| 昨晩電話を受けてディアッカは待ち合わせしている店に入った。 「お待たせー」と軽く声をかけると待ち合わせの相手、が立ち上がって頭を下げる。 「お忙しいのに、ごめんなさい」 「ううん、いいよ。でも、何で俺なのかなとは思った」 が頼りにするのはラスティの次はニコルだろうと思っていたのに。 「率直な言葉が欲しいからです」 まっすぐに目を見て言われた。 「まあ、その期待に応えられるかわかんないけど...」 そういいながら注文をとりに来たウェイトレスにコーヒーを注文しての話を聞く体勢に入った。 「ラスティが地球に行った原因、聞きました。あのパーティでジョウイ・マクスウェルさんを締め上げたから、と」 「まあ、直接的な原因はそれかもね」 ディアッカは誤魔化すことなく肯定した。 「...ラスティに会うにはどうしたらいいですか?」 の顔をちらりと見てディアッカは「さーて、どうしたもんかなー」と考える。 「当分ムリだけど」 「詳しくお話いただけますか?規定で言えないなら、良いです」 「んー、規定とかそう言うのではなく。まず、地球にもザフトの基地があるのは知ってるね?」 「ラスティはそこに行ったと聞きました」 「うん。ラスティはジブラルタル所属になった。ジブラルタルは大きな命令系統を持っている基地のことで、そこからまだ細分化して各地に駐屯地として基地を持っている。バルトフェルド隊。これが、今ラスティが所属している隊。 これは、家族には知らせることが出来るからちゃんに話しても大丈夫。任務の内容は、詳細まではいけないけど、周囲の治安警護だね」 「え、と。それで...」 何故ムリなのかが良く分からない。 「ちゃんは、地球への行き方、知ってる?」 は首を横に振る。「だろうね」とディアッカは苦笑した。 「まずは、地球との休戦協定のお陰で出来た定期便。これが一般的だ。オーブやスカンジナビアのような元々コーディネーターとの共存が出来ている国とプラントを結ぶ路線。 他には政府が作った路線で、ザフト基地とプラントを結ぶ便がある。ただ、これは事前に書類を提出して審査をクリアして、身体検査は勿論荷物検査をうけることになる。荷物は持ち込むもの全て。手荷物以外もね。実際、到着するのがザフト基地だからそうなるんだけど」 「ザフト基地に直接乗り込めるんですか?!」 は目を丸くした。 「うん。まあ、昔の..戦争をしていたときならプラントと基地でたくさんシャトルが行き来してたけど、今は随分減っただろう?それで、政府もちょっとお金儲けを考えたらしいよ」 知らなかった。世の中がどんな風に動いているか、全く気にしなかった。 「でも、ラスティが言ってたことも本当だと思うよ」 「ラスティが言ってたこと?」 ディアッカの言葉を繰り返すに彼は頷いた。 の遺伝子情報を勝手に持ち出したのはラスティへの復讐だったと自分もそう思う。 父が言うにはジョウイはジョウイなりにマクスウェルの後継になれるように努力をしていたらしい。 とても勉強熱心であったと聞いた。 だが、父がそれを認めなかった。 久しぶりに会った息子に今更後継にならないかと言っていた。 父も自分が必死に努力をしていたのを知っているとは思う。それなのに、彼は捨てた息子をまた欲しいといっている。 自分は選ばれたと思っていた。 しかし、父が選んだのは自分ではなかったとそのとき衝撃を受けた。 衝撃を受けたが、自分の方が優位であるという証拠が何ひとつ無かった。 ザフトに入って赤を着て、ある程度の戦果を見せているラスティと違って、只管ただ勉強をしていたのだ。 見える結果が何ひとつ無かった。 悔しかった。 捨てられたはずのラスティの方が恵まれていることに気が付いた。 それた許せず、彼に自分と同じ喪失感を味わせたかった。 そして、彼の弱点を探した結果、に辿り着いた。 そのときは既にラスティを突き落としたいという妄執にとらわれていたため、その先が見えていなかったのだろう。 結果、彼は全てを失った。 父親から受けられたかもしれない信頼。 自分を守るはずの社会的地位。 おそらく、彼と付き合いのあったものの殆どがそっぽを向いただろう。 「全部憶測だけど。まあ、後継を解任されたからもう何もできないよ。あいつは親の権力を傘に着ることで今まで色々と渡り合ってきたところがあったみたいだし」 その時点でラスティに負けている。それに気づけなかったジョウイは最初からラスティに敵うはずが無かったのだ。 |
桜風
11.2.28
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