいいだろう。 なんと言っても我が家最強だから。 「が気にすることないぞ」 は不思議そうにディアッカを見上げる。 「お袋がそう言ったんだろう?いいって」 「ごめんね?」 「気にするなって」 そう言ってキスをして食堂に向かう。 いつの間にか父も帰ってきてたらしく、すでに席についている。 結婚前はかなりとのことを反対した父親だったが、今となっては自慢の嫁さんだとか職場で言っていると友人から聞いたことがある。 全く呆れる... 食事を始めてしばらくすると「さん」と母が彼女を促した。 ああ、さっき言っていた聞いて欲しい話か、とディアッカは思いつつも食事を続ける。 は厳かに立ち上がり、そして高らかにこう言った。 「聞いて驚いてください。赤ちゃんが出来ました!」 ガチャン、と同じタイミングで2つの音がした。 それはタッド・エルスマンとディアッカ・エルスマンがそれぞれフォークを落としてしまった音だ。 は恐る恐るディアッカの顔を覗き込む。 目を丸くして固まっている。 そして、その向かいに座るタッドの顔を見た。 同じく目を丸くして固まっている。 たしかに、エルスマン夫人が言ったとおり、面白いと言えば面白い。 そんな中、おもむろにタッドが立ち上がる。 嫌だったのかな、とは不安になった。 そして、タッドが取った次の行動には目を丸くした。 彼は、ディアッカを思い切り殴り飛ばしたのだ。 ああ、歓迎されなかったのか... は泣きそうになって俯いた。 しかし、そうではなかった。 「ってー!何すんだ、クソ親父!!」 「痛いか!」 「だからそう言っただろうが!!」 既に臨戦態勢のディアッカだ。 「じゃあ、夢じゃないんだな」 シーンと食堂内が静まり返る。 「...おい、クソ親父」 「何だ、バカ息子」 「まさか、とは思うけど。痛みを感じれば夢じゃないって言う理屈でオレを殴ったとか言うんじゃないだろうな」 「バカ息子にしては中々の洞察力だな。そのとおりだ」 「ふっざけんなー!」 またしての殴り合いの喧嘩が始まる。 この光景は、結婚する前に一度だけ目にした。 は困ってエルスマン夫人に視線で助けを求める。その視線を受けたエルスマン夫人は肩を竦め、ナプキンで口元を拭いて立ち上がる。 喧嘩をしている2人の頭を掴んでそのままぶつけた。 ゴツン、といい音が食堂内に響く。 「いい加減におし!あんたたち、さんにまず言う事があるだろう?!」 同じように頭を抱えているディアッカとタッドがを見上げる。物凄く不安そうな表情を浮かべている。 ディアッカとタッドは慌てて立ち上がる。 「いや、さん。違うんだ。嫌とかそういうんじゃなくて...むしろ嬉しいし喜ばしことだと思っているんだよ」 しどろもどろにタッドが言い募っているとディアッカはひょいとを抱えて食堂を後にする。 「...まったく、食事中だというのに」 こうなることを予想した上で食事中に発表するようにに勧めたエルスマン夫人は面白そうな表情を浮かべながら肩を竦めてそういった。 部屋に戻ってをそっとベッドに座らせた。 「ディアッカ?」とが不安そうに名を呼ぶ。 「、さっきの本当か?」 膝をついて彼女の手を握り、見上げながらディアッカが言う。 は頷いた。 ディアッカはくしゃりと泣きそうな表情を浮かべる。 「ディアッカ?!」 慌てたようにがディアッカの名を呼んだ。 グッと引き寄せられ、あっという間にはディアッカの胸の中だ。 「なあ、。泣いていい?」 「え?!」 その言葉に慌てただが、ディアッカの腕の力が緩んでくれなければ離れられない。 「嬉しいときって、ホントに涙が出るんだな」 掠れた声でそう呟いたディアッカの腕の力が一層強くなる。 「ディアッカ、ありがとう」 諦めてはディアッカの背に手を回してそういう。 「、愛してる」 ディアッカの震える声には「わたしもよ」と返した。 |
リクエスト内容
『結婚してて、ヒロインが妊娠した事を報告して、嬉しそうにするディアッカの未来夢』
リクエストありがとうございました!!
桜風
09.7.19
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