| 休日のショッピングモールはとても賑わっている。 彼は空を見た。 ...早く帰りたい。 「早く帰りたい...」 「口に出すな!!」 ポツリと呟いたディアッカにイザークが怒鳴る。 皆思ってることは同じなんだ... ラスティはそっと溜息を吐いた。 少し離れたところでは、自分たちの母親やら婚約者やら義妹やらが楽しそうにショッピングに興じている いいねぇ、楽しそうで... ふと、母と目があったラスティはそちらに足を向けた。 「あら、ラスティは気が利くわね」と言ったのはイザークの母親で彼女は「イザーク」と息子を呼ぶ。 「どうも」と返事をしながらラスティは静かに手を差し伸べた。そこに「ありがとう」と言いながら母が先ほど購入した服が入っている袋を提げ、娘のの荷物もそのまま置いた。 「あの、ありがとう」 「これがオレの仕事だからねー」 諦めてますよ、といった風にラスティは応じてまた彼女達と距離を置く。 「何で分かったんだ?」 戻ってきたラスティにアスランが問う。 「えー?だって、こっち見てたじゃん」 「見てるだけだったのかもとか思わないの?」 ディアッカの問いにラスティはゆるゆると首を振る。 「あのさ。オレ、今日は『荷物持ちで来てね』って言われてたワケよ。だったら、それ以外でオレの方なんて向かないって。今、とても楽しく娘と友達とショッピングしてんだから」 そう言ってまた視線を彼女達に向けた。 ラスティ、イザーク、ディアッカ、ニコルの母親と、アスランの婚約者。そして、ラスティの義妹が賑やかに買い物をしている。 と、言ってもラスティの義妹のは少し気圧されている感じがある。まあ、あれだけパワフルな人たちに囲まれたら... ラスティは少しだけが気の毒だったが、一番気の毒なのは荷物持ちに借り出された自分たちだと自負している。 「しかし、まあ。長いですね」 苦笑しながらニコルが呟く。 「まあ、オレはこれでいいけどね。一時期、オレひとりでランジェリーショップに行かされてたし」 ラスティの言葉にみなの時間が止まった。 「お前、一人で?」 ディアッカが恐る恐る確認する。 「うん」とラスティが応え、「おばちゃん、こえー...」とディアッカが呟いた。 ランジェリーショップといえば女性の下着しかない。 そんなところに年頃の男子である自分ひとりで行くなんて... 想像したみたらしい友人達は何とも反応が素直だ。 「まあ、そうは言っても。前の日とかに店には連絡してくれてたから、行って精算を済ませて商品を受け取って帰ってただけなんだけどね」 いやいや、それでもかなり気持ち的には重いぞ?? 皆の尊敬の眼差しを一身に受けたラスティは「えっへん」と胸を張る。 「ラスティ」 暫くしてがとことことやってきた。 「んー?終わり?」 「休憩しようって」 終わらないんだ... 皆は深い溜息を吐いた。 「ま、そうだろうね。まだまだ続くだろうね...」 ラスティが呟き、が窺うように見上げてくる。 「休憩でしょ?ほら、行こう」 皆を促してラスティは母達が待っているほうを見た。 「だな」とアスランが頷き、「行きましょうか」とニコルも応じた。 「ねえ、ラスティ」 皆から少し遅れて歩いているラスティの隣を歩きながらが声を掛ける。 「んー?」 「皆、わたしがナチュラルなの、知ってるのかな?」 「さあ?知っててもあまり気にしないと思うけど?」 元々急進派であった人たちも今回一緒にいる。一緒にいるが、今回のショッピングだって言いだしっぺが元急進派だ。 気にしてるんだったら態々こんなことをしないだろう。 「が気になるんだったら、皆に教えておけば?『ふーん』で終わると思うよ」 まあ、知られているほうが動きやすいだろう。 知ってるのかな?とかそう言うのを気にしながら行動する方が面倒だ。 「うん、そうだね」 「で。初めて言葉を交わしてみたラクス嬢はどう?」 母親達に囲まれて買い物って大変だろうと思って同年代の知り合いであるラクスの同行を頼んでみた。 勿論、彼女は忙しいし、何より今のラスティは簡単に連絡は取れない。だから、アスランに頼んでみた。巻き込む気満々で。 そしたら、ラクスは新しいお友達が出来ると喜び、ラスティの目論見どおりアスランは巻き込まれたのだ。 「うん、何か..緊張する」 「そう?」 「だって、今まで会ったことのない雰囲気を持ってる人なんだもん」 まあ、あの子と同じ雰囲気の人が居たら会ってみたいものだ... ラスティはそんなことを思いながら「なるほどねー」と適当な相槌を打っていた。 |
桜風
10.10.25
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