| 酷い頭痛に眉を顰めながら部屋を出るといつもどおりに朝食の仕度をしているの姿があった。 「おはよう」 イザークが声を掛けるとはビクリと肩を震わせる。 「あ、おはよ」 笑顔でそう返したが何だか少し違っているように思えてイザークは首をかしげた。 「どうした?」 「は?何が?!」 意外なイザークの言葉には少し大きな裏返った声を出す。 その声が頭に響いたイザークは眉を顰めた。 「すまないが、もう少し声量を落としてくれ」 頭に手を添えてイザークが言った。 は肩を竦めてケトルをコンロに掛ける。 テーブルについたイザークの目の前にマグカップが置かれた。いつもと違うのは深い緑色の液体が入っていることだ。 「これは...」 「濃いお茶。目が覚めるよ、きっと」 の言葉通り、そのお茶はもの凄く濃くて、一応、目は覚めた。 「今日も学校でしょ?」 「午後からだがな。ああ、あと帰りに寄るところがあるから少し遅くなる。昨日ほど遅くなる予定じゃないし、夕飯はウチで食べるから」 そう言ってイザークは、はたと思い出した。 「俺は、何時ごろ帰ってきた?」 「覚えてないの!?」 は大仰に驚いたように言う。 イザークが昨晩の事を覚えていないのは予想済みだ。 覚えていたら、きっと真っ先に謝罪の言葉から今朝の会話が始まるはずだから。 「...すまない。もしかして、迷惑掛けたか?」 「かなり、ね」 そう言っては笑う。 「えーと、すまない」 とりあえずイザークは謝った。 「ホント、大変だったよ。イザークってば夜中に帰ってきたと思ったら玄関で寝始めるし。重いから自力で部屋に行ってって言おうとしたら戻しそうになるからトイレに連れて行って。まあ、幸い服が汚れなかったからそのまま寝かしたけど。 イザークって、お酒に弱いの?」 の話を聞いていて自分が恥ずかしくなる。吐くまで飲んだのか。 「いや、そうでもなかったが。徹夜続きの中だったからな。正直、こういう酔い方はしたことがない。悪かったな」 「まあ、偶にはいいのかもね」 苦笑してはそういう。 とりあえず、もう一眠りをしたいからとに断って自室に戻るために立ち上がった。 ふと、の首筋に赤いものがついているのに気がつく。 「、ここ。どうした?」 自分の首筋を指差して言う。 何だか少し赤くなっているような気がする。 「ああ、虫かも。毎日掃除してるのに、クモでも這ったかな?」 「そうか。薬が要るようだったら買って帰るぞ?」 イザークの言葉には首を振る。 「大して痒くないし、必要だったら自分で買ってくるから大丈夫。ありがとう」 の言葉に納得してイザークは部屋に帰った。 「虫、か...」 ドアを閉めて呟く。 一瞬、昨晩記憶がないときにに何かしでかしてしまったのかと思った。 しかし、そうではなかったようだ。 最初はの様子が何だかいつもと違うようにも思えたが、どうやらそれは自分の勘違いだったようだ。 もしかしたら、昨日の失態を怒っているのかもしれないが... とりあえず、昨晩のままの服は着替えてベッドに潜り込んだ。 午後の授業に出てその帰りに行政府を目指す。 少し前以て連絡を取り、許可は得ている。 イザークが着くとアスランが出迎えた。 「悪いな」 「いいや」 そんな会話をしながら行政府の中のコントロールルームに向かった。 評議会のラクスと話をするためだ。 彼女が取れる時間は少なく、イザークがプラントに上がって公休日になるまで少し時間が空く。その時間が勿体無いため、オーブに居るうちに話を聞いておこうと思ったのだ。 セキュリティの関係から、自分のパソコンなどでの通信は控えた方がいい。 この国で一番高いセキュリティ能力を誇るのが行政府だ。 よって、イザークはアスランに連絡を入れてこの通信施設を使わせてもらうことにした。 簡単に使わせるオーブの体制もどうかと思うが、使わせてもらうのでそれは敢えて指摘しないでおいた。 |
桜風
09.5.29
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