| 待ち合わせ場所の図書館。 先ほど少し遅れると連絡があり、時間を潰すために待ち合わせ場所の変更を指定したのはで、適当に本を選んで読んでいた。 少し気になる話を見つけて読み終わった彼女は「ふーん...」と何となく呟き、読んでいた本を閉じて書架に戻した。 間もなく待ち人、イザーク・ジュールがやってきて2人は外に出る。 お互いいつも忙しくて中々時間が取れない。 やっともぎ取った休みでも相手が休めなかったりとタイミングが合わなかった。 今日のデートも丸一日の予定だったが、最初の予定がうまく行かずに午後からとなり、イザークも突然の呼び出しを食らって結局この時間。 残念だと思っているイザークの隣では笑顔を浮かべている。 「いつも悪いな、」とイザークが声をかけるとは不思議そうに見上げて苦笑した。 「お互い様じゃない」 「そうかもしれないが...けど、今日なんて」 「はいはい、ストップ。もう一度だけ言うし、それ以上は言わせない。『お互い様』よ」 ビシッと指差してが言い切った。 イザークは短く息を吐いて「わかった」と頷く。 「ね、それよりも時間は有効に使っちゃおうよ」 そう言ってがイザークの手を引いて人ごみに突進していく。 「待て、何処に行くんだ」 行き先を決めていなかったイザークは彼女に100%付き合う気でいたが、せめて何処に行くかは教えてもらいたい。 以前ランジェリーショップに連れ込まれかけたときには全力で抵抗した。同じ徹は踏みたくない。 「夏物のボトムが欲しいの」 ほっとした表情のイザークを見てはニッと笑い「あと、キュートなランジェリー」と付け加えると「そこの店には入らないぞ」と早々に宣言された。 隣を歩くの表情が晴れ晴れとしている。 「これから節約生活だわ...」と店舗を出て少しの間は青くなっていたが、それでも発散できた何かはあったらしい。 ...あるだろう。これだけ買い込めば。 イザークが一人で納得していると不意にが 「ねえ、イザーク。月が綺麗ですね」 と言う。 イザークは空を見上げる。 日が傾き、オレンジに染まった空も藍色に包まれ始めていた。空に浮かぶ月がぼんやりと輝いている。 「ああ、そうだな」 彼女が敬語を使うことは偶にある。だから、おかしなことではないが、その言葉に乗せられた感情を何となく感じた。それが何かまでは分からない。 「どうした、」 「ん?」と彼女は少し楽しそうに見上げてくる。 「いや、月がどうかしたのか?というより、何かこう...」 何と表現したらいいのだろうか。 戸惑うイザークを見上げているは笑顔を浮かべた。 「イザークに伝えたかった言葉よ」 「そうか」と少し不可解だと顔に書いてあるイザークに小さく笑い、は少し歩調を速めて先に行って、くるりと振り返った。 「イザーク!I love you!」 両手を広げてイザークに言うと周囲の視線が集まる。 その視線に多少の居た堪れなさを感じつつ、歩調を速めたイザークはの元へと向かった。 |
桜風
11.5.1
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