| 「え、自分が..ですか?」 やっと本題に入ってくれたバルトフェルドが口にしたのは出向だった。 出向という言い方は何だかしっくり来ないが、そう言ったことのようだ。 隊の所属が変わる、と言うのがいちばん近い言い方かもしれない。 「何故、でしょうか」 思い切り動揺したの声は震えている。 「実は、空からも何人か降りてくるらしいんだ。まあ、本国、議会の決めた大きな作戦だからそれくらいはするんだろうがな。それで、その降りてくるパイロットの多くが“赤”なんだよ。まあ、じゃあこっちもそれくらいじゃないとまずいでしょうってことになって。僕は隊長だから無理だし、ダコスタ君もこの隊に居てもらわないと困る。 それで、こちらとしてもかなりの痛手だとは思うんだけど・にその隊に行ってもらうことにした。悪いが、君一人だ」 「自分だけ、でありますか...」 「少数精鋭で、って話だからな。元の隊は2隊くらいだったかな?その2隊で指揮できる範囲の増員ってワケだよ」 何だか納得出来ない。 が、上官の命令に逆らうことも出来ないためは溜息を吐いた。 「・、ジブラルタルへの出向を拝命します」 敬礼を向けるとバルトフェルドは苦笑した。 「そう硬くならなくていい。最初のブリーフィングは僕も出席することになっている。ジブラルタルに所属する隊全部での作戦が最初らしいからねぇ」 「お聞きしてもいいでしょうか」と言うを促す。 「空から降りてくる隊はどちらの...」 「ホーキンス隊とクルーゼ隊だ」 「仮面の?」 クルーゼ隊。確か、ラウ・ル・クルーゼという名前で、何故かいつも仮面をしていると噂で聞いたことがある。 「そう、あの胡散臭い隊長だよ。ま、でも。・。気をつけたまえよ」 ではなくと呼んだその意味を察しては神妙に頷く。 この隊の赤は自分だけ。その他色々とバルトフェルドが理由を作って今はひとり部屋で生活をさせてもらっている。 ジブラルタルではそうは行かないはずだ。 誰かと同室になるだろう。 そうなれば、四六時中気が休まらない。 「戦死したことにするかい?」 俯いて考えていたの頭にそんな言葉が降って来た。 少し挑発してるような表情を浮かべてバルトフェルドが笑っている。 「まさか。そうなってしまうと自分の生きる場所がなくなってしまいます」 「まあ、僕やダコスタ君がフォローできないところに君をひとりで行かせるのは僕としても心配なんだけどね。君が決めたことだからな、仕方ない」 そんなバルトフェルドの言葉にはしっかり頷いた。 そして、出されたもの凄く濃い味のコーヒーを顔を歪ませながらブラックのままで一気飲みをした。 「出立は、いつでしょうか」 「明朝、0800だ」 「了解しました。MSですよね?」 「輸送機での移動だ。0730にコックピット待機と言ったところだね」 はその会話の最中もずっと顔を歪めていたが、時間と場所を聞き終わり、 「・。明朝0730MSコックピットで待機します」 と復唱するときはちゃんと顔を作って言い切った。 「もう下がっていいぞ」 バルトフェルドの言葉にもう一度敬礼を向けて部屋から出ていった。 「アンディ、大人気ないわよ」 呆れたようにアイシャが呟く。 あまりにも自立したそのの精神がちょっと面白くなくて意地悪をした。意地悪、即ちもの凄く濃いコーヒーだ。 アイシャに窘められてバルトフェルドは肩を竦めた。 「まあ、ダコスタ君。そういうわけで明日は留守にするから頼んだよ。アイシャも」 2人にそう言ったバルトフェルドの言葉に返事をして2人は部屋を出て行った。 |
桜風
09.4.1