| MSシュミレーションに多くのパイロットが時間を割いている。 隊の約8割が空から降りてきたパイロットだ。重力下での戦闘シュミレーションを経験しておきたいという人物が多いのだ。 「、手合わせしてもらえますか?」 シュミレーションルームに向かいながらニコルが言った。 「ああ。オレも、先輩の赤の実力を見てみたいし」 イタズラっぽく笑ってそう言った。 「あれ?って俺らの後輩?」 「1期後輩ですよ、確か」 わざと敬語を使ってそう言う。 ニコルに声を掛けられたため、彼とのシュミレーション対決を行った。 結果はが勝利した。 「次は俺だ」 そう言ったのはイザークで、どうやら彼もとの対戦を希望しているらしい。 「付き合ってやって」 苦笑しながらディアッカが言う。 彼はイザークの保護者みたいだな... そんな事を思いながらイザークをコテンパンにしてみた。 「何だこのクソ重い機体は!!」 「重い...?これくらいだろ」 がそう言った。 重力下での戦闘に慣れているはこれが普通だ。 よっぽど悔しいのか、イザークが奥歯をギリと噛んだ音が聞こえた。 「気にしなくて良いよ。イザークっていつもこうだから」 “いつもこう”って、それはそれでどうなんだろう... 「ついでだから、俺たちも良いか?」 そう言ったのはアスランで、“俺たちも”ということはディアッカとラスティの事も言っているのだろう。 まあ、戦力が高い方が楽だし... そんな事を思いながら引き受けた。 とりあえず全員に勝ったけど、明日やったらアスランには負けるかなとは思った。戦闘のセンスが抜群だった。 ただ、足りないのは経験で。でも、重力に慣れたらそんなの関係ないかもしれない。 因みに、イザークだけは2戦した。 「もう1回だ!」と言ったイザークを断ろうと思ったが、「断ると後々面倒くさいかもしれませんよ」とこっそり教えてくれたニコルの言葉に従い、とりあえず相手をして負かしておいた。 その後、MSの装備を地上戦用に換装したとの連絡が入り、自機の調整を行うといってニコルたちはハンガーに向かった。 のMSは既に地上戦用だが、明日から始まる作戦の地形に合わせて多少の調整をしておく必要があり、自機に向かった。 暫くしてコックピットを覗き込む気配がして顔を上げるとディアッカが居た。 「イザークはここに居ないけど?」 「居たらいやだよ」 苦笑しながらそう返し、「休憩しないか?」と声を掛けられた。 まあ、別に良いけど... そう思ってコックピットから出てきた。 「何でオレに?他の、ラスティとか...」 「あー、いつもつるんでるから。せっかく別の人間居るんだしって思ってさ。邪魔だったか?」 そう言いながらドリンクを渡してきた。 「いや。そっちの方が大変だろう?設定を地上戦に直すのって面倒くさいって聞いたことがあるから」 「まあな。時間ないから余計になー。だから、ついつい休憩したくなるんだよ」 「後々自分が大変になると思うんだけど?」 「まあそれを分かっててこの休憩だよ」 それなら、付き合おう。 MSから少し離れてハンガー内のコンテナに腰をかける。 「そういえば、ニコルから聞いた」 の言葉に何の話かと首を傾げる。 「それ」と指差したのはディアッカのズボンだった。 暑いから上着は脱いでいる。 「ああ。まあ、なー。兄貴、ってレオンな?兄貴に結構でっかい借り作っちゃったんだよなー。後悔はしてないけど」 「なら、良いんじゃないのか?自分で選んだことなんだろう?女の子を助けるために皆一丸となってって聞いたぞ?」 からかうような口調でが言った。 それを受けてディアッカも「まあ、な」と苦笑した。 「って志願しての地上駐留部隊だろう?何で?」 「空に居たくなかったからだよ。諸所の事情で」 先に詳しい理由は言いたくないという意思を示した。 それを受けてディアッカも特に何も聞いてこず、「諸所の事情なー」と呟いた。 それからは仕事の話だ。 ディアッカはこう見えて結構真面目らしく、地上での戦闘の話を聞いてくる。調整するのに参考にしたいようだ。 勿論、そうやっていい動きをしてくれる機体が多ければ多いほど生き残る確率が上がるためもなるべく詳しく答える。 「俺の機体って、天才メカニックが結構可愛がってくれてたからなー。自分で調整って本当に少しでよかったんだよ」 嘆くようにそう言った。 「その人は降りてこなかったのか?」 「うん。今は別の事やってる。すげー頑張る子だから、心配してないけどな」 「年下か?」 「お前と同じ年。ニコルと一緒って言ってたから」 「そうか。会ってみたいな」 が呟くと 「いつか会いに上がって来いよ」 「そうだな」と呟きコップの中のドリンクを飲み干した。 「戻った方がいいだろう。忘れないうちに」 イタズラっぽく笑ったに苦笑してディアッカもぬるくなったドリンクを飲み干した。 並んで歩いていると「あぶな!」とディアッカに腕を引き寄せられた。 コンテナの群から出たところで、すぐ傍をMSの部品を運ぶ車が通ったのだ。向こうも忙しくてスピードを出していたので流石にぶつかってたら無傷とはいかなかっただろう。 進んでいる方向以外に向けての力が加わったのではバランスを崩してそのままディアッカに倒れこむ。 細身では有るがに比べたら体格のいいディアッカは軽くを支えて眉を寄せた。 そしてじっとを見下ろす。 「悪い」と言ってディアッカから離れたに「いや、別に。怪我してないよな?」と返した。 「それ、捨てておくよ」と言いながらディアッカの持っている紙コップを受け取ったはその場から離れていく。 「あいつ...」とディアッカは呟いた。 |
桜風
09.8.1