守りたいもの





「あらあら、まあまあ」

ザフト本部。

彼女は赤い服を着た少年達を見つけて思わず呟いた。

彼らも彼女を見つけて軽く手を上げて近付いてきた。

「あらあら、まあまあ」と先ほどを同じ言葉を繰り返したのはだ。

ザフト本部で事務官をしている。戦闘職ではないが、気が良くつくし、手際が良いので重宝がられている。

最近はオペレーターにならないかとスカウトを受けているので、それについてちょっと検討中だ。適性はあると、自分でも思う。

彼女と彼らは所謂幼馴染のようなものだ。

親の職種が同じだったので、幼い頃から顔を合わせていた。

「本当に入っちゃったんだ...」

少し複雑そうな表情を浮かべてが言う。

「俺にだって出来ることがあるから」

そう答えたのはラスティだった。珍しい。ラスティはどちらかといえばそういう熱血漢なポジションではなくて、のらりくらりとした感じだ。そういうのは真面目なアスランとか、意外と真面目なイザークとか、見た目どおりに真面目なニコルのセリフだと思っていた。

「今、失礼なこと考えていない?」

ディアッカがニヤニヤと笑いながら声を掛ける。

「失礼?何のこと??」

きょとんとして返すに苦笑して「ま、いいけど」と言う。

「しっかし、まあ。揃いも揃って真っ赤ね」

からかうように言うにイザークの眉間に皺が寄る。

「ああ、ごめんごめん」

文句を言われる前に謝る。これが一番静かにその場が収まるのだ。

実際、文句を言えずにイザークは黙った。


「ところで、何処の隊に配属?」

「クルーゼ隊です」とニコルの返事を聞いては目を丸くした。

中々、かなり期待されているのだなぁ...と。

ー!」

「あ、まずい」と呟き、「ごめん、もう行かなきゃ」と声をかけてはその場から離れた。

の背中を見送った彼らはブリーフィングルームに向かった。



ブリーフィングが終わってその日は解散となった。

「あれ?ラスティは?」

ニコルが周囲を見渡して言う。先ほどまで一緒に居たのにいつの間にか姿が見えない。

「トイレじゃないのか?」

なるほど...

納得してそのまま寮へと向かった。


一方、ラスティはトイレではなく本部の中を歩いていた。

事務官がいるのは何処かなー、と思いながら。

正式にザフトに所属しているのだから、この中をうろうろしても怒られない。それに、自分は『赤』だから。

「あ、いたいた」

の姿を見つけたラスティはそろそろと彼女に近付く。

しかし、彼女は一人ではなかった。もうひとり、上官が居た。

あ、盗み聞きはよくないよな...

さすがに他の隊の動きとか勝手に聞いたら拙いだろうし。あ、でもは事務官だからそれはないか。

そう思っていたが、耳に入った言葉に驚いた。

『オペレーター』と言っている。どういうことだろう...?

話が終わったのか、が敬礼をし、上司が返礼をしてその場から去っていった。

「ねえ、さっきのどういうこと?」

突然声を掛けられては驚き、そして苦笑した。

「もう!盗み聞きとか。自分の立場が危うくなるかもしれないこと、しないの!」

叱られた。

でも、そんなの今はどうでも良い。

「オペレーターになるの?」

渋い表情をしてはじっとラスティを見たが、彼はそのの言いたいことを汲む気にならないようだ。

溜息をつき、「ま、そう言う話は出てる。やってみないか、って」と答えた。

は、どうしたいの?」

「わたしに出来ることがあるなら、ってところかしら?」

先ほどラスティが言った言葉を引用してそう言う。

「俺、にはプラントにいてほしい」

「ん?」

どういうことか分からずに首を傾げたをラスティはまっすぐに見た。

「俺、プラントを守りたいんだ」

「うん。みんなそうよ」

が頷く。故郷を守りたい。だから、皆ザフトに入る。

「俺は、の居るプラントを守りたい。の愛しているプラントを守りたい」

きょとんとした。

そんなにラスティは苦笑する。

「ねえ、。俺に守らせてよ」

彼女よりも年下の自分は大抵彼女に守られていた。

それがもどかしいと感じるようになってからも、やっぱり彼女の方が色々と出来ることが多くて、結局守られてばかりだと思っていた。

そして、今。自分に出来ることがあることに気が付いた。

今の自分ならきっとを守れる。

「俺、が好きなんだ。だから、俺に守らせてよ」

突然のラスティの言葉には目を丸くして、そして、困ったように笑った。

「ねえ、ラスティ。わたしもよ。わたしも、守りたくてザフトに入ったの。まあ、戦闘職じゃないけど。でも、組織にはそういう人も必要でしょう?裏方が好きだし」

そう言ってラスティを見る。

「わたしがプラントに居たら、必ず帰ってくる?」

の言葉にラスティは頷く。

「そう..だったら、わたしに出来ること。『ラスティが無事に戻ってくるのを待つ』かしら」

の言葉にラスティは微笑む。

「必ず。俺が戻らないと、泣いちゃうもんね」

ラスティの言葉に「そうよ。重要な任務ね」とが返して「必ず無事に戻ってくるのよ」と念を押す。

「了解」と敬礼をしたラスティには寂しそうに微笑んで返礼した。





40万打感謝企画でリクエストをいただきました、ラスティです。
「ヒロインはザフト軍関係者で、ラスティに「俺に守らせてよ」と言ってもらいたいです。」というリクエストでした。
リクエストを頂いた中で、一番最初に大まかなストーリーが浮かんだのがラスティでした。
まあ、浮かんだ通りに話が流れたかどうかは別として、ね?

リクエスト、ありがとうございました!!


桜風
10.8.9


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