| 「しっかし。は本当に可愛かったなー。びっくりしたよ」 とニコルが戻ってくる少し前に戻っていたラスティが呟いた。 現在、イザークとディアッカの部屋の中だ。 「何で俺まで...」とアスランが呟いている。 「まあ、着慣れてたんだろうな」とディアッカが言った。 「え、ってそういう趣味があったの?!」 ラスティが興味津々ディアッカに聞いた。 「じゃ、なくて。はたぶん女の子だよ」 「は?!」 「貴様は目が悪くなったのか??」 ディアッカの言葉に声を上げたのはアスランで、イザークはもの凄く呆れた表情を浮かべてそう言った。 「ディアッカ、女の子に飢えてるの?女の子ならオペレーターに沢山居るぞ?というか、彼女に言いつけていい?」 ラスティの言う“彼女”とは今プラントの医療機関で治療を受けている元メカニックの子のことだ。 「おま、何でそっちに話を流すんだよ!」と少し慌ててディアッカが抗議した。 「じゃあ、根拠。根拠プリーズ!」 そう言ったのはラスティで、ディアッカは先日MSハンガーでの話をした。車との接触事故を起こしそうになったを支えたときの話だ。 「それだけ?」 「外見は頑張ったら女の子でも男みたいに出来ると思う。はニコルと同じ年らしいからまだ体が出来てないとか声が少し高いとか。別におかしいって思わないだろう?」 「うん、思わない」 ラスティが頷く。 「でも、骨格はどうしようもないんだよ。ニコルはあんな小さいけど骨格はしっかりしてる。男だからな。でも、のは女の子みたいだったんだ。たぶん、間違いない」 あまりにも自信満々にディアッカが言うから 「根拠は貴様の勘ってことか?」 とイザークが溜息交じりに聞いた。 「俺の、今までの色々な人生経験によるものって言ったら納得出来ない?」 「ああ、あの子に話したら色々と拗れそうな人生経験ね?」 とラスティが言う。 実際、話して欲しくない過去のひとつだったりもする。 「言うなよ」とラスティに釘を刺す。 イザークとアスランは好んでそういうことを言いそうにない。 好んで、もの凄く好んでそういうことを言いそうなのはラスティだ。 「でも、それだったら何で男としてザフトに入ったんだろう。というか、最初の審査ってどうなってたんだろうな」 「さあ、な。でも、駐留軍配属を希望したのも諸所の事情で空に居たくなかったからって話してたからな。何か事情はあるんだろうけど...」 「事情がないのに態々そんな面倒くさいことをしようとは思わんだろうな」 報告書を作るためにデスクに向かっているイザークが手を動かしながらそう言った。 「でも、ディアッカ。今此処での事を言って。どうしたいんだ?告発か?」 「それには興味ないな。別に、最初の審査で通っちゃってんだから今俺らがどうこう言う必要はないと思う。実際、ほら。この間の戦闘でも軍服の色に恥じない動きをしていたし」 ディアッカの言葉を聞いてその通りだと思ったラスティは益々ディアッカの行動が分からない。 「じゃあ、何で?」 「まあ、本当に女の子かわかんないけど。それで助けが必要なら手を貸してあげても良いんじゃないかなって思って」 ディアッカの言葉に部屋に居た3人は驚いた。 イザークは盛大な溜息を吐く。 「ディアッカって、あの子以来凄く面倒見が良くなったよね...」 感心したとも呆れたとも取れる声でラスティが呟いた。 確かに、そうかも...とディアッカも納得する。 「でも、その必要はないだろうな。今まで、といってもそう長くはないだろうけど。はちゃんとザフトのパイロットでやって来れたんだ。今更何か助けが必要になるとかないだろう」 とアスランが言う。 「それに、ニコルが一緒だし」とついでに続けた。 「ニコル?」 「ああ。ニコルって結構聡いから、もしかしたら知っているかもしれないだろう?同室なんだし」 「あー、そっか」とラスティが納得した。 「ニコルの手に負えなくなったら相談してくるだろう。一応、あの2人はバディだしまずはニコルを頼るべきだろう。あいつは協調性もあるから馴染みやすいだろうからな」 アスランの言葉にその場に居た3人は納得した。 報告書が出来上がってイザークが隊長室に向かう途中にが着ていたワンピースとウィッグを持っているニコルを見かけた。 さっきの話が頭を回る。 「あれ、イザーク。もう報告書出来たんですか?」 何故か振り返ってイザークの存在に気づいたニコルが声を掛けながら近づいてきた。 「ああ。お前たちはまだなのか」 「さっき戻ったばかりです。ギリギリまで粘ってみたので」 「お前、が..報告書はが書いているのか」 一瞬、の事を知っているのかと聞きそうになった。が、やはり余計なことだと思う。 「ええ。そうです」 「まあ、何か手が要るようだったら声を掛けろ」 そう言ってイザークは背を向けて隊長室へと向かった。 イザークの様子が少し変だと思いながらも今日の女装が相当精神的に堪えたのかなと勝手に納得して事務官にワンピースを返しに向かった。 |
桜風
09.10.1