| 「ー!」 研究室入り口から呼ばれて振り返ったは思わず時間を確認した。 カツカツと靴音を鳴らしては研究室入り口でのんきに手を振っているラスティに詰め寄った。 「休憩、終わってるんじゃないの?」 「ちょっとちょっと」 そういいながらの手を引いて歩き出す。 「ちょ、ラスティ?!」 「班長。こっちは、今の指示通りやっておきますからー」 室内の部下達に声をかけられた。 「よろしくー」 それに対して答えたのはラスティで「こら!」とがゲンコツをする。 「あいて!」と言って肩を竦めるラスティだが、本当は痛くない。 「で、何?」 人があまり来ない、非常階段の入り口まで連れてこられた。 「ねえ、。何でオレがこっちに立つのイヤなの?」 そう言って右側に立つ。 「イヤってワケじゃないけど...」 「って、誰かと歩くときって、基本的にその人の左側だよね」 思い出した。 「あれ?」と何度も思っていた。 は溜息を吐いた。 「私の視力があるのは、右側だけだからよ」 「オレのこと、見たくないって事?」 ラスティが首を傾げる。 「ちがう。見なくても良いってこと。警戒をしなくてもいいってこと」 溜息混じりに言う。 誤魔化せないと思ったのだ。 「へ?」 「だって、左側に立たれたら私、その人を観察とか監視できないでしょ?だから、左側に立つように位置取りしてるの」 そう言ってチラと見上げると思ったとおりの表情をしていた。 「ね、」 「はいはい、何?」 「この件が片付いたら、長期休暇がもらえるんだって!」 「私、班長だからそこまで長いの無理だけど」 は肩を竦める。 「そっか。じゃあ、家でイチャイチャしよう!」 「片付くって、どのレベルまで求められてるか分かってる?」 が問うと 「たぶん、芋づるで根っこまで」 とラスティが言う。 その通りだとも頷いた。 「けど、やっぱりそんだけ大きなことなら、目の前に人参ぶら下げさてもらっても良いじゃん。何かご褒美ちょうだい」 ラスティが主張する。 は苦笑して「...そうかもね、考えとく」と言う。 「じゃあ、約束ね!」 ラスティはそう言って駆けていった。 研究室に戻ると部下達が「あれ、早かったっスねー」と言ってくる。 は溜息をつき、 「近々長期休暇貰うから」 と言う。 「そりゃ、久々で」 苦笑して誰かが言った。 「だから、できるところまで進めるし、方針は早めに固めるよ」 の言葉に部下達は口々に了解の意思を示した。 「てか、主任がもっと早く教えてくれてたら...」 ラスティはぼやく。 先ほどの彼女は凄く使えそうだった。 知っていたら適当に合わせておいたのに... (取り敢えず、こっちで色分けからか...) 主任は「大半」と言っていた。たぶん、疑わしいのも含めて全部ぶっ込んだのだろう。 (何か、こういうの久々すぎて...) 口元が緩む。自分は、結構性格が悪いのだ。こういう駆け引きも得意だし、負けたことが無い。 (には見せらんないねー) 友人達曰く 「お前の場合、結構エグイぞ」 なので、余計である。 研究室に帰ると、先ほど水をかけた彼女が声をかけてきた。 謝罪をしてきたのだ。 (ああ、なるほど...) プラント出身の、元ザフトレッドの自分をなんとしても引き込みたいのだろう。 では、何故に近付いたのか... (じゃあ、じっくり暴いていこうか) ラスティはにやりと笑い、先ほどの彼女に口先だけの謝罪で応じた。 |
桜風
12.10.15
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