| 「はい」と腕を差し出したラスティには首を傾げる。 「女性は、エスコートがないといけないものなの」 「そうなの?!」 面倒くさいものねぇ、とが呟き、「オレもそう思う」とラスティは返す。 「じゃあ、ラスティはそのために今日、此処に来たの?」 「んー、居なかったら居ないでいいとは思うんだけど。一緒に来た人が居るのに、エスコートなしってのはまずいみたいだよ」 それがマナーだと聞いた。昔。 渋々と、ぎこちなくがラスティの腕に手を添える。 「まあ、大船に乗ったと思って」とラスティが言うと「泥舟っぽいけどね」と返ってくる。 いやいや、回転の速いお嬢さんだこと... 会場に入ると煌びやかな世界が広がっていた。眩しくて、思わず目を細めてしまう。 「ラスティは、こんな世界に居たの?」 「面倒くさいから嫌いだったけどね。母さんと2人のときはこういうのなくて楽だったよ」 ラスティの最後の言葉には俯いた。 「まあ、時々ならいいけど。それに、ユーヒさんにとって、子供は道具じゃないから」 不思議そうにラスティを見上げるに「そういう人もいるの」と返した。 自分の出世のためとか、そういうもののために身内を使う人は少なくない。 特に、一度高い地位を手に入れたらそうなってしまうものだ。きっと仕方のないことで、逆にそれをしない人は本当に凄い人なのだろう。 「こんばんは、さん。ラスティ」 声をかけてきたのはニコルだ。 は教えてもらったとおりの挨拶をした。 ニコルは苦笑して応える。 「窮屈でしょう?」 「うん」 「ラスティには言ってません。僕は、さんに言っているんです」 そうだと思った、というラスティにニコルは半眼になって抗議の念を込めた視線を送った。 「ディアッカたちは?」 「先ほど見かけましたよ?あと...」 少し言葉を濁したニコルの様子に、何を見たのか察したラスティは頷く。 出来ればと彼を遭遇させたくないのだが...たぶん、ムリだろう。 「よ!ラスティ」 声をかけてきたのはディアッカだ。 「お?それが噂の妹のちゃん?初めまして、ディアッカ・エルスマンです。以後お見知りおきを」 そう言っての手をとろうとしてラスティに阻まれた。 「、気をつけるんだよ。ディアッカに触れられたら妊娠しちゃうんだって」 それを聞いては一歩後ずさる。 「ラスティ?」 ディアッカが不機嫌に名前を呼ぶが何処吹く風だ。 「まあ、あながちうそではないだろう。妊娠どうこうとまではいかなくても、な」 また別の声が加わった。 は驚いて振り返ると銀髪の青年が居た。 「彼は、イザーク・ジュール。マティウス市の代表、エザリア・ジュールのご子息だよ」 ラスティが紹介するとは慌てて挨拶をし、イザークもそれに応える。 そして、ふと思い出して今更ではあるがディアッカにも挨拶をした。 一瞬面食らったディアッカはぽかんとしたが、苦笑して「気楽にどうぞ、レディ」と言う。 「ほらね?慣れてる感じがするでしょう??」 ラスティが言うからまたディアッカはラスティを軽く睨む。 「そういえば、アスランは?」 ラスティが問う。 「ラクス嬢がまだだから、まだだろう」 「ラクス嬢、ってラクス・クライン?」 イザークの言葉に出た名前にが反応してラスティを見上げた。 「うん、そう。今日は、地球のどこかの国の使節が帰る日だったから見送りにでも行ってるんだと思うよ」 ラスティの言葉には目を丸くした。 「なに?」 「ラスティはそんなことまで知ってるの?」 「新聞とかテレビで言ってるし。そういう情報ってやっぱり思わずチェックしちゃうんだよね。も新聞くらいは目を通していた方がいいよ」 素直にラスティの言葉に頷くのは癪だが、言うことも尤もなので「そうね」と澄まして応えた。 |
桜風
10.6.1