Ever green 10





ある日以来、が電話に出ない。

おかしいなー、とラスティは首を傾げる。

電話する時間が遅かったのかなーと思って少し早めにしてみても同じだ。

「ラスティ」

休憩中にこっそり電話をしていたのに、見つけられてしまった。

「ああ、何?」

「また買い物付き合ってよ」

そう声を掛けてきたのはオペレーターの子だ。この間もモールに引っ張られていったのだ。

「ディアッカと行ってよ」

「ディアは、いいの」

「喧嘩に巻き込むの、やめてくれる?」

ただ今喧嘩中の2人らしい。

彼女はラスティと買い物をしながらディアッカの話を聞きだそうとしている。

「本人と話してー。オレ、何となく今それどころじゃない気がする」

結構自分の勘は当たるのだ。

「何よ!」

彼女は怒っていなくなった。

あー、フレイに似ているんだ。そりゃ、オレ気に入られるかも...

今、やっと合点がいった。

基本的に面倒なことは逆らわずにかわして別の人に押し付けるタイプだから、一見逆らっているように見えないのだ。

まあ、これが自分の処世術ではあるが...


「あ、アスランめっけ!!」

交代時にアスランを見つけたラスティはアスランを捕まえた。

「おい!何だよ。俺はこれから仕事だ」

「一瞬で済むから付き合って」

「済んでないじゃないか!」

「ははっ。細かいことを気にしてたらハゲるよ」

笑って軽くそう返す。

「今度いつキラに会いに行く?」

昔なじみだったのでアスランはキラに会いに行ったりしているという情報は耳に入っている。

「はあ?!」

「明日、夜勤明けとか行くよね?行ってよ」

「何でまた...ラスティだっての様子を見に行ったりしてるんだろう?」

「いやぁ、ガン無視されてるからー。様子探ってきて」

軽く言うラスティにアスランは眉間に皺を寄せる。物凄く不愉快そうだ。

「んじゃ、よろしく」

そう言ってラスティは帰っていった。

「おい、ちょっと!待てよ!!」

声を掛けてもラスティは振り返らずにそのまま帰っていった。



「何で...」

アスランはちょっと自己嫌悪に陥っていた。

今、自分は夜勤明けだと言うのに親友のキラが通っている学校の正門に立っている。

と、言っても仮眠は取ってきた。

「キラ!」

下校をしている彼を見つけて声を掛ける。

「アスラン?!」

キラが駆け寄った。何か、アスランは疲れているように見える。

「すまない、突然」

「ううん、いいけど。どうしたの?」

本当に、どうしたんだろう。ムリして此処にくるなんて...

「あ、ラクス?」

「じゃ、なくて...のことなんだけど」

「寮に来る?とりあえず、ゆっくり出来るところが良いでしょ?」

とキラに言われてアスランは素直に頷いた。

「あ、だが部外者は...」

「アスランってこの学校の卒業生なんでしょう?しかも学業優秀で卒業したてっていう。寮監ってそのときから変わっていないみたいで時々アスランたちの話を聞くんだ。たぶん、大丈夫」

まあ、ダメだったそのときに考えよう。

アスランとしてもとりあえずこんな目立つところに居てに見つかってそれでラスティに何か言われるのが面倒だ。


寮監はアスランを懐かしんで、例外を認めてくれた。元々アスランは品行方正だったし、どこかの誰かさんたちみたいに女子寮に侵入をすることなんてなかったし。

「それで、が何?」

「俺も詳しい話を聞いたわけじゃないんだけど」と前置きをしてアスランが嫌がらせのように受けたラスティからの指令の話をする。

「あー、あれ?」とキラは首を傾げる。

「えっと、ラスティさんって...」

何か言いにくそうだ。

の義兄だ。の父親とラスティの母親が結婚してきょうだいになったってきいたけど...」

「恋人、とかじゃないんだよね?」

アスランは目をぱちくりした。

「は?!」

「いや、うん...ちょっと待ってて」

そう言ってキラはどこかに電話を掛け始めた。

「ちょっと、アスラン。話してみて」

渡されたモバイルを耳に当てる。

『アスランか?』

「...カガリ、か?」

『今キラから話を聞いたんだが...』と言ってカガリがの話を始める。

彼女の様子がおかしくなったのはフレイに引き連れられてモールに行ったときからだという。

「あ、そのときだったらモールでラスティさん見かけたよ。もそれに気づいてたみたい。でも、女の子連れてて」

『はあ?!浮気か?!』

「ラスティはするにしても、本命に絶対にばれない浮気をする」

『するのか!あいつはそんなことをするのか!!そんな浮ついた男にはやれん!!』

何処の父親だよ...

アスランは心の中で盛大に突っ込んだ。

だが、何となく全容が見えた気がした。結局、自分が撒いた種じゃないか。

「ありがとう、カガリ。何となく分かったから」

『あいつにはは渡さないぞ!!』

そう言ってカガリが電話を切った。

「カガリ、お父さんじゃないんだから...」

キラも呆れてそう呟いていた。









桜風
10.12.27


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