Shall we dance? 2




が艦内を歩いていると、ある部屋の前にさしかかる。

その中から漏れる声に思わず足を止めた。

「だから...!」

『−−−−−』

「ちょ、待てって。ミリィ!!」

よく分からないが世に言う修羅場とか言うものらしい。

全く知らないクルーの痴話喧嘩ならだって全く興味を持たずにその部屋の前を通り過ぎたと思う。

が、しかし。

この部屋の中から聞こえる声はディアッカのものだ。

ディアッカには可愛い彼女が居ると聞いたことがある。地球に居る、ナチュラル。

どういう経緯で彼女と付き合うようになったのかは知らないが、先の戦争が何らかの原因になっているのかもしれない。

元々ディアッカはコーディネーターの中でも優秀な方で、故に、ナチュラルを見下している節があったらしいから。

この艦を率いているイザークも同じようなものだったと。

全く想像がつかない。


そんなことを部屋の前で考えているとディアッカが出てきてが慌てる。

「...なんだよ」

不機嫌全開。

「え、いや。...ケンカ、ですか?早く仲直りでき..「お前にはカンケーねぇ。つか、ちょっとウザイからどっか行け」

途中までしか言わせてもらえなかった。

「ごめんなさい!」

は深く頭を下げて走り去る。

あ、マズイな...

そう思いながらディアッカは頭を掻いた。

聞かれていた。バツが悪いと思った。

仲直りしろと言われそうになった。それはもうできない事だ。

完璧、八つ当たり。

普段の自分ならいくらでもおちゃらけた自分を演じられただろうに。

はぁ、と溜息を吐きながら廊下を歩く。

「...何やってるんだ、あの馬鹿」

偶然あの2人のやりとりを見ていたイザークはディアッカとは別の種類の溜息を吐いた。



その日の夜にドックへ行くと明かりが漏れていた。

「何だ、か」

明かりの元へ行くとが端末を操作していた。

「うひゃ!あ、隊長!!」

変な声を出して驚き、そして、敬礼する。

イザークも一応敬礼を返した。

「何をやってるんだ?お前は、今は非番だろう?」

24時間いつでも動けるように2交代制となっている。たしか、は今の時間は空いてるはずだ。

「あ、いや。何だか眠れなくて...」

「休む事も仕事だ。敵襲があったときに『寝不足でした』で機体の整備に問題があれば、それは即パイロットの死に繋がるのだからな。パイロットは整備を信頼している。そうでなければ、こんなもの乗って戦争なんて出来ないぞ」

そう言ってイザークは自分の愛機を見上げた。

「あ、そうだ!ジュール隊長!!今お時間有りますか?」

...聞け、俺の話。

そう思ってイザークはを見るがの目は何だか必死だ。

「まあ、少しくらいなら」

何の話になるかおおよそ見当がついていたが、イザークは仕方なく自分の部下の愚痴とか聞くことにした。

「あ、コーヒー飲みます?マズイやつ」

「マズイ物を人に勧めるな」

溜息混じりに言うと

「だって、マズイの以外ないんですから。それに、ジュール隊長は舌が肥えていらっしゃるでしょうから、ちょっと美味しくないコーヒーでも『マズイ』になるかと思って。気を遣った発言なんですよ、これでも」

そう言って「ちょっと待っててくださいね」と去っていく。

その背中を見送るイザークは深々と溜息を吐いた。










桜風
07.9.5


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