stray cat 10





暫くバスターを見ていただったが、

「そろそろニコルの方にも行ってやったら?」

とディアッカに声を掛けられてコックピットから出てブリッツに向かう。

先ほど基本情報をニコルがの端末に送ってくれた。

それを眺めながらドックの中を移動する。

そういえば、ブリッツは特殊改装フレームを使った機体だったな、と思い出す。

その構造については一度資料に目を通したことがあるから覚えている。

ミラージュコロイドというシステムも搭載していたはずだ。これはブリッツしか持っていない。

ふと、見上げるとデュエルの周りにメカニックが集まっていた。

破損でもしたのかな?と思いながらもそのままブリッツに向かった。


「ああ、さん。ありがとう」

コックピットを覗き込むと、中で調整をしていたニコルがそれに気づいて出てきた。

<まずは基本情報見せてね>

そう言ったが、ニコルは困ったように首をかしげた。

慌てては自分が持ってきた端末に文字を打ち込んで見せる。

「あ、はい。ごめんなさい、ディアッカみたいに上手く読めなくて」

ニコルに謝られ、は首を振って手を合わせた。こちらこそごめんなさい、と。

コックピットにもぐりこみ、そのままOSの基本情報をモニタに映す。

ニコルはその様子を見ていたが、が何かを指差すので振り返るとブリッツに接続している外部コンピューターの存在がそこにあった。

そういえば、ディアッカは大抵が調整をしているとコンピューターの前に陣取っている。

ブリッツのメカニックもニコルと共にそのモニタを眺めた。

は別ウィンドウを立ち上げてそれを使ってニコルやブリッツの担当メカニックたちと話をする。

彼女がメカニックに質問をすることも有れば、メカニックが彼女に構造についてのアドバイスを求めたりもした。

暫くそんな作業を行っていたが、納得したのかがコックピットから出てきた。

「どうです?」

ニコルの言葉には頷いた。

【ただ、飽くまでもわたしはバスターの担当だから。バスターに割く時間のほうが多くなると思うよ】

端末にそう文字を表示する。

「十分です、ありがとう」

ニコルの言葉に頷きはブリッツを後にした。

ふと、メカニックの一人が時計を見る。

「げ、もう交代の時間とっくに過ぎてる!」

その言葉を聞いてばたばたと周囲が騒がしくなった。

ニコルもその事実に驚く。全く時間を感じなかった。



「あ?ああ、っていつもそうだよ」

訓練規定の射撃を行っているときにディアッカに先ほどのその話をしてみた。ディアッカは笑いながらそう言う。

「アイツ、集中力がある..っていうか。人はあまり好きじゃないみたいだけど、機械が好きみたいなんだよな。好きなものってのは熱中するだろう?それだよ、きっと。だから、が整備を始めたら周りが時間を気にしないと1日中でもコックピットの中に篭るんじゃないか?」

ディアッカの言葉でニコルは納得した。

だから、彼は大抵が整備を始めると時々頃合を見計らってバスターの傍に行くのだ。

あれはに休憩を促すためでもあったのか。

「集中してても疲れるもんは疲れるしな。体壊したら元も子もないだろう?」

苦笑してディアッカはそう言い、装填を終えてまた的に向かって引き金を引いていた。

「ディアッカって、意外と面倒見がいいんですね」

ヘッドホンをしている彼の耳には届かない言葉を、ニコルはそっと呟いた。









桜風
08.8.1


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