Liar 12





たちと別れてからカガリはずっと首をかしげていた。

「どうしたんだ?」とアスランが聞くと「いや、さっきの。。私はどこかで見たことがあるような気がして...」と呟きながら答える。

「知り合いだったのか?」

「いや、そこまで親しい間柄ではないはずだ」

そう言いながら官邸に帰った。




「カガリ様」と昔からアスハに仕える者が声をかけてきた。

その日の仕事を終えて屋敷に帰ってきたばかりだ。

「どうした?」と聞くと

「先日、カガリ様と一緒にいらっしゃったのはのお嬢様ですね」

と言う。先日、といわれていつの事かと遡り、お忍びで街に出たときの事を思い出した。

「ああ、と言っていたな。知り合いか?」

そう返したカガリに彼は驚いた表情を浮かべた。

「カガリ様、覚えておられないのですか?カイト・氏はウズミ様の良きお友達ですよ。ヘリオポリスのガレッジで教鞭を取っておいででしたが、それ以前は本国にお住まいでしたし、時々このお屋敷にもいらっしゃっていました。
お嬢様は、カガリ様よりも年下だったと記憶しております。
ウズミ様が亡くなって以来、氏との交流はなくなりましたが...カイト氏も亡くなったと噂に聞いております」

彼の話を聞いていたカガリの記憶も段々呼び起こされる。


父の書斎に入り、手紙等を探す。

―――あった。

写真が同封されていた。

先日会った彼女そっくりの小さな少女が父親であるカイト・に抱きかかえられている。

彼女はあのとき、何て言っていた?

『押しかけ家政婦』。

何故そんなことになっているのか。

父と親しかった彼女の父親から手紙に書かれている文字を追った。

...」

明日、少し調べてみよう。

今日はもう遅い。

明日の公務に支障を来たしてはならないため、カガリはとりあえず手を止めて自室へと向かった。




イザークの学校の長期休暇が始まった。

と言っても、彼は補講があり、結局登校している。

そういえば、イザークはきっとこの休暇中はプラントに帰るのだろうと思う。じゃあ、自分はどうして生活していこうか...


そんなことを考えているとインターホンが鳴る。そろそろイザークが帰ってくる時間だが、それにしても彼がインターホンを押すのはおかしなことだ。

そう思いながらも「はい」とドアを開けるとイザークとは対照的な整った顔がそこにあった。

「あ、あれ?」と彼は慌てている。

「あ、すみません。間違えたみたいです」

そう言って頭を下げる彼に「あ、はい」とも返してドアを閉めた。

何だったんだろう?


びっくりした...

イザークの家に行ったはずなのに、出てきたのは見知らぬ女の子。

間違えたと思って慌てて頭を下げた。

が。

メモを確認したうえに、さらに表札を見れば『ジュール』とある。

間違いではない。

じゃあ、あの子が間違ってイザークの家にいるのか?

んなアホな...

そう思いながらもインターホンを押した。

「はい」とさっきと同じ声が返事をして出てくる。

彼女はまたしても自分の訪問に驚いたようだ。

「えーと、ここってイザークの家であってる..よね?」

聞いてみると彼女は頷いた。

「イザークのお友達ですか?」

「あ、うん。そう。お友達、マブダチ」

軽くそういうものだから、逆に警戒心が強くなる。

「本当、に?」

「ホント、ホント。イザークに聞いてみろって。『ディアッカ・エルスマンって素敵なお友達いない?』って」

「そんなやつは知らん」

不意に加わった第三者の声にディアッカは笑い、は驚いた。

「お帰り」とが言い、「ただいま」とイザークが返す。

そしてそのままイザークはディアッカの前を素通りしてドアを閉めようとする。

寸でのところでディアッカはドアの間に足を挟みこみ、イザークがドアを閉めるのを阻止する。

「ちょ、待って」

「帰れ」

「いやいや。歓迎して」

「帰れといった」

そんな2人の遣り取りを見ては声を上げて笑う。

驚いたイザークが振り返り、腕の力が緩んだ隙にディアッカはドアの内側に自分の体を滑り込ませてくる。

チッと舌打ちをしてイザークは部屋の中に向かった。

「どうぞ」とはまだ笑いながらディアッカに家の中に入るように促した。


荷物を置いてソファに座ったディアッカに冷たい麦茶を出す。

「コイツには茶漬けを出せ、

それはどこかの風習で「帰れ」ということを意味しているらしい。イザークは勿論、ディアッカもそれは知っている。

そして、も知っている。

「いいじゃない。お友達なんでしょ?」

ちゃん、優しいね」

ニコリとディアッカが笑いかける。もニコリとそれに応じた。

「で、何でちゃんはこの家にいるの?」

ディアッカが問う。

「えーと。色々と端折って説明したら『帰るとこないから、置いて?』って押しかけ女房ならぬ、押しかけ家政婦しているの」

が笑いながら言う。

何でそんなことになってるんだろう?

ディアッカはイザークを見た。

ディアッカの視線に気づいているイザークはそのまま無視を続ける。

「...ディアッカさん、って泊まるんですよね?この家に」

「呼び捨てでいいよ。まあ、そのつもりだけど...」

「帰れ。貴様は仕事があるだろうが。隊長のクセにフラフラするな!」

「いいじゃん。有給休暇。正当なものでしょ?けど..」

そう言ってディアッカはを見る。

彼女はディアッカの視線に気づいていないのか、思案している。

「タオルケットだけでいいから、私が床で寝て...んー、ディアッカさん、ソファでいいですか?イザークのベッドに大の大人の男が2人ってのはちょっと狭いだろうし...」

「うん、オレはオッケー。何なら、ちゃん。オレと一緒にソファで寝る?」

殺気がディアッカに襲い掛かる。

おー、久しぶりだなーとか思いながら気づかないフリをしていた。

「はは、遠慮します」

も軽くその言葉を返す。

「ディアッカなんぞは床で十分だ。、気を遣うな。コイツは俺の部屋の床で寝かせる」

低い声でイザークが言う。

おお、怒鳴らないんだ...と少しだけ感動を覚えながらディアッカは「サンキュー」と返した。

忌々しげに舌打ちをして、イザークはそっぽを向いた。









桜風
09.2.27


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