stray cat 2





彼女が目を覚ますとそこは知らない空間だった。コックピットの中ではない。凄く広い。けど、格子がある。

独房、かな?

彼女はそう判断した。

しかし、何故ザフトのパイロットがバスターに乗っていたのだろうか。

格子に軽く触れる。電流とか流れてたら大変だ。

しかし、そんなお金をかけているものではなく、オーソドックスな冷たい金属で出来ているそれだった。

格子の間から外の様子を覗く。

見張りが立っており、冷たい目で見られた。

腰のポーチは取り上げられたようだ。

彼女は仕方なく独房の奥の隅に縮こまった。

これからどうなるのだろう...?


暫くして牢の入り口のドアが開く音がした。

独房の隅で丸くなり、少しうとうとしていた彼女の独房の鍵が開く音がした。

重い瞼を開けて彼女はそちらを見る。

あの赤いパイロットスーツを着ていた彼が入ってきた。

何の用だろう?

「えーと、?」

彼女の所持品の中にIDが入っていた。彼女はモルゲンレーテの技術員だったようだ。

名前は、

年は15。ニコルが「僕と同じ年ですね」と言っていた。

と呼ばれた彼女は少し面倒くさそうに顔を向けて頷く。

「返事をしろ!」

後ろのおかっぱが怒鳴る。

が、その隣に立っている優しい瞳をした少年が彼を宥めていた。



はそのまま何の声を発することもなく、ただ頷いたり首を振ったりして目の前の少年の質問に答えた。

「あのさ、しゃべってくれた方が楽なんだけど」

そんな事を言う彼には首を振る。

少年は溜息を吐いた。

「無理やり吐かせたらいいだろう!貴様は甘いぞ、ディアッカ!」

ヒステリックに叫ぶこのおかっぱは好きではない。

「イザーク!落ち着いてくださいよ、もう!!」

一番幼い感じのする少年がおかっぱを『イザーク』と呼んだ。そのイザークはバスターに乗っていたこの少年を『ディアッカ』と呼んだ。

はあとひとり、名前を知らない少年の顔を見た。

彼はの視線に気づき、彼はにこりと笑う。

「ああ、僕はニコル。ニコル・アマルフィです。さん、もしかして声が出せないんですか?」

此処まで頑なに声を出さないということは、出せないと考えた方が自然だ。

それに対しては頷く。

イザークは先ほどの自分の言葉が少し恥ずかしくなったのかふんと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「んじゃ、まあ。また来るわ。今はちょっと隊長の指示を仰いでる最中だし」

ディアッカがそう言って立ち上がる。

はそのディアッカを不思議そうに見上げた。

「だって、お前。あのMSの開発に携わってたんだろう?」

は素直に頷いた。

「だったら、まだ使い道があるってことじゃん」

結構酷い言い様だが、は納得して手をポン、と叩いた。

「つか、ひとつ聞くけど。お前、全部吐く気ある?」

ディアッカがの顔を覗きこんで聞く。

は首をかしげた。

「さあ、どうかしらね」と言った感じだ。

イザークがまたしても叫びそうになったため、ニコルが慌ててイザークの背を押しての独房から出る。

一度を振り返った。

「また来ますね」

そう言い置いてそのままイザークを外に追い出していった。

「オレも、」と言ってディアッカはの独房を後にする。

「あ、そういえば」と呟いて足を止める。格子の向こうから「」と名前を呼んだ。

彼女はそれに反応する。

「お前、ナチュラルだよな?」

ディアッカの言葉に彼女は首を振る。

そういえば、オーブはコーディネーターも受け入れている国だ。

「なるほどな」とディアッカは呟いて出口を目指す。道理で、中々いい動きをしていたわけだ。まあ、コーディネーターにしたらその運動神経は並くらいだろうけど。

牢を出て一度振り返った。

彼女はどうも妙だ。

まあ、とにもかくにも。

イザークにとって彼女は嫌いなタイプだろうし、逆もまた然り。

「今度はイザーク置いてこないとな」

ディアッカは呟き、この後、きっと怒鳴り散らしてくるイザークの相手をしないといけないんだろうなと少しだけうんざりした。









桜風
08.4.1
08.5.1(再掲)


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