stray cat 5





ディアッカがパイロットスーツに着替えて戻ってくるとコックピットが開いた。

が出てくる。

ディアッカが乗り込むとがコックピットの中に体を乗り込ませ、モニタを指差した。

それを見ると、さっきが変更した箇所をメモした画面が映っている。

「了解」

短く返したディアッカの言葉を聞いてはそのままバスターから離れた。


戦闘に出てディアッカは驚く。

バスターの動きが全然違う。

最初こそ驚いたが、それ以上に慣れれば凄く楽にバスターが動く。

結局、今回の戦闘での戦績は上がった。

「すげー...」

敵の撤退信号を眺めながらディアッカは呆然と呟いた。



ガモフに戻ってコックピットを降りる。

周囲を見渡してみた。の姿を探すが、それは見つからない。

着替えて彼女の部屋に向かった。鍵は開いており、ドアを開けると誰も居ない。

「なあ、は?」

ドックに戻ってメカニックに聞くと

「独房に逆戻りですよ」

と肩を竦めながら答えられた。

まあ、仕方ないか。

そう思って独房へと向かった。

牢へ向かう途中にメカニックの一人とすれ違った。この先は牢しかない。

もしかしたらあいつがを牢に連れてったのかな、と思いながら牢の中に入った。

の独房の前に見張りが立っている。

「開けてくれよ」

「いえ、それは出来ません」

断られた。

少し不快に思いながらも仕方ないのだろうと思ってそのまま格子越しにディアッカはに声を掛けた。

、大丈夫か?」

彼女は独房のベッドの上に方膝を立てて座っていた。。ディアッカの声に反応して顔を向ける。

「な!?。どうしたんだ、それ!」

独房の中は薄暗く、確かではないが、彼女の顔に痣のようなものが見える。

「なあ、入れてくれ」

見張りに言う。この目で見て確かめるために。

「ですから、それは出来ません」

「いいから。責任とかそういうのだったらオレが負うし。だから」

「できません」

見張りも頑なだ。

は自分の意思で与えられた部屋から脱走した。だから、今回の件で責任を問われるとしたら、たぶんディアッカだけだ。ずっと彼女の尋問をしていたのにその性質を見抜けなかったという責任で。

「開けろ」

低い声でそう言って見張りを睨む。アメジストの瞳が暗く光った。やはり、これは何かある。

見張りはディアッカに気圧されて思わず鍵を渡した。

ディアッカはの独房に入る。

の顔を覗きこむ。

、どうしたんだよ」

自分の目が見たものは見間違いではなかった。の顔は殴られた痣が沢山ついていた。顔だけではない、ディアッカが驚いて腕を掴むと顔をしかめた。

「誰だ?」

誰にやられた、と聞いた。

は緩く首を振る。ディアッカは深い溜息を吐いた。

「あのさ。一応、って捕虜なんだよ。捕虜を傷つけるのは国際条約で禁止されてんの。やっちゃいけないことなの。それをした奴は、やっぱ相応の罰則が要るわけ。分かる?」

それでもは首を振る。

「あー、もう。分かった」

諦めたようにディアッカは両手を軽く挙げた。

「ちょっと応急キット取って来るから」

そう言ってディアッカはの独房を後にしようとした。

「あ、そうだ。、いつもそのスカーフ巻いてるけどさ。流石に洗った方がいいと思うわけ。洗ってやるから貸せよ。髪もボサボサで、指先もオイルで黒くなってるし。唯一女の子ってところはそのスカーフくらいなんだからさ」

そんなディアッカの厚意にもは首を振る。

ディアッカの頬が引きつった。

「何で?つか、ちゃんと口を動かしてくんないと流石にの考えてることは分かんないんだけど」

彼女と話をするようになってから読唇術も覚えた。疲れるからパソコンを介して会話をしているが、それがなくても何となく会話は出来る。

はやっとゆっくり口を動かした。

<首に何か巻いてないと、嫌なの>

彼女がそういう。

「それって、タオルとかでもいいのか?」

は頷く。

変なの、と思いながら

「んじゃ、タオル持ってきたら交換な?」

とディアッカは言ってそのままの独房を出て鍵を掛ける。

「また来るから」と見張りに声を掛けてそのまま牢を後にした。









桜風
08.6.1