Liar 11





プラントから久しぶりに通信が入ってきた。

前だったらいつも見ていた顔だし、別に嬉しいとかそう言った感情は持っていない。

が、今は何となく“懐かしい”くらいは思う。

「いつ帰ってくるの?そろそろ長期休暇だろう?」

「補講があるからな。すぐには帰れん」

「ふーん...長期休暇っていつから?」

彼の問いにイザークは素直に応えた。

「学生はいいよなー」と返されてその通信は終わった。


試験休みがあり、と共に出かけることにした。

以前空振りに終わった古書店を通りかかったため、イザークは再び店主に話を聞きに行く。

暫くして店から出てきたイザークはもの凄く機嫌がよかった。

「見つかったの?」

「ああ、本当に幸運だった」

そう言いながら嬉しそうに今購入してきた本が入っている袋を見詰めた。

「イザーク!?」

少しだけ、イザークの機嫌が悪くなる。

振り返るとそこにはアスランと、カガリがいる。

暇なのか...!?

「カガリ..様?!」

が呟く。

オーブの人間で彼女の事を知らない者はいないだろう。

というか、何故堂々とこんなところを並んで歩いているんだ?

「久しぶりだな、イザーク」

「ああ、そうだな」

アスランにそっけなく返してそのままカガリには小さく頭を下げる。

「知り合いなの?」

イザークのシャツを引っ張ってが小声で問う。

「まあ、一応」

「そちらの子は?」

アスランがに顔を向けて問う。

「君..この間慰霊碑のところにいなかったか?」

ああ、どこかで聞いた声だと思った。

「クライン議長を迎えに来た方ですね?」

が言うと

「ああ。アスラン・ザラだ。君は?」

です。イザークの家で押しかけ家政婦をしています」

そう言っては頭を下げる。

「押しかけ、家政婦...?」

首を傾げながらの言葉を繰り返すのはカガリだ。

「お忍び..のつもりですか?」

一応聞いてみた。

「ああ、誰も気がついていない。アスランは、もうバレバレだと言っていたが...ん?もしかして私が誰かを知っているのか?」

「...みんなきっと見て見ないフリをしているだけだと思いますよ。カガリ・ユラ・アスハ様」

「え!?」との言葉に反応してカガリは今更慌て始める。

その様子を見てアスランは深く息をつき、イザークも同じく溜息を吐いた。


そのまま何故か一緒にお茶でも、という話になって大人しくイザークはアスランと共に余暇を過ごすことを承諾した。

個室に通されて注文を済ませる。

「そういえば、アスラン。この間頼んでいた本。見つかったからもういいぞ」

「本当か?オレも出るたびに探してはいたんだけどな。良かったな。確か、カイト・氏の本だったよな。オーブでは有名だったみたいだけど、意外と出版部数が少なかったって聞いたぞ」

「さっき買ったのが?」

が話に入る。

「ああ、これだ」と言いながらイザークは購入した本を出した。

「そういえば、“”ってよくある名前なのか?一緒だな」

最初に会ったときにも思った。自分が初めて民俗学に興味を持ったそのきっかけはこの学者の本だった。

平易な表現で分かりやすく、とても興味をそそる論題が多かった。

「まあ、少なくはないと思うよ」

そう言っては一言断りを入れて席を立つ。


が席を立って丁度良かった、とアスランはそんな表情を浮かべた。

「プラントの方がごたついているんだってな」

アスランの表情を見て先にイザークが問う。きっとこの話がしたくて彼はイザークたちを誘ったのだろう。が席を外すことくらいあるだろうし、と思っていたのかもしれない。

「知っていたのか?!」

「この間、慰霊の日にシンとルナマリアが来たんだ。そのときに、そんな雰囲気だという話は聞いた」

「シンが?」と呟き、気を取り直してアスランは頷く。

「政界のほう、らしいけどな。軍は今のところ各方面でにらみを利かせられている。だが」

「評議会は人手不足か...」

溜息交じりに言うイザークにアスランは頷いた。

「あのラクス・クラインをしても、ということか」

諦めの感情を含んだ声でイザークが呟く。

「ラクスは大丈夫だといっているんだが。キラが、心配だって」

カガリが言葉を添えた。

確かに、あのラクス・クラインが弱音を吐くとは思えない。近くにいる人物の方がよほど冷静に判断しているだろう。

「まあ、俺も長期休暇中は戻るつもりだ。自分の目で確認する。というか、何故お前たちは自分が悪いわけじゃないのにそんなに申し訳なさそうな表情を浮かべるんだ」

不機嫌にイザークが言う。

自分だけのうのうと好きなように生活を続けたいなんて思っていない。必要なら、すぐにでもプラントに帰るつもりだ。

それは留学すると決めたときから自分の中の前提条件だ。


が席に戻るとそこには不機嫌なイザークと困った表情を浮かべるアスランがいた。

カガリはそんなに気にしていないようだ。

「どうしたの?」

「何でもない」

の問いにも、イザークは不機嫌に返した。









桜風
09.2.27


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