| 夜中に何やら音がして目が覚めた。 またが何かしているのだろうかと思って寝返りを打ってみると、デスクの端末が立ち上がっているわけではなかった。 ディアッカは体を起こした。 見てみるとの肩が震えている。 ベッドから降りて「」と声を掛けた。 返事がない。 仕方なく顔を覗きこんでみるとどうやら涙を流しているようだ。 「ガキみたいだな...」 少しだけ呆れたようにそう呟き、起こすべきかこのまま寝かせてやるべきか悩んだ。 の唇が微かに震える。寝言でも言っているのかもしれない。 「」と肩を揺すった。嫌な夢なら起こしたほうがいいかもしれない。 の瞼がゆっくりと開いた。 首をめぐらせると、自分の顔を覗きこんでいるディアッカと目が合う。 「大丈夫か?怖い夢でも見たか?」 ディアッカの言葉を不思議に思い、頬に手を当てると濡れている。 驚いてディアッカの顔を見た。 「まあ、覚えてないならそれいいんじゃないか?」 苦笑しながらディアッカはそう言って「んじゃ、オレは寝るぞ」と言って自分のベッドに向かった。 翌朝、目を覚ますと目が腫れぼったい。鏡を見て眉をしかめた。目が腫れている。 「はは、見事に腫れたな」 鏡越しに背後からディアッカが声を掛けてくる。 恨みがましそうに彼を見上げるに「オレは全く悪くないだろう」と言って彼女に鏡を譲らせた。 「そういやさ。言いたくなかったら言わなくていいんだけど」 そう言って一度言葉を区切る。 「の家族って何してたの?」 は驚いたように眉を上げた。 ああ、聞いてはいけないことだったかなと少しだけディアッカは後悔した。 <両親ともモルゲンレーテの技術者だったよ。きょうだいはいない> とは返す。 鏡越しにそれを見ていたディアッカは驚いて振り返った。まさか、答えてくれるとは思わなかった。 「へー、親父さんたちも技術者?」 は頷いた。 しかし、そう返してディアッカは固まる。 モルゲンレーテはヘリオポリスにだけ存在する企業ではないが、オーブの機関だ。オーブは地球の国家だから成人年齢はナチュラルのそれに準じるのだろうと思う。 はナチュラルで言うところの未成年であり、ヘリオポリスに居たのだから両親が同じようにそこで働いていてもおかしくないはずだ。 そして、ヘリオポリスのモルゲンレーテは自分たちが襲撃して、その結果あのGシリーズを強奪した。 だから、自分たちがの両親の命を奪ったかもしれない。 <ディアッカって、意外と顔に出るね> はディアッカの腕を突いて苦笑しながらそう言う。 「...へ?」 <両親はもういないよ。わたしが10歳のときに亡くなったから> 「事故?寿命ってのは、まだ早いか?」 <事故、かな?ブルーコスモス> は短くそう言った。 思わず息を飲む。オーブの中でもそういうのは多々あるのだろうか。 「...じゃあ、それからはひとりで生活してたのか?」 でも、地球の国家であるオーブの成人年齢はいくつだったか... がまだ未成年だったら、引き取って一緒に生活をしていなくても後見人になっている人物が居たはずだ。 <ひとりじゃないけど..ひとりだった、かな?> はよく面倒くさい言い回しをする。 そのたびに聞いてはいけないことだっただろうかと悩む自分の身にもなって欲しいものだ。 やはりその考えが顔に出ていたらしく、は悪戯っぽく笑った。 <それはディアッカのいいところだよ> と言いながら。 |
桜風
08.9.1