Blue bird 6





ユーヒに言われて、約束した当日、花屋の前でラスティは唸っている。

「どんなの買ってけばいいんだっけ?」

何かセオリーのようなものがあったような気がする。

あー、やっぱり足を洗ってからの月日のお陰でさっぱり覚えていない。

だから、可愛い感じであまり香りが強くないものを選んで花束にしてもらった。


今日は、残念ながら母は仕事が抜けられないそうで独りでの訪問だ。

母によくよく言い聞かされて、今此処に立っている。

「全く、心配性だ...」

ポツリと呟いてインターホンを押した。

出てきたのは、メイドさんだ。

おお、そういえばそういう人が居る家もあったなぁ...

友人たちの家に行けばそういう人が居る。

まあ、1年近く遊びに行ってないからこういう光景は珍しいと言うか、懐かしいと言うか...

案内された応接室で待っていると人が入ってきた。

ああ、この子がちゃんか。

そう思ったとたんに「帰ってください」と言われた。

あれ〜?歓迎されていないぞ??

首を傾げたラスティに彼女は先ほどの言葉を繰り返した。

「あー、うん。えーと、俺の名前はラスティ・マッケンジー。ちゃんであってるのかな?」

「気安く呼ばないで」

...これは。まさかの初対面に拒否??

結構初対面の人に嫌われないっていう自信があったのに...

軽く自信喪失していると彼女はじっと見ている。

「お父さんの再婚に反対?」

「...うるさい」

そう言ってバタン、とドアを閉めて出て行った。


あー、そういや。母に釘を刺されていたのになぁ...

とりあえず、招待されたのに勝手に帰るのはさすがにまずいと思って、大人しく応接室でユーヒの帰りを待つことにした。

メイドたちはなにくれと気を遣ってくれたが、別に気を遣ってもらわなくても大丈夫という話をして、静かに過ごさせてもらった。

こういう時間も中々貴重なのだ。

やがて、ドアの向こうが賑やかになる。

ああ、ユーヒが帰ってきたのだろう。

そう思ってドアを開けるとちょうど出てきたのかが目の前に居た。

彼女は目を丸くして、そしてラスティをキッと睨む。

いやぁ、本格的に嫌われちゃったなぁ...

そう思いながら帰ってきたユーヒに挨拶をする。

「すみません、会議が長引きまして...」

ユーヒが謝罪し

「いいえ、皆さんが良くしてくださいましたし。ゆっくり過ごすことができましたので」

とラスティが返す。

「ただいま、

「お帰りなさい、おとうさん」

何だ、お父さんの前では大人しい子なんだなぁ...

そう思ってみているとまた睨まれた。

何かしたかなぁ...

母はこの子とはもう会ってる。そのときの印象は、たぶん悪くなかったのだろう。

悪かったらもうちょっと悩んでいるはずだ。あの母でも、ちゃんとそういうところは気にするだろう。

してなかったらどうしよう...ちょっと説教した方がいいかな??

「ラスティ君?」

「え?あ、はい。すみません」

「いや、こちらこそ。せっかくの休日に態々来てもらって。さあ、食事にしよう」

そう促されてダイニングに向かった。

テーブルに着いて「あれ?」と言う。

が居ない。

「ああ、あの子は、ちょっと調子が悪いといって下がったよ。すまないね、本当に」

「いえ」と応えたが、たぶん自分が居ることが原因だろうなぁ、と何となく思った。


勧められた酒は断った。場の空気が悪くなるかな、とも思ったが車の運転が出来なくなると帰宅が面倒になる。

まあ、このコロニーはニコルの家があるからそこに転がり込むことも可能だが、迷惑には違いない。

ユーヒは自分の配慮が足りなかったことを詫びて自分もノンアルコールにした。

良い人、だと思う。

まあ、母さんが助けを求めたら手を差し出せば良いや。

そんなことを思いながらとても手の込んだ、家では食べることが出来ない食事を楽しんだ。









桜風
10.2.1


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