| Gold 6 |
| 煌びやかなドレスやタキシードの中、私は毎年のことながら所在が無い。 だって、こんな社交界に知り合いなんて居ないし。 毎年来てても友達なんて出来ないし。 いつもホールの隅で壁の花となっている。 いい加減目がチカチカしてバルコニーに出た。 空を見上げればあるのは月で、太陽は沈んだ後。 まあ、家を出るときに既に太陽は沈んでたけど... 「よう」 声を掛けられて振り返ると、タキシードをビシッと着こなしたディアッカの姿があった。 「こんなところに来ていいの?」 「いいんだよ。もう目ぼしいところに挨拶はしてきたから」 そう言ってタイを緩めて手に持っていたグラスを口に運ぶ。 「は、つまんないだろ?」 少し困ったような笑顔でそういわれた。 「少し、ね。でも慣れたよ」 「イヤだったら来なくてもいいんだぜ?」 気を遣ってそう言ったんだということは何となく分かる。 けど、ちょっとムカついた。 「まあ場違いだってのは分かってるけどね」 「や。そういう意味じゃなくて...」 半ば八つ当たりの私の返答にディアッカが口ごもる。 こういうところが子供だというのに...わかってて言ってしまう自分がイヤだな。 「嘘だよ。慣れたし、ディアッカの誕生日、お祝いしたし」 そう言って見上げるとディアッカが目を丸くした。 「それは、どうも...」 「照れた?」 「んなワケないだろ!」 ディアッカの反応が楽しくて笑うと「笑うな」って怒られた。 「それ?新しいドレス」 「そう。どう?」 そう言って1回転してみせる。 「いいんじゃね?」 そう言って頭を撫でた。 「子ども扱いして...」 頬を膨らませてそう言う。正に子供だ。 「んじゃ」と言ってディアッカはバルコニーのテーブルにグラスを置いて 「私と踊っていただけませんか?・様」 と片膝をついて私の右手を取った。 何も言えずにただパクパクと口を開閉していたら笑われた。 「まあ、そうもいかにだろうけどな」 スッと立ち上がって困ったように笑う。 「そうそう、。これをあげようと思っていたんだ」 そう言ってディアッカは内ポケットからほっそりとした小さめの箱を取り出した。 「何?」 それを手に置かれてディアッカを見上げると 「いいから開けてみろって」 と言う。 言われたとおりにその包みを解いて開けるとゴールドのブレスレットが入っていた。 「これ...」ディアッカの真意が読めずに見上げると 「やるよ」と言って箱の中のブレスレットを手にとって私の腕に付けてくれる。 「良かった。今日がブレスレットして来てたらつけてやれなかったからな」 ディアッカがそう言っている間も私は自分の腕に光るゴールドのブレスレットを見つめていた。 そして、気がつく。 「ねえ、今日はディアッカの誕生日だよ」 そう言うと 「いいんだよ。なあ、。嬉しいか?」 と聞かれた。 「うん、嬉しいよ」 当然じゃん! 「俺はその言葉が俺は嬉しいよ。それで十分。店で見つけたとき、が浮かんだからさ。気に入ってもらえると良いなって思ったんだ」 そう言って優しく微笑むディアッカは冬の日の太陽だった。 あったかくて、優しくて。 「なあ、脱走するか?」 不意にそう言ったディアッカは子供のように目を輝かせていた。 「いいの?」 「いいよ。さっき言っただろう?挨拶しなきゃいけない人には挨拶したって」 イタズラっぽく笑ったディアッカに手を引かれてバルコニーの柵を越えた。 前にはディアッカがいて、やっぱり太陽みたいだった。 「どうした?」 「ううん。夜に輝く太陽もいいね」 私の答えに「はあ?!」とディアッカは声を上げる。 私の側にはいつも金色に輝く太陽がある。 それがとても嬉しかった。 |
| ディアッカの誕生日、今回はお祝いできました。 誕生日からひと月経ってますけど(笑) 最後までお付き合いありがとうございました。 桜風 07.4.29 |
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