| レストルームに行くと、バラバラではあるが、人が居た。 「今日、いつまでにここだっけ?」 「1600。あと2時間」 それでこの程度か。 部屋から此処まで歩いてくる間にあった人とか人の気配とか考えるとやはり人が少ない。 「ま、こんなもんっしょ」とディアッカが言う。 普通、家族が無事に帰還してきたのだ。再会を喜び、別れを惜しむ。 危険な戦地に赴くわけではないが、また当分会えない。 それでも、ある程度期限が分かっているのは有難いことだろう。 これからシフトとか、色々と振り分けられたりするのだろう。 「除隊する気は?」 不意にディアッカが問う。 もう、この1ヶ月が終われば除隊できるという噂はある。 「考え中。どうしたもんかなぁ...」 やりたいことはたくさんある。 けど、その優先順位がまだ決まらない。 母は何も言わないが、やっぱり早く除隊してほしいとか思っているのだろう。 「イザークは?」 「まだいつとは決めてないが、除隊はするつもりだ」 「あ、民俗学ですかー」 「...地球に留学も手かと思ってな」 そうか、そんな道も出来たんだ。 まだまだ『本当の平和』には程遠く、それは本当に実現することなのか分からないが、それでも、平和というものが何となくぼんやりとだが見えてきたところだ。 不思議だな、と思う。 憎しみが消えたわけでも、傷が癒えたわけでもない。 そんな中での停戦合意。 よくもまあ、そこまで漕ぎつけた事だ。 議会の中でも色々とあったのだろうし、これからもあるのだろう。 「そういや、溜息の理由は?」 自動販売機でドリンクを購入したディアッカがラスティとイザークにそれぞれ渡しながら聞いた。 ディアッカに礼を言った後、「溜息?」とイザークが聞き返す。 「さっき、ラスティが此処に来たときに溜息ついてたから声をかけて..なんだっけ?」 ああ、そういえば。それから波及してイザーク2位事件だったんだ。 「ねえ、ディアッカ。妹が突然出来たらどうする?」 「その子、可愛い??」 やっぱり、そこは問題だよなぁ... 「わかんない。母さんが言うには『可愛い』らしいよ?」 と応えた。 ディアッカは複雑な表情になる。 ラスティの母親はイザークすら『可愛い』と言って2位にランク付けたのだ。 「番付では何位?」 基準となるラスティ母作の『可愛い子番付』を例に出して聞いた。 ラスティは「さあ?」と首を傾げ、「ランキングには入ってなくて、殿堂入り」と続けた。 ああ、自分の子供は殿堂入りにしているのか。 では、基準が分からない。 「ラスティの母上は会ったことがあるのか?」 「オレの留守中に」とラスティが返す。 「ん?ってことはラスティはまた名前が変るのか??」 ディアッカが聞くとそのすぐ後に「痛っ」と短く悲鳴を上げる。 イザークが足を踏んだのだ。 「ありがとう」とラスティは苦笑してイザークに礼を言う。 気を遣ってくれたのだ。 「悪ぃ」とディアッカが言うと「いいって」とまた苦笑する。 「んー...できればオレは変えたくないんだけどね。ラスティ・マッケンジーっていう響き好きだし。ラスティ・ってどう?ちょっとしっくり来ない気がするんだよねぇ」 ディアッカから貰ったドリンクはテーブルの上において、腕を組んで首を傾げるラスティに「?」とイザークが問い返す。 「知ってる家?」 「ああ、名前だけだが。最近急成長している企業のトップの名前じゃなかったか?」 「ふーん」と興味なさそうにラスティは返す。 「そこは興味ないんだ?」とディアッカが問うと「まあ、母さんが幸せならそれでいいなーって。あれ?オレ、今凄く孝行息子的な発言しなかった??」とラスティが返す。 最後の発言は照れ隠しだと分かっているイザークとディアッカは苦笑して「そーだなー」とか「はいはい」と適当にあしらってやることにした。 その方が、恥ずかしさが幾分か軽減されるから。 |
桜風
10.2.1
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