Ever green 25





「ねえ、アンディ」

「すまないね、アイシャ。隊長というのはもうちょっと忙しいんだ。あと1時間ほど待ってくれないか?」

せっかくの休暇だと言うのに、まだ仕事をしているバルトフェルドにアイシャが甘えた声を出すが、そんな感じに素気無く返された。

面白くないが、聞き分けの無い子供でもない。

仕方なくアイシャは部屋を後にして、基地内を散歩することにした。



ジブラルタルには自分が思った以上にあっという間に着いた。

はイザークに教えてもらったとおり、東のゲートから出てザフト基地の内部へ続くゲートの前に出る。

シャトルのゲートはまだザフト基地と言っても基地の端っこだ。何かあっても大打撃と言うことにはならない。しかし、士気は下がるだろうし、対外的にも良くは無いが...

そんなことを以前聞いたことがあるな、と思いながらおっかなびっくり門番をしているらしい無表情のザフト兵に声を掛けた。

「あの」と声を掛けられた兵士はを睥睨する。

ビクリと怯んだだが、此処に来た意味を考えたらこのまま引き下がれない。

「バルトフェルド隊のラスティ・マッケンジーに会いたいんですけど」

腰が引けたままの少女はそれでも用件を言ってきた。

根性あるな、と思いながら「ご関係は?」と聞いてみると「か、関係...一緒に住んでないけど、戸籍も違うけど、家族です」と言われて混乱した。

それって、他人なのでは...

「君。名前と、さっきのシャトルを利用してきたのなら推薦状を持っているだろう。見せなさい」

「あ、はい。名前はです」慌ててそう応えながらバッグから推薦状を出す。

兵士といえば、の名前を聞いてすぐに蒼くなった。

上の方から連絡が来ている。

最高評議会議員、エザリア・ジュールにユーリ・アマルフィ。さらに、ラクス・クライン。

「彼女の良い様にするように」という『お願い』があったのだ。命令ではないので、従う必要は無いが、強情に従わない理由も無い。というか、別に従わなくても良いとか言いながら何かがありそうで怖い。

渡された推薦状も『エザリア・ジュール』のサインが入っており、この少女もVIPだと思わざるを得ない。

「えー、ラスティ・マッケンジーを呼び出せばいいのですな?」

あれ?敬語になった??

エザリアの名前の凄さに感動しながら「できれば、ビックリさせたいです」と自分の意向を口にする。

つまり、名前を言うなと言うことなのか、と彼は納得して本部と連絡を取ろうとした。

「あら、じゃあ、お入りなさいよ」

不意に加わった女性の声には驚き、兵士は以上に驚いた。

「な?!」と振り返った彼は絶句した。

彼女は確か、バルトフェルドが連れている恋人。ザフトでもないのに、ザフトの作戦行動に加担している。戦争中からずっとで、戦争が終わった今もそれに変わりないらしい。

「責任はアンディが取るわ」

綺麗な人だなーと呆けていると彼女が顔をずいと近づけてきた。

「ラスティは昨日結構夜遅くまで飲んでたみたいだからまだ寝ているかもしれないわね」

「もうお昼過ぎてますよ?」

「朝方まで騒いでたみたいだもの」

さらりと返されては呆れた。

「部屋は、何処だったかしら?」

アイシャが兵士に聞き、彼は観念したらしくラスティの部屋の位置を口にする。

「部屋の前まで一緒に行ってあげるわ」

そう言って彼女は上機嫌にの手を引いて歩き出す。

「あ、あの!ありがとうございました!」

手を引かれたは門番をしていた兵士に慌てて声を掛ける。

彼は面倒くさそうに手を振った。彼女とはなるべく係わり合いを持たない方が自分のみのためだと悟っているのだ。

たちの姿が見えなくなって彼はバルトフェルドに連絡を取った。

とりあえず、アイシャの行動を報告すると「すまかなったな」と苦笑と共にそういわれた。

「いえ。隊長も...」

その後の言葉は飲んで彼は通信を切った。

そして、また無表情にザフト基地中央へ門を守るという任務に戻った。









桜風
11.4.11


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