stray cat 1





「んー?」

地球軍から強奪してきた機体をガモフに搬入した。

コックピットから降りるとき、何だか気配を感じてみてみれば、シートの裏に人が居た。

神経が図太いのか、眠っている。

「やべ...」

彼は呟き、どうしたものかと少しだけ悩んだ。


目を開けるとそこはコックピットの中だ。

勿論、自分はそこで寝たのだから驚きはしない。

が、明らかに周囲の雰囲気が違う。

はっと顔を上げると知らない人物が覗き込んでいた。赤い..ザフトだ。

飛び起きて着ていたつなぎのポーチに手をやる。こんなときに限って拳銃は持っていない。ナイフだけだ。

彼は視線をさまよわせた。

そして呟く。

「やっぱ、拘束した方がいいよな」

その声を聞いた途端彼女は動いた。ナイフを翳して彼に突進していく。

ナチュラルの攻撃なんて軽く避けられると思っていたのに、意外と彼女の動きはすばやく、ナイフが頬を掠めた。

チリッとした痛みを頬に感じる。

「...この!」

彼はそのまま彼女の腕を掴んで捻りあげた。

彼女は見上げた根性で、ナイフを離さない。ついでに彼を睨みつけている。

「あー!むかつく!!」

彼はそう言って彼女の鳩尾に拳を入れた。

体が弛緩し、そのまま崩れた彼女を肩に担いでコックピットから出ると親友に怒鳴られた。それは何だ、と。

「わり、ちょっとオレも分かんないんだわ」

そう言いながらドックを後にする。

とりあえず独房に放り込んでおくことにした。




「ディアッカ、貴様!何を考えている!!」

「っつってもさー。オレも知らなかったんだから。さっきやっと見つけたんだし」

「ナチュラルの女なんぞに傷を付けられよって!!」

ディアッカの頬の傷を睨みながらイザークが言った。

「まあ、それは。ちょっと...けど、意外と良い動きしたんだぜ?」

「言い訳は良い!」

ディアッカの言葉をぴしゃりと叩き捨てた。

ディアッカは肩を竦めた。これは、まだお説教が続きそうだ。

「隊長に報告してきましたよ」

ディアッカが彼女を独房に放り込みに行っている間、ニコルがヴェサリウスに報告に行っていた。

「あー..なんて?」

「何も。『そうか』としか。まあ、彼女が起きたらあの機体の事とか詳しく教えてもらえれば良いですけどね」

ニコルはそういうが

「吐かせればいいんだろうが」

とイザークが冷たく言った。

「というか、あんなOSの構築しか出来ないナチュラルなんぞに教えてもらうことなんてあるのか?」

馬鹿にしたような口調だ。

ニコルはイザークのこういうところがあまり好きではない。

「けど、あれを開発したのも、ナチュラルです。彼女はバスターの中にいたのですから、もしかしたらバスターの開発に関わっているかもしれませんよ」

あんな子が?

ディアッカはそう思った。

コーディネーターならまだしも、ナチュラルは成長が少しだけ遅い。だから、彼女くらいだったらまだのんびり学生をしていてもおかしくないのではないか。

「そういや」とディアッカが呟く。

イザークとニコルの視線が彼に向けられた。

「悲鳴とか、上げなかったな。案外度胸あるのかも」

ディアッカが呟くと

「声も出ないくらい恐怖を感じたという可能性もあるぞ」

とイザークは言い捨ててブリーフィングルームを後にした。










桜風
08.4.1
08.5.1(再掲)


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