| 「ちゃんはさぁ」 朝食を摂りながらラスティが声を掛ける。 「」 彼女の言葉にラスティは首を傾げた。 「『ちゃん』をつけるから、きっと子ども扱いするのよ。だから呼び捨てにして」 「いやいや、ちびっ子だから」と言い掛けてラスティは言葉を呑む。 まあ、がそれでいいならそうするけど、と。 「で、話戻していいかな?」 「どうぞ?」 「クラシック好きなの?」 はきょとんとした。 「何で?」 「を運んだとき、部屋の中のラックが目に入ってね。クラシックだらけだったから。最近の曲とか聞かないの??」 少し不快そうには眉間に皺を寄せる。勝手に見るな、といいたいのだろう。 まあ、確かに不躾だといわれたら「そうだね」とラスティも肯定する。 しかし、あれだけの音楽ディスクの量はニコルの部屋を髣髴とさせた。 「最近の曲とか、あんまり食指が動かないって言うか、興味が湧かないの」 「ラクス・クラインとかは?」 聞いてみた。 プラントの大多数の人が支持している歌姫だ。 「戦争の道具にされている人は、好きじゃない」 中々鋭い。 ラスティは苦笑した。 「何が好きなの?」 「は?」 「いや、楽器」 「ピアノと..ヴァイオリン」 素直に応えてくれた。 ピアノか、とラスティはニコルを思い浮かべる。 たぶん、1年以内にはコンサートとか何らかの音楽活動をするだろうから、そのときはを連れて行ってあげよう。 そんなことを思っていると、「ラスティは?」と聞かれた。 「ん?」 「お金持ちって、クラシックのあれこれをしてそうな気がするんだけど」 まあ、昔は金持ちだったなぁ... 「ピアノを幼少のみぎりに少々。って、もう弾けないけどね。練習嫌いだったし」 弾ける、とはニコルくらいのレベルを言うものだ。 『弾けない』というのに、は興味津々の視線を向ける。 「は?」 「...何もできない」 変な間を空けて答えた。 気になったけどここで深く追求したらまた噛み付かれそうだからラスティは流す。 「もし良かったら、だけど」とラスティが言う。 結構図々しい人というイメージが強かったは怪訝そうにラスティを見た。 「の音楽ディスク、何枚か貸して?返すのが何ヶ月か先になると思うけど」 普段、休暇のとき以外は此処には来ない。 家でゆっくりしたかったり買い物をしたかったり色々と自分の時間を満喫するようにしているから、2日以上の休暇がないと家まではやってこない。 だから、ディスクを返すのは数ヶ月先になるということだ。 「何がいいの?」 「適当に、お勧め見繕って?」 ラスティの言葉に、は素直に頷いた。 何だ、音楽の話題がいちばんだったのか... これを知っていたらニコルのディスクとか、寧ろ生演奏を録音したディスクを持ってきたのに... しかし、ふと思い出す。 の部屋の中にあったディスクの中にニコルのものがなかった。 どうしてだろう... ピアノが好きなら、ニコルはお勧めなのになぁ。 今度来るときに持ってきてみようか。 要らないって言われたら持って帰ったらいいし。 そうしてみよう。 うんうん、と頷いているラスティを不思議そうに見るは、やはり昨晩に比べて打ち解けてくれているようで、素直に表情を出している。 「ラスティ、気持ち悪い」 「え?部屋に戻る??」 心配されて溜息ついた。 「あなたが、気持ち悪いって言う意味よ」 うーん、意外と毒舌。ニコルと気が合うかもなぁ... 全くへこたれずにラスティはそんなことをのんびり考えていた。 |
桜風
10.4.1
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