Flower garden 12





作戦が開始された。

作戦地点まで艦での移動となる。はクルーゼ隊に組み込まれ、部屋割りもそのままとなった。


コンディションレッドが発令されてパイロットスーツに着替える。

つい先日戦闘したというのに、凄く久しぶりのような気がした。何でだろうって考えて意外と自分がリラックスしていたのだと気づく。

『大丈夫ですよ』

MSのコックピットで待機しているとニコルから通信が入った。

が驚いてモニタを見ると微笑んでいる。

『僕が居ます』

「シュミレーション、オレに一度も勝てなかったのに?」

が言うとニコルは「そこを突かれると痛いですね」と苦笑したが、途端に真剣な眼差しを向けてきた。

は、僕が守りますから』

突然本名を口にされて一瞬言葉に詰まった。

と言ってはいない。

勿論、ニコルはの機体にしかチャンネルを合わせていないから誰かに聞かれるということもないだろうが、心臓に悪い。

だから、はニコルを睨んだ。何か言ったらまた色々と墓穴を掘りかねない。

そんなの考えが分かったニコルは笑った。


オペレーターから発進シークエンスがアナウンスされる。

『じゃあ、また後で』と言ってニコルが通信を切った。

それに従って機体を発進させた。


最初の作戦である砂漠の方が作戦を成功させたこともあって戦闘は予想以上に楽になっていた。

つまり、砂漠の方が予定以上に敵をひきつけてくれているということだ。

いつも飄々としている隊長の姿を思い出す。

何でもかんでもフォローに回ってくれていた隊長だ。

ただ、偶然自分の父が授業を受け持ったか担任になったかしただけなのに。

の居場所を作ってくれていた人物だ。

今、自分が落とそうとしている地球軍の基地を落としたら砂漠の方が楽になる。それが分かっているから、目標が定まっているからの動きに迷いはなく、次々と地球軍のスカイグラスパー等を落としていく。

砂漠とはやはり多少の勝手は違うがそれでも空から降りてきたパイロットたちよりはいい動きをする。

しかし、空から降りてきたパイロットたちの中でも地球軍から強奪してきた機体を駆るクルーゼ隊の彼らはさすがトップガンと言ったところか、などとが感心していた。

連携に隙がなく、動きに無駄がない。

暫く空中戦を行っていると地球軍の基地から煙が上がった。

地球軍の母艦が帰還信号を上げている。

それに続いてザフトの艦からも帰還信号が上がった。

『やるじゃん』

不意に入った通信に驚き、モニタを見たらラスティがヒラヒラと手を振っている。

「そっちこそ。昨日までのシュミレーション結果はなんだったんだよ。もう付き合わないからな」

そんな事を言うと

『勝ち逃げ?!ダメじゃん。もう一勝負だけはしてもらうよ。というか、勝ち逃げなんてイザークがうるさいと思うんだけど...』

と笑いながら返された。

あー、そうかも。でも、負けたら悔しいしなー...

そんな事を思いながら帰艦した。



次の作戦は此処とは別の部隊がその地域で、今回落とした基地よりももっと大きな規模の基地との戦闘となっている。

こちらを陽動だと思わせるためのそれだ。

実際、そうなったらこちらの地域に残っているはずの部隊が出て行くと推測される。

その間、今度は市内で次の大きな作戦への情報を収集することになっている。

手を掛けるが、それでも次の基地を上手く落とせたら情勢は一気にザフトに傾くはずと言うのが上の見解だ。

“はず”とかってやめてほしいとか思うが一介の兵士がそう呟いても仕方ないので呟くのもやめている。

しかし、「アホじゃないのか?」とは呟いてしまった。

情報収集は市内への潜入ということになっている。

それは分かる。それは分かるが、

「女装って何だよ...」

は呟いた。

「まー、男ばっかりよりは情報収集しやすいってのがある、とか」

「アホじゃないのか...考え方が単純すぎるだろうが」

ディアッカのフォローにも同じ言葉を呟き、脱力した。たぶん、フォローだろうけどフォローになりきれていない。

で、その女装するのが、

「何だって、オレだよ!?」

「だって、ちっさいし」

とラスティ。

「女顔だろう?」

と言ったのはイザークだが

「それはお前だってそうだろうが!」

がムキになって返すとイザークがその売られた喧嘩を真正面から買ったため、壮絶に子供じみた口喧嘩が暫くの間展開された。

「とにかく!服のサイズとか諸々考えたらかニコルなんだよ」

と止めたのがアスランだ。

「ちなみに、もう1着あるそうですよ。それはそっちの4人で話し合ってください」

と笑顔でニコルが言った。

それは聞いてなかったぞ、とその4人は押し付けあい始める。

「で?僕が女装をしましょうか?」

微笑むニコルが何だか怖くて

「オレ、やるよ...」

と肩を落としてが応えた。

「まあ。にとってはそんなに難しいとは思えませんから。期待していますよ。気楽にデートしましょう」

あ、何かちょっと胃が痛いな...

軍が用意したウィッグとワンピースを受け取っては盛大な溜息を吐いた。









桜風
09.8.1