| 元ニコルの部屋の前では少女が部屋を見上げていた。 彼女は不思議そうに首をかしげる。 「あってるよ。その部屋だ」 不意に声を掛けられたため驚き、振り返る。 「独房から出してもらえたんだろう?」 ディアッカの言葉には頷く。 「お前、今日からバスターのメカニックだから。志願してないからザフトじゃないんだけどな。イレギュラーな存在って奴だな」 ディアッカの言葉にの瞳が揺れた。 が、幸か不幸か。ディアッカはそんなの表情を見ていなかった。 はディアッカを見上げる。 <ディアッカは何で此処に居るの?> 暫く沈黙したあと、 「オレも、この部屋なの」 と応える。 は固まった。何だ、それ...? 「あーあー、心配すんな。オレの好みはスレンダーでグラマーな年上だ」 投げやりに言うディアッカにはふい、と顔を背けた。 「何?」 <どうせわたしはちびで寸胴ですよ> 拗ねた表情でそんな事を言われてディアッカは目を丸くした。 が、それがおかしくて噴出す。 そんなにディアッカには余計に拗ねる。 「あー、もう。悪かったって。とりあえず、部屋に入ろうぜ。んでもって、はシャワー浴びろ」 確かに。もう随分シャワーを浴びてない気がする。 素直にこくりと頷いたは部屋に入ってすぐにシャワールームに向かった。 シャワーを浴び終わったが出てくるとディアッカが端末を立ち上げて何かを見ていた。 肩をトントンと叩いてみる。 ディアッカは振り返り「ああ、もう出たのか」と呟いた。 <何してるの?> 「ちょっと、な。これ、面倒で」 何かの数式が並んでいる。 暫くそれを眺めていただったが、ディアッカに席を譲るように促した。 訝しがりながらもディアッカは彼女の促すとおりに席を譲った。 はその数式に手を加えていく。 「はぁ...」と背後からその様子を見ていたディアッカは思わず感嘆の息を洩らした。 あっという間にディアッカの求めるものになる。 「凄いな、お前」 はモニタに別のウィンドウを開く。 【機械はいいよ。『0』か『1』しかないもの。凄く分かりやすいし、裏切らない】 のその意見にディアッカは驚き、思わず彼女を見下ろす。 その発言は何でもないことのように彼女は自分の髪を拭いている。 少し動揺した自分をごまかすように「そういうもんかね」と呟いたら彼女は頷いた。 夜中、目を覚ますと端末に向かってが何かをしている。 「何してんの?」 少し体を起こして聞いてみた。 彼女は振り返り何事か言っている。 が、モニタの光しかこの部屋にない今、彼女はその光を背負っており、逆光では彼女の表情が上手く読み取れない。 仕方なくディアッカは立ち上がり、彼女の傍まで言った。 「何?」 モニタを覗く。 また何かの数式が浮かんでいる。 新しいウィンドウに彼女は【バスターのOSの基本情報】と打った。 「どっから拾ったんだよ。こんなでっかい情報量」 艦内のどこかにハッキングでもしたのでは、と少し驚いて聞いてみるとは自分の頭を指差した。 まさか... 「もしかして、覚えてんの?」 彼女は何でもないことのように頷く。 普通コーディネーターでもそんな膨大な情報を記憶出来ないと思う。 それをいとも簡単に再現するこの記憶力はコーディネーターの中でもずば抜けた能力だ。 「お前、本当は凄かったんだな」 【言ったでしょう?わたし以上のメカニックはいないって】 の言葉にディアッカは苦笑した。 そういえば、ムキになってそう言っていた。そして、自分は彼女のその言葉を笑った。 「わるかったな、あの時は」 そう言ってディアッカはの頭を撫でる。 はくすぐったそうに首をすくめていた。 |
桜風
08.7.1
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