stray cat 11





がブリッツも見るようになってから色々と環境が変わった。

食事をするため食堂に居ると、メカニックがを見つけては質問をしてくる。

彼らは端末をテーブルに置いてに質問をする。

は片手で食事を続けながら片手でその質問に応えるべく端末に文字を打ち込む。

「行儀悪いぞ」

はディアッカと共に食事をとることが多いため、漏れなく、でもないがよくイザークと共にテーブルに着くことがある。

彼はまだに気を許しているわけではないが、それなりに声を掛けることはある。今みたいに注意をするときが殆どだが。

<お母さんみたい>

が口を動かす。

彼女と行動する機会が多くなったニコルも随分読唇術が上達しており、彼女の言葉を理解して噴出した。

「今、こいつは何て言った?!」

噴出したニコルに向かってイザークがきつい口調で聞く。

「『はーい』って言ってましたよ」とニコルが大嘘を吐くが

「どう見てもそれ以上に口を動かしていたぞ」

とイザークに睨まれて肩を竦めた。

「イザークもさんと会話できるように読唇術頑張ってみたらどうですか?」

ニコルが言うとふん、と鼻を鳴らして席を立つ。食事が終わったようだ。

、オレらこれからブリーフィングがあるから先行くわ」

イザークに続きディアッカが席を立ち、ニコルも続く。


「イザークもに見てもらったらどうです?」

ブリーフィングルームに向かう途中でニコルが思い出したように言った。

「誰があんなのに!」

「まあ、嫌ならいいんだけど。元々最初はデュエルの製造に携わっていたみたいだし。も一応デュエルは気になってるみたいなんだけどな」

イザークの返事を聞いてディアッカが口にする。

その言葉を聞いてもイザークはふんと鼻を鳴らして取り合わない。




、そろそろ上がれ」

バスターの調整を行っていると声を掛けられた。

顔を上げて時計を確認する。

最近はメカニックが時間管理をしてくれるようになった。に声を掛けてくる人物が増えた証拠だ。

ザフトではないのに皆が声を掛けてくることが不思議で仕方ない。

「まー、実力がありゃ何でもいいんじゃないの?実際、はこの艦の戦績に大いに貢献しているしさ」と以前ディアッカがどうでも良さそうにそう言った。

そういうものなのだろうか。

いや、人と言うのは...

は部屋に帰ってそのままシャワーを浴びた。



がシャワーを浴び終わって部屋の端末でブリッツのOSの構築ついて考えているとディアッカが帰ってきた。

「さっきドックに行ったらもういないんだからなー」

と苦笑交じりにそう言ってきた。

は手を合わせて謝る。

「いいって。...、ここ何?」

自分の首のあたりを指差して聞いた。

は慌てて自分の頭を拭いているタオルを首に巻く。

ああ、だからか。

ディアッカは納得した。

だから、はいつも首に何か巻いているのだ。繋ぎを着ているときも上まできちんと留めるし。苦しくないのかと思ったが、そういう理由があるのだと納得した。

「あーあー、ごめん。見てない見てない。てか、この部屋に居るときくらい、せめて寝るときくらいは首に何も巻いてない方がいいじゃないのか?蒸れない?」

は首を振る。いやだ、と。

「見られるのが嫌なんだろう?オレ、もう見ないからさ」

適当に手を振りながらディアッカはバスルームに向かった。

「...ま、隠したいもんだったんだな」

ドアの向こうのは結局どうしただろう?

少し気になった。

そういえば、自分は彼女の過去はモルゲンレーテの技術者だったこと以外何も知らない。

聞いていなかった。家族構成や、出身地など色々。

必要がなかったから、聞いていない。彼女を拾ったときはその時の身分や周辺情報が分かればいいと思って聞いていなかった。

「すげー、今更」

思わず口から言葉がこぼれた。









桜風
08.9.1