| 午後の授業が終わると、ラスティの携帯とイザークの携帯にメールが入った。 同時だったため、2人は不思議そうに顔を見合わせてそれぞれ確認する。 イザークの眉間に深い皺が刻まれ、ラスティは駆け出した。 「ラスティ!?」 どんどん小さくなる背にディアッカが声を掛けるが、彼は足を止める様子も振り返る様子も見せずにまっすぐ門を目指している。 「イザーク?」 ニコルが声を掛けると「が事故に遭ったらしい」と呟いてニコルに携帯を渡し、校門へ足早に向かった。 受け取ったニコルが画面を見る。アスランとディアッカが背後から覗き込む。 どうやら、用事を済ませて帰るときに車にはねられたらしい。 意識不明の重態で、正直楽観視出来ないとか。彼女の事故の様子とか詳しくは書いていないが、それだけ情報があれば十分だ。 病院名が書いてある。 ラスティは既に学校の外に出ている。病院に向かっているのだろう。 自分たちも向かわなければ、と先を歩くイザークへと駆けた。 急いでが運ばれた病院へと向かった。 手術室の前に行ってみると一足先に来ていたラスティとの両親がいた。 「まだ出てこないんだ」とラスティが声を掛ける。 イザークたちはの両親に頭を下げ、それぞれ傍の壁に背をつけたりソファに腰を下ろしたりして静かに手術室のランプが消えてが出てくるのを待った。 それから数時間して手術室のランプが消えてドクターが出てきた。 「さんのご両親は...」 そう声を掛けられての両親は立ち上がり、ドクターに詰め寄る。 「は...」 「あの子は、助かりますよね!」 彼女の両親は口々にそう言った。 「場所を変えましょう」 そう言ったドクターに促されて2人は別室へと向かった。 彼らが去っていったすぐ後にストレッチャーに乗せられたが出てきた。 駆け寄るラスティたちに「道をあけて」とスタッフが言い、ラスティは彼らに併走しながら目を瞑ったままのの顔を心配そうに見た。 彼女の連れて行かれた部屋は個室で部屋のドアに『面会謝絶』という札が掛けられた。 暫くするとの両親が戻ってきた。 涙を流している母親を父親が支えるように歩いている。 「おじさん」 ラスティが駆け寄った。 「ああ、ラスティ君。うん...少し、難しいみたいだね」 の父親の言葉に「そんな!」とニコルが小さく声を漏らす。 「大丈夫か」とイザークがラスティに声を掛けると力なく手を上げて応えた。 全く大丈夫そうではない。 イザークたちも少なからずショックを受けているが、ラスティのこんな様子を目にすれば自分たちが落胆するのは憚れる。 取り敢えず、部屋の前にあったソファにラスティを座らせた。放っておいたら倒れてしまうかもしれない。 イザークたちもが目を覚ますのを待つこととした。 しかし、夜中になって日付が変わっても何の変化も見せない。 の父親が病室から出てきた。 「君たちももう帰りなさい。何かあったら連絡をするから」 イザークたちは顔を見合わせた。 「オレは、まだ残ります。大丈夫です」 俯いたままラスティが応えた。 「じゃあ、僕も。明日は午前は授業とっていませんから」 ラスティを一人置いて帰るのは少々心配だから、とその表情が語っている。 「...んじゃ、俺たちは帰るから」 ニコルの意図を汲んで頷き、ディアッカはそう言ってアスランとイザークを促して病院を後にした。 結局朝になってもが目を覚ますことはなく、の父親や病院のドクターに強く言われてラスティは学校に向かい、ニコルも一度家に帰った。 沈んだ表情のラスティを構内で見かけたアスランは声を掛けられなかった。 「まだ、みたいだな」 遠くからそんなラスティの様子を目にしてディアッカが呟く。 傍にいたイザークは何も応えずに踵を返した。 その日も、が目を覚ましたという連絡を受けることはなく、勿論、ラスティは病院で夜を明かした。 |
桜風
09.9.21
ブラウザバックでお戻りください