| それぞれの得た情報を総合的に判断して次の作戦が告げられた。 作戦決行は3日後となった。 は部屋で1枚のディスクを弄んでいた。 中身はもう確認した。 こちらの今砂漠で行われている作戦の内容だった。 このディスクを持っていたのはクルーゼとあっていた男だ。 ニコルが少し席を外したときに丁度見かけたので奪ってみたのだ。男はそのまま帰らぬ人になっている。 「やっぱ、誰かに相談...無理だな」 自分はザフトで同胞だが、地球の駐留軍に所属していた身だ。やはり空から降りてきたこの部隊からの疎外感は多少なりとも感じている。 それに、彼らがずっと信じて従ってきた隊長の行動を暴露してみても下手したら自分が追い込まれる。 クルーゼと真っ向からは喧嘩したくない。 バルトフェルドが前に言っていたが、目を見せない人物は信用ならない。確かにそうだな、と今更ながら少し納得した。 「?」 ぼうっとしているの目の前にニコルの顔が現れた。 それに驚いたは椅子から転げ落ちた。 「大丈夫ですか?」 そう言いながら手を差し出すニコルの手を取った。 「。前に、意識してくれたら僕は嬉しくて何をするか分からないって言いませんでしたか?」 ニコニコと微笑みながら言うニコルに 「そんなんじゃなくて。普通に考え事をしてたら目の前に誰かの顔があったら驚くだろうが」 とはぶっきらぼうに返す。 「真っ赤になりながら?」 イタズラっぽく笑いながらそういうニコルから逃げるようには部屋を出て行った。 自分の気持ちを、というかに告げて以来ニコルはのびのびとしている。 逆にはどうして良いか分からない日々を送っている。 しかし。 さっきのことをまた考える。 でも、相談できる相手が居ないてことは、自分で何となしなくてはならないということだ。 もしかしたら、今回の作戦もほかに漏れている可能性だってある。 あの男が何処に属しているかは分からず仕舞いだったが、それでも外部に漏らした時点で何処にその情報が流れてもおかしくないことくらいは考えなくても分かる。 考えた末、はそのディスクを割った。 なかったことにしたのだ。 長いものに巻かれろなんて思わないし、思ったことはない。 が、どうしようもなく大きな、それこそ自分の手には負えないものはいつまでも持っていても仕方ない。 暫く基地内を散歩して部屋に帰った。 シャワーを浴びて出てくるとニコルがいた。 さっき部屋に戻ったときには居なかったから何処かから帰ってきたのだろう。 「散歩は終わりですか?」 「ああ、まあ...ね、ニコル」 が改まって名前を呼ぶ。 「何..ですか?」 がベッドに腰掛けて髪をガシガシとタオルで拭いている。短いからそれだけですぐに乾く。 「今度、会うときは春が良いね」 突然のその言葉にニコルの表情が硬くなる。 「どうしたんですか、突然」 「ほら、だって。わたしはとりあえず地球でのクルーゼ隊の任務が終わったらバルトフェルド隊に戻るでしょう?たぶん、次の作戦でクルーゼ隊の此処での仕事は終わるんじゃないかな?そしたら、きっとまた空に戻るでしょう?」 「?」 声も、口調も・だ。 「だから、次に会うときは一面の花が咲く草原で再会したいよね。そうそう、知ってた?初めてあった場所。あそこって春は色とりどり、百花繚乱なんだよ」 「どうしたんですか、..」 名前を呼ぶのも躊躇われる。 はニコリと微笑む。その表情も女の子の表情で、ニコルは焦燥感に駆られる。先ほど、基地内を散歩していたはずだが、何かあったのだろうか。 「何かあったんですか?」 「いや、別に。何も。ちょっと驚かせてやりたくなっただけだよ。けど、予想以上に驚いてもらえたから、逆に良心が痛んだな」 苦笑しながらがそう言った。 いつもの、・だ。 ニコルは安堵したように息を吐き 「も人が悪いですよ」 と文句を口にした。 「いつもやられっぱなしだったからな」 少し嬉しそうに言うにニコルが近づく。 俯いて頭を拭いているはニコルの足が見えて初めてニコルが傍に来たことに気がついた。 「何だ?」 そう言って顔を上げると両腕をつかまれ、ニコルにキスされた。 「仕返しですよ」 呆然としているに向かってニコルは笑う。 「なあ、ニコル」とが名前を呼んだ。 「何ですか?」と機嫌よく返事をしたニコルに「死んだ人間をいつまでも追いかけるなよ」とが俯いて呟いた。 その呟きはニコルまでには届かず 「何ですか?」 とニコルはもう一度聞く。 「とっととシャワーでも浴びて来い。そして、オレはもう寝る」 はそう言ってベッドにごろりと寝転んだ。頭を拭いていたタオルは床に落ちた。 ニコルは肩を竦めてそのタオルを拾ってシャワーを浴びるべくバスルームに向かった。 |
桜風
09.11.1